素敵な生き様
『夢をかなえるゾウ』という作品がある。ある日、平凡なサラリーマンの主人公の元に、ガネーシャが現れて、彼が出す課題を毎日こなしていくことで、主人公が”成功”に向かっていく。
課題の一つに、「会った人を笑わせる」がある。その場の空気を明るく前向きなものに変えること、つまりその場の人々を笑わすことができる人は、重宝される。その人の周りに、人が集まる。
主人公は試しに職場で冗談を発するが、失敗する。
空気を変える方法の中で、笑わせることが、一番難しい。
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いつも、人を笑わせるチャンスを伺っている。くだらない思いつきをただ言いたい時も、今この場所の空気を軽くするために必要だと狙う時も、この人を、この人だけでもいいから笑せたいと、思う時もある。
本能的にも、論理的にも、人を笑わせたいと思っている。
そして、人並み程度に笑いを起こしてきた。自虐もするし、相手の発言から冗談を広げたり、いじったり、数分前の誰かの発言を伏線的に使ったり、面白い発言をするであろう人にパスを出し、アシストする。そうやって、その場で共有されたものから、笑いを狙ってきた。
それでも、「自分の話」で笑いを起こしたことはほとんどない。
「自分の話」をして、笑いを起こせる人のことを、いつも羨ましく眺めている。人を笑わす出来事が普段自分の身に起きているなんて、なんて素敵な生き様だろうか。
だからその度、自分は面白くない人間だという認識を強めていく。真面目でお堅くつまらない人間なんだなあと、思えてくる。
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腕を組んで考え事をしていると、どうしたのかと尋ねられた。
気に食わない集団に対して、宗教という単語を軽はずみに使って揶揄する人がいる。その人たちのことが、その集団をうんこと揶揄する人よりも、下品に思える。単語だけなら後者の方が下品なのに、なんでだろう。
そう答えたら、鼻で笑われてしまった。
僕もいつか、自分の話で、笑われるんじゃなくて、笑わせたい。
(2024年5月2日投稿)
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