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栄冠は君に輝く。

満員の甲子園球場。
その意識を一身に受けて『栄冠は君に輝く』を熱唱した山崎育三郎さん。
大画面に映し出された育三郎さん、清々しく誇らしく気持ちよさそうに歌っている。
選手も同じ、自分に向けられた観衆の意識を「緊張」から「力」に変えられる子ども達が、ここで躍動するのかもしれない。
歌声に聴き惚れながら、そんなことを考えた開会式。。。

今年の春の選抜で甲子園に来た時に寄った小さな居酒屋さん。
「次、夏の大会も来るけんね~」
と言い残していたのを思い出す。
「あのお店に行こう!」

お店に入り暫くして店員さんが来てくれた。
「春にも来てくれましたよね。お姉さんの話し方と声ですぐに分かりました!」
まるで懐かしい友人をもてなすかのように、再会と息子くんの甲子園出場を喜んでくれた。

コロナも明けた甲子園のアルプススタンド。
夏の暑さと大声援の熱気に目がくらむ。

バッターボックスに向かう息子くんの背番号が目に飛び込んでくる。
はっと息を飲む。
涙が一気に目と胸に込み上げてくる。
息が出来ない。声も出ない。

小さい頃毎年夏休みにはじいちゃんと観ていた夢の舞台。
そこに息子くんが立っていた。。。

小学生だった息子くん。
食卓で目をキラキラさせながら語ってくれた笑顔を思い出す。
「ママ、ごめんね。僕ね、高校生になったら野球の強豪校に行くから寮に入るよ。淋しいけどごめんね。ママ。」
「強豪校に行って甲子園に出るからね」

中学生の頃は親の負担を考えてクラブチームではなく学校の部活で野球をしてくれた。
コロナ禍で部活がない時期が続いても、彼は自分で考えた。
それでも諦めず、腐らず、練習をやり続けた息子くん。
仲間と草だらけの小さなグランドを借りて、SNSで集めた市内の子ども達と一緒に練習を続けた。

有言実行。彼は寮のある高校に入学。
親との電話も滅多に出来ない。1年に数日しか自宅にも帰って来られない。
厳しい練習にも耐え、辛い経験もして。。。
それでも弱音を吐かない息子くん
「辞めたい」と言ったことは一度もない。

ここまでの彼の道のりに、どれだけの汗と涙と努力があったんだろう。
ここまでの彼の道のりを、どれだけの人達が支えてくれていただんろう。

バッターボックスの息子くんを信じて息を飲んだ。。。

チームの得点に貢献できなかった。
「あぁ申し訳ない。。。」

そうもらした私に、隣で一緒に応援していたチームメイトのママさん。
「そんな事、言うたらあかん!言うたらあかんよ。子どもらは頑張っとるんやで。ここまで来るのにどんだけ頑張って来たことか。言うたらあかんよ」
彼女の一言にはっとした。
彼女の優しさに涙が一気にこぼれ落ちた。

甲子園が終わった。
3年生の保護者さんと共に応援して来た日々が終わる。
淋しさと悔しさと感動と感謝と色々な感情が込み上げて・・・。
こんなに涙が流れて来るとは思わなかった。
試合が終わっても当分泣いていた。

まるで私が選手だったかのように、沢山の人から連絡をいただきました。
「こんなに高校野球を身近に感じさせてもらったのははじめてです。ありがとう!」
「娘が『期待されての代打』だと解説してくれてたよ!」
「きっと○○県人の気持ちが1つになった1日だったと思う。こんなにドキドキしたのは久しぶり。□□のみんなありがとう!」
「最後息子くんの勇姿が見れて涙腺崩壊したよ。あの場面を経験したことが絶対に次に繋がる!また来年帰って来てね。待ってるからね」
皆さんの優しさに涙がどんどん。。。止らない。

甲子園の選手達
それを支えるアルプススタンド
応援団、ブラスバンドにチアガール
お母さん、お父さん。お兄ちゃんにお姉ちゃん。おじいちゃんやおばあちゃんやいとこや、小さい頃から見守ってくれて来た地域の人達。。。

出場校49校。その家族。その親戚。その地域。
沢山の想いの詰まった甲子園球場。
そして、その想いは繋がっていく。

一所懸命に夢を追う子ども達の頑張っている姿に私達は心を動かされる。
子ども達が『夢をあきらめずに済む』平和な世の中がこれからも続いていきますように。。。

さてさて息子くん。来年の夢の舞台。
山崎育三郎のように大きく吸い込んで、大きく吐いて。名一杯に球場を楽しみ尽くせるように。
新しい「はじまり」のスタートだ!
あなたの躍動を楽しみに。
ママも負けずに頑張るぞ!

感謝を胸に。
仲間と共に。
前へ。前へ。。。

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