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子どもは分かってる

駆け出しのライターとして出会ったメンバーたちが、毎回特定のテーマに沿って好きなように書いていく「日刊かきあつめ」です。
今回のテーマは「#子どもに教えられたこと」です。

歳を重ねたことで、友人の子どもたちと会う機会が増えた。かつて一緒になって騒いでいた彼も彼女も親になり、騒ぐ子どもたちを嗜める。

自分は子どもを育てたことがないので、本当にすごいなアと思う。子ども中心の生活に切り替え、時には子どもの機嫌を取りながら、それでも、楽しそうに暮らしている。

そんな子どもたちを見ていてた思うのが、大人が思っている以上に、子どもは大人に気を使っているということだ。(もちろん、歳の頃による)
言い換えると、大人との付き合い方が上手い。

「ランドセルを選ぶドキュメンタリー」のCMをご存じだろうか。

子どもたちがランドセルの色を選ぶのを、モニタリングする保護者。彼らは自分の子どもがどんな色を選ぶかを予想して、「きっと○色が好きだから選ぶんじゃないか~」とか言っていると、その子はまさにその色を選ぶ。満足げな保護者。

しかしその色は、本人が欲しい色ではなく、保護者が好きだと思う色を選んでもらったのだった。そのあとに子どもたちが自分が好きなのを選んでもらうと全然違う色を選んぶ。子どもの本心が見れた時の親たちの反応が面白い。

子どもが「大人の事情を分かって振る舞う」といえば、是枝監督の映画も印象的だ。

『そして父になる』は、6年間育てた子どもが病院の取り違いで、他人の子だったと分かる。夫婦は子どものことを考えた時に、一緒に過ごした時間か、それとも血縁かの選択を迫られるのだった。

親目線から描かれた映画ではあるが、子どもたちの機微が素晴らしい。大人の表情を読み取り自分が必要とされているのか、されていないのか、その挙動を描くのがとても印象的だ。

『海よりもまだ深く』は、売れない小説家で、妻には愛想をつかされ、息子を連れて家を出て行かれた男の話だ。男は月に1回の息子との面会を楽しみで、ある日、息子を連れて台風の直前に母(息子の祖母)の家を訪れることで、少しでも長く一緒にいようとするが、妻が訪れて・・・。

大人たちは互いの本音を子どもに隠そうとするが、子どもは雰囲気を感じ取り、うまいバランスで子供らしく振舞ったり、あえて大人の気持ちに気が付かないフリをしたりする姿が心に刺さる。

さてそんな感じであるから、子どもは大人が思っている以上に、大人をわかっている。それに気がつかず大人が下手に取り繕うから、子どもとの距離がうまく図れなかったりするのだと思う。

子どもは純粋であるがゆえに、人間関係のややこしさを取っ払ってコミュニケーションをしてくれる。
人付き合いにおいて、僕ら大人が見習うことは沢山あるのではないだろうか。

文章:真央
編集:アカ ヨシロウ

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