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2019夏アニメ感想まとめ

2019夏アニメの感想をランキング形式でまとめています。


<29位> グランベルム

評価:C-

お気に入りキャラ:土御門九音

今期の花田十輝枠。30代~40代の人にとっては、「ワタル」や「グランゾート」を思い出させる導入部分であったのでは。かくいう自分も少年時代にそれらのアニメにどっぷりとハマっていたので、美少女要素も加わり相当な実力を発揮してくれるのではという期待感があった。しかし、それは残念ながら机上の空論であったようで、話数を追うごとにこれじゃない感は急速に加速していった。ダークなストーリーは重さと軽さのバランスが悪くどこか空虚、アルマノクスの闘いも男のロマンをくすぐるものではなくどこか淡泊と、色彩のボンヤリとした作画とも相まってとにかく薄味に感じてしまうのだ。終盤の水晶役の悠木碧さんの演技は凄みがあり非凡なものであったが、もはや時遅しといった感じである。種々の素材はよかったのにかかわらずハッキリいって「つまらなかった」という結果になったのは非常に残念で、公式HPの細やかな設定資料の数々が虚しく光る。


<28位> とある科学の一方通行

評価:C-

お気に入りキャラ:―

ストーリーの時系列の説明も何もなしにいきなりアクセラレータサイドのストーリーを始めるあたり、もはや勢いだけで楽しんでもらうのを公式が容認しているのかもしれない。思えば「とある」シリーズって各シナリオ単位での伏線要素があまりないけど、とにかくキャラと設定を増やして話を作っていくだけでは作者サイド・読者サイドともに色々キツイ。せっかく各キャラは魅力的なんだから、もっと「一つのエピソード」としての魅力を高める方向性にシフトすべきではなかろうか。そんな本作品の数少ない見所といえるのは、「とある」シリーズとは思えない作画の素晴らしさ(失礼)。キャラデザは「お母好き」(←この略称が正式らしい)でもキャラデザを務める八重樫洋平さんということで、もうなんなら本編含めてずっとこの人に担当してもらいたい。本編のキャラをもっとゲストで登場させてくれていたら、この作画をさらに堪能できたのになぁ…。


<27位> この世の果てで恋を唄う少女YU-NO

評価:C

お気に入りキャラ:島津澪

正直、どうしてこうなった感は否めない。後半のデラ=グラント編は単体で評価すれば完全に凡作で、本作品の超常現象の説明に必要だったとしてもさすがに尺が長すぎた。こうした異世界の話は物語の謎解きのクライマックスとしてはよくある構成ともいえるが、デラ=グラント編は中間に配置してたくやが現世に戻った後にもう一山欲しかったところ。やはり原作の魅力を今回のアニメでは十分に伝えきれていないのが、未プレイの立場からもありありと伝わってきたというのが本音で、根幹のストーリーを優先した結果どのヒロインとの絡みも中途半端に終わり感情の持っていきどころが難しかった。リフレクターデバイスにしても、ゲームのマッピング画面で見れば楽しいのだろうが、アニメでは単なるパラレル解釈の過去遡行と実質変わらなかったのも痛い。本作品の魅力を今回のアニメだけで判断したくはないので、ゲームという媒体でそのうち触れてみたい。


<26位> 戦姫絶唱シンフォギアXV

評価:C

お気に入りキャラ:風鳴翼

ここまで続ける意義があったのかどうかはさておき、とにもかくにもシリーズは無事完結ということでなにより。あいかわらずストーリーは勢い優先で何でもアリといった感じで、5期はシャレにならない規模で大量の犠牲者が出ていたのが印象的だった。あと、風鳴のじーさんの狂いっぷりがもはやギャグの領域だったが、強すぎてワラタ(笑 戦闘シーンはいい意味であいかわらずで、各キャラの個性に合わせた気合の入った変身バンク、舌を噛みそうでもお構いなしな戦闘中の絶唱、中二感しかないカッコいい必殺技の演出など「分かっている感」満載で、男のロマンとはこういうものだと「グランベルム」のスタッフに教えてあげたい。これまでの集大成ということで、未来のラスボス化、7人でのラストソング、EDクレジットのキャラ紹介など制作陣からの粋な演出の数々に素直に感謝をしたい。あとは、時期的に見られなかった2期も見るべきなんだろうな…。


<25位> かつて神だった獣たちへ

評価:C+

お気に入りキャラ:エレイン ミリエリア

本作品のように、過去にあった大きな出来事のアフターストーリーが主題となる作品が増えるのは市場の成熟という意味で個人的にはいい傾向だと思っている。「狡兎(こうと)死して走狗(そうく)烹(に)らる」という史記の言葉にもあるように、かつて神と称された擬神兵が戦後は脅威とみなされて粛清されるのも戦争、ハンク陣営とケイン陣営のそれぞれの正義がぶつかり合うのもまた戦争と、フィクションでありながらも人間史の宿命を如実に再現している作品といえるのではないだろうか。いつの時代も異質なものを自らの世界に受け入れるのは容易いことではないが、フィクションはそうした「仮定」をするには格好の題材であるので、所詮は虚構と一蹴せずに柔軟な思考を持っていきたいものである。そういえば、「モン娘」という平和な作品もあったなとふと思い出したのだが、この機会に改めて見直してみるのもいいかもしれないな…。


<24位> ギヴン

評価:B-

お気に入りキャラ:梶秋彦

前知識ゼロで視聴開始したので、何の偏見もなく見られてむしろよかったまである。当初は普通の青春バンドものだと思っていたので、「あ~ここはホモォなのね」→「えっここも?」→「全員か~い!(爆」みたいに順を追って楽しめた。しかし、立夏の姉の弥生やクラスメイトの朱乃然り、本作品の女の子キャラはどうしてこんなにも可愛いのか。おまいら、もったいなさすぎなんですけど!?(怒 個人的には作中で騒がれていたほど真冬のボイスに魅力は感じなかったのだが、ライブシーンはやはり別格。現実世界であの会場にいたら間違いなく圧倒されたんだろうなという想像が自然とできたのは、そこに至るまでの繊細で緻密な心理描写の賜物だろう。今回改めて気付かされたのは、百合作品とボーイズラブ作品はけしてリバーシブルな関係じゃないということ。これが百合作品だったらもっと…というような感想は大変に野暮だったので、大いに反省したい。


<23位> コップクラフト

評価:B-

お気に入りキャラ:ティラナ・エクセディリカ

ハードボイルドな刑事ものにSFも交えたストーリーは個人的にそこまで刺さるものではなかったが、「ティラナ可愛い」の一言だけで最後まで乗り切れてしまった作品。個人的今期№1ヒロインは本作品のティラナで、どちらかといえば真面目で堅い性格にもかかわらず主人公には懐いて気を許してくれるのもいいし、髪型もバラエティがあって結っても下ろしても可愛いし、強いけどどこか隙がありこちらの世界の常識にも疎くてなんだかんだフォローをすることになるのもいいし、実は寂しがりやでこんな子に上目遣いで見つめられたらもう…てな感じである。本作品を語るにおいてアクションシーンの作画も外せず、特にOPは楽曲の良さとセンス溢れる映像が高レベルで融合して非常に見応えがあったので、これだけでも見るのをオススメしたい。ちなみに、ティラナの中の人は「Wake Up, Girls!」でもセンターを担当した吉岡茉祐さん。さすがに歌上手いやね。


<22位> ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-

評価:B

お気に入りキャラ:オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィア

昔のウェイバーとロード・エルメロイⅡ世がもはや別人にしか見えない件。年齢は20代後半~30代前半とのことだがもっと老けて見えるような…。きっと、聖杯戦争後も色々と苦労が多かったのだろう。個人的にウェイバー風のなよっとした浪川ボイスは苦手なので、エルメロイ風の渋い浪川ボイスが聞けたのは嬉しく本作品の評価点。一つの作品としてのストーリー展開は特筆すべきものではなかったが、これがかの英雄の背中を追い続けてきた彼の後日譚という見方をすれば、感慨もひとしおである。時計塔に12人いる君主(ロード)の存在であったり、グレイの正体であったり、各種の魔眼の能力であったりと、やはり「設定」の深さや緻密さが本シリーズの核になっているのは疑いようはなく、全てが謎で全てが伏線の物語はこれからもファンの期待と想像を無限に引き立てるだろう。本作品の作画も悪くはなかったがやはりufotableは別格だな…。


<21位> うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。

評価:B

お気に入りキャラ:ラティナ リタ

俺がこの子に抱いているのは幼女趣味?それとも父性愛?を地で行くなにげに業の深い作品。デイルの心情としては後者の割合が大きいようでそういうものだと思っていたが、どうやらラティナは「異性」としてデイルが気になり始めたようで…と気になるところで最終話を迎えてしまったのはちと残念だが、こうした諸作品の在り方に一石を投じる作品としてこの先の展開は非常に興味深い。人間とは異なる時間を生きる相手との恋愛はフィクションでは珍しくないが、今期の「ダンまち」然り、物語の主軸となり得る要素である。本作品の場合はさらにそこに疑似的な父親としての立場も加わるわけで、もしデイルがそれを拒否するとしても「人間と魔人族だから」「ラティナは娘だから」という選択肢が生まれるわけである。その部分を突き詰めていくなら非常に重い展開になることは想像に難くないが、真正面から逃げずに描写してほしいと願っている。


<20位> Re:ステージ! ドリームデイズ♪

評価:B

お気に入りキャラ:月坂紗由 本城香澄

今期のアイドル作品枠としてとりあえず継続していたらなんだかんだ最後まで楽しめてしまった作品。ストーリー展開やキャラ付け等々ステレオタイプな感は否めないが、逆に言えばファン層のツボを的確に捉えているという見方もできる。キャラの年代がわりとシビアに結果を求められ主張も強くなりがちな高校生ではなく中学生だったのは英断で、その未熟さや初々しさがかえって未来への可能性という魅力につながっていた気がする。楽曲はこの手の作品の例に漏れず高水準。特に「キラメキFuture」はアレンジ版含め本作品を代表するに相応しい楽曲で、ライブパートは非常に見応えがあった。原作はこれまた例に漏れずスマホの音ゲーで原画はKey作品にも参加している和泉つばす氏なのだが、実は今回のアニメのキャラデザの方が断然好みだった件。お気に入りにキャラに挙げた紗由のサイドテールのボリューム感なんかは個人的に二重丸。


<19位> 通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?

評価:B+

お気に入りキャラ:ワイズ

タイトルと設定のインパクトが強すぎて、出オチ感がハンパない本作品。作者の育った家庭環境が気になって仕方がないが、メジャーデビューの通過儀礼である親族の反応はどんな感じだったんだろうか?(笑 日常シーンでも戦闘シーンでも真々子さんがとにかく出張ってくるのは真人の立場からも視聴者の立場からも物申したくなる部分は大いにあるが、ホントにキツイのは後ろから微笑ましく見守られることな気がするので、真々子さんの立ち位置はきっとこれで正解なのだろう。一方、メインヒロインが母親という前代未聞な設定のおかげで陰に隠れがちなヒロインズだが、ワイズ派とメディ派に大きく分かれそう。普段の自分ならメディ派になる気がするのだが、彼女の場合は腹黒さが魅力に直結していないというかむしろ作者が狙ってそれをやっている節があるので、ツンデレなワイズの方が可愛く感じた。実は最近、一週回ってツンデレキャラがけっこう刺さる件。


<18位> 魔王様、リトライ!

評価:B+

お気に入りキャラ:キラー・クイーン

いかにも冨樫作品に登場しそうなビジュアルの魔王様(CV.津田健次郎)が主人公という点でかなり異色な作品。カテゴリ化すれば、これも異世界転移&最強系主人公というありふれたものになるのだが、どうやら魔王様のキャラの斬新さとインパクトがそう感じさせるヒマを与えてくれなかったようだ。視聴感覚としては「転スラ」とも似たものがあり、最強系主人公のプレイするシムシティといった例えが適切か。日常描写も必然的に多くなり、「上手くいきすぎてつまらない」が「考えて工夫すれば必ず上手くいく」と自然に変換されているため、ストレスフリーな展開が素直に魅力に繋がっているのは何より。三聖女は皆可愛かったが、粗暴に見せかけて実は誰よりも乙女な次女が特にお気に入り。こういうキャラは尖りすぎても大人しすぎてもダメという非常に繊細なバランスが必要なのだが、彼女は好例の一人(他には「CLANNAD」の杏など)。


<17位> 可愛ければ変態でも好きになってくれますか?

評価:B+

お気に入りキャラ:朱鷺原紗雪

量産型ハーレム系ラブコメ作品の枠を大きく逸脱するものではないものの、適度な謎解き要素もあって意外と楽しめた作品。ラブレター(とパンツ)を部室に置いていった変態相手は誰なのかという柱のストーリーにおいては、必然的に犯人が一人に絞られることとなる。この点において、こうした作品の常である主人公が誰を選んだのかハッキリしないハーレムエンドは回避できるのではと期待していたので、わざわざそこに行きついてしまったのだけはちといただけないが…。とはいえ、各話のヒロインズの個別シナリオではどの娘もいちいち魅力的に描写され、この子もいいなあの子もいいなとけっこう目移りしてしまった(笑 黒髪ロングで巨乳な先輩をペットにできるなら選ばない理由ある?いや、普通に可愛い彩乃ちゃんでもういいじゃない!ちょい待て、義妹だとぉぉぉ!?みたいな流れで視聴していたそこのキミ!完全にワイと一致してますぜ!(笑


<16位> キャロル&チューズデイ

評価:A-

お気に入りキャラ:アンジェラ

すっかり耳タコ状態だった「それはまるで奇跡だった――」のくだりがついに見られた後半クール。ラストソングの「Mother」は歴史的なセッションである「We Are The World」のオマージュであることは想像に難くなく、それに恥じないクオリティを誇る名曲、そして名シーンであった。本作品のストーリーについてはキャロルとチューズデイの作曲能力を筆頭にツッコミどころも多かったが、もはやこれだけ楽曲のクオリティで魅せてくれるならそれだけで十分だったといえる。個人的には前半クールに引き続きアンジェラがお気に入りで、有名シンガーにとってのリアルを生々しく描き、そしてそれを乗り越えた歌声に今回も痺れさせられた。アンジェラ役の方を筆頭にネイティブイングリッシュの歌い手の方々もキャラの心情や背景を熟知した上で歌唱していると確信できるほど感情のノリが素晴らしく、本作品が理想的な環境で制作されたのが伝わってくるのはなによりであった。


<15位> Dr.STONE

評価:A-

お気に入りキャラ:ルリ

事象の重大さに反してコミカルなキャラと展開に隠れがちになるものの、正確な科学知識なしではけして作り出すことができないシナリオは原作者の努力の結晶の賜物だろう。キャラデザで少し損しているかなと思うところはあるものの、こうした「科学の面白さ」を意識せずとも学ぶことができる作品は貴重なので、是非小中学生にオススメしたい品である。本筋とはズレるかもしれないが、作中で「ボヤボヤ病」と表現されていた近視というハンデは過去の世界ではどの程度生活に影響するものだったのだろうか。眼鏡という科学のアイテムがない中でそうなってしまうことの不安と不便さは想像に難くないので、本当に偉大な発明である。虫歯なんかも抜く以外の治療法なかったんだろうな…。そろそろ千空の恋愛話も出てくるのかなという気になる展開になりつつあるので、尻上がりに面白くなりそうな後半クールも楽しみにしたい。


<14位> 鬼滅の刃

評価:A

お気に入りキャラ:栗花落カナヲ

後半クールのクライマックスはなんといっても、炭治郎の「ヒノカミ神楽の呼吸」による累への特攻シーンだろう。バックには「竈門炭治郎のうた」が流れ、禰豆子がついに言葉を発し血鬼術を操り、これぞufotableの本領発揮という規格外の演出と作画クオリティに初見時は軽く放心状態になってしまった。本作品の作画については、ufotableが「Fate」シリーズ等で培ってきたエフェクト技術の経験値と本作品で加わった「和」の要素が高レベルで融合し、こと戦闘シーンにおいては他の追随を許さない域に達したように思える。これは、作者が該当シーンを20回以上見たというのも大納得である。その後の胡蝶しのぶの屋敷での「回想シーンではない」特訓の日々も個人的に好きな展開であり、カナヲもとても可愛かったりと先の展開が非常に楽しみになってきたところで終わってしまったのはとても残念。劇場版も嬉しいけどやっぱり2期を制作してほしいなぁ…。


<13位> ダンベル何キロ持てる?

評価:A

お気に入りキャラ:紗倉ひびき 立花里美

今期一の問題作にして、世間的には覇権の呼び声も高い本作品。これをきっかけに原作漫画も重版の嵐、各地のジムも会員数が激増というブームが起きても不思議ではないかもしれない(未確認で進行形)。個人的には筋トレ「のみ」で痩せるという理論は納得がいっていない部分もあるのだが、ランニングとの併用の効果は疑いようはないのでこれを機にきちんと取り組んでみようかしら…。新人(?)声優のファイルーズあいさんの好演も見逃せず、日常系作品のキャラなどは声質と相性が良さそうなので今後の活躍にも期待したい。ちなみに自分が一番気に入ったのは5話で紹介された「バイスクルクランチ」。お手軽かつけっこう効くので放送後もちょくちょく空いた時間にやっていたり。なにげに立花先生もお気に入りで、ちょい残念だけど憎めない性格とガチャピンみたいな瞼(まぶた)がけっこうツボだったりする。これはおそらく2期もありそうだな…。


<12位> 手品先輩

評価:A

お気に入りキャラ:斑さん

今期の作品で推し論争をするなら迷わず本作品を選びたい。ポンコツでお騒がせな先輩、ブラコンギャルの咲ちゃん、寡黙な研究者の班さんの3人はいずれも魅力的な先輩であり、正直自分も相当悩んだ。最終的には「リアルな学生生活で一緒に過ごしたい先輩は誰か」という観点から班目さんを選択したが、割と僅差である。「青ブタ」の理央もとい、どうやら自分は一人で黙々と実験をする科学部部長のほっとけないオーラに弱いようだ。八重歯キャラは元々大好きだけど、サメのようなキバが萌え属性になるなんて新たな発見だったぜ…。そういえば、本作品って苗字と名前がきちんと分かるキャラがいないんだよね(「先輩」とか「助手」に至っては両方不明)。これは、本名を想像し合うのも面白いかもしれない。ちなみに、先輩のノリを見ているとどうしても「だがしかし」のあのお方を思い浮かべてしまうのはきっと自分だけではないはずだ(笑


<11位> ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅡ

評価:A+

お気に入りキャラ:ヘスティア

リリの移籍、戦争遊戯(ウォーゲーム)、春姫の救出、神様と人の愛の在り方、といったストーリーの山場の数々をけして駆け足には感じさせずに映像化してくれたのは高評価点。一方、原作厨の立場としては、各エピソードの間(タメ)や余韻がその代償となっていた点がどうしても気になった。換言すれば、必要最低限の要素以外は全て削ぎ落した結果、超速かつ滑らかにストーリーが進行しすぎてカタルシスがあまり感じられなかったのだ。アニメ作品としてはこれで正解なのかなと思いつつ、「眷族の物語(ファミリア・ミィス)」たる風格(≒文学的要素)をまとった原作とはかなり別物になってしまった感がある。ヘスティアの「だからベルくん、怖がらないでおくれ。ボクたちとの愛を」という台詞は本作品の根幹たるテーマともなるべきもの。そのシーンをもって今回の区切りとした点は非常によかったため、願わくばこれを2クールでやってくれていたら…!!


<10位> MIX

評価:A+

お気に入りキャラ:立花投馬 西村勇

前半クールの感想では「まだ『集大成』という言葉は使いたくない」と述べたが、やはりこれはあだち充の集大成だ。アニメの演出により「ヒーローふたり、ヒロインふたり」というかの名作を彷彿とさせる演出が目立つようになり、原作ではそこまで意識していなかった大山春夏の存在が大きくなったことで否応なしにその意識が高まった。また、春夏という名前も「春=古賀春華」「夏=雨宮ひかり」ととらえることもできる。それら過去の名作の要素を取り入れたという点が「MIX」というタイトルの意味の一つなのだとしたら…。なお、本作品の見所の一つが勢南高校の西村親子なのだが、あのお調子者が人生の紆余曲折を経て味のある名将になったというのはとても感慨深いし、かつての親父を彷彿とさせる息子の言動も思わずニヤリとせざるを得ない。原作はまだまだ続くが、とても爽やかに視聴を終えることができたので制作陣には感謝の意を表したい。


<9位> からかい上手の高木さん2

評価:A+

お気に入りキャラ:鷹川すみれ(ポニーテールの子)

ここまで振り切っちゃうと好み分かれるんじゃ…と心配になりそうなぐらい西片にグイグイ迫ってくる高木さんが魅力の2期。青春恋愛ものは中学校が舞台だと描写的に物足りなく感じることも多いのだが、「からかう」という行為(≒好意)がその年代に非常にマッチしていることに加え、(元)高木さんの世界を知ってしまった今となっては、大人になった二人の回想録としての側面が浮かび上がり「これが当時の二人の思い出なんだなぁ」とどうしようもなく感慨深くなってしまう。個人的に一番気に入っているシーンは最終話…の前の夏祭りに「誘ってもらう」シーン。どうみてもベタボレです。本当にありがとうございました。なお、1期からずっとお気に入りのポニーテールの子は放送途中に原作で名前がついた途端、速攻でクレジット表記が変わったらしい(笑 夏祭りに男女グループで来ていたあたり、リア充よりの子なんだろうか?なんとも複雑な…。


<8位> ダイヤのA actⅡ

※全話視聴後に執筆予定


<7位> ソウナンですか?

評価:A+

お気に入りキャラ:鬼島ほまれ

女子高生による割とガチな無人島におけるサバイバル生活をコミカルに描いた本作品。とはいえ「エンジェリック・ハウル」(@グリザイアの果実)みたいなガチさではないのでご安心を…。数々のサバイバル知識はリアルでも役に立ちそうなものが多くタメになる。4人とも割と小奇麗に見えるけど、ウ〇コした後どうやって尻拭いてるのかなとか海水で髪洗ったらボサボサになりそうだなとか作中で描かれていない部分も色々と気になってしまった。あと、睦のメガネが遭難時に無くならなくてホントによかった(重要)。「ロビンソン・クルーソー」や「十五少年漂流記」といった無人島での漂流生活を描いた作品は昔から好きで何度も読み返していたぐらいなので、作品のコンセプトとしては上手く美少女要素も取り入れて魅力的なものに仕上がっていたと思う。ちなみに、自分が無人島に一作品だけ持ち込むなら「めぞん一刻」を迷わず選ぶというのは有名な話。


<6位> フルーツバスケット

※全話視聴後に執筆予定


<5位> 彼方のアストラ

評価:S-

お気に入りキャラ:アリエス・スプリング

人気作品はもれなく大長編化する傾向がある中で、原作漫画が全5巻とスマートに幕引きが行われた本作品は非常に貴重である。今期の作品の中でも1クールという尺を最も有効に活用した作品といえ、ストーリー当初に示された明確な着地点をブレずに達成したシナリオを高く評価したい。具体的に記述するとネタバレ満載になるので自重するが、SF的な観点からもミステリー的な観点からもこれまでの見識を覆すような奇抜な展開は特に起こらない。ただ、本作品の特長はその優れたバランス感覚にあり、1クールの作品として適度な逆境、適度な謎、適度なキャラ数、そしてそこから得られる適度なカタルシスは原作の実力はもちろん、安藤監督による確かな舵取りが行われた証拠である。また、それらを根底で支えた丁寧な作画と秀逸なキャラデザも見逃せない。こうした作品が増えれば日本のアニメ界も安泰といえ、これに続く作品を望んで止まない。


<4位> まちカドまぞく

評価:S-

お気に入りキャラ:吉田優子(シャミ子)

記念すべき令和第1作目のきらら系作品。キャラデザの大塚舞さんは「のんのんびより」「この美術部には問題がある!」「うらら迷路帖」などを担当した唯一「この人がキャラデザの作品なら見たい!」と思わせてくれる方なので、ビジュアルの引きはバツグン(ちなみに「YU-NO」も担当)。最近だと魔法少女が登場する作品で平和な展開って方が逆に貴重かもしれない(笑 クセになる敬語口調のシャミ子は貧乏が板についたポンコツ可愛さで大いに癒されたが、この子が高校生とかもうこれ分かんねえな(胸は大層ご立派だったが)。ひとつ欲を言えば、日常系作品の見せ場でもあるOP・EDの映像はもう一味趣向を凝らしてほしかった。ちなみにきらら系作品のアニメ化第1作目は「ひだまりスケッチ」で、来年には「マギアレコード」のほか「ゆるキャン△」「ごちうさ」の続編や個人的に注目作の「球詠」(女子野球もの)も放送予定ということで夢がいっぱいである。


<3位> 女子高生の無駄づかい

評価:S

お気に入りキャラ:鷺宮しおり(ロボ) 菊池茜(ヲタ) 久条翡翠(マジョ)

こういう作品キライじゃない、むしろ大好物まである。女子高生のちょい残念な日常風景を描く作風は、原点にして頂点である「あずまんが大王」にも通じるものがあり、懐かしい気分も感じつつ楽しむことができた。序盤は主要メンバー3人組だったらロボ一択かなと思っていたが、中盤から終盤にかけてのヲタラッシュが凄まじく、なにげに巨乳キャラだったし悶々と恋してオシャレしちゃったり意外と友情に厚かったりと可愛すぎじゃね!?正直、こういう低音な演技の戸松遥もけっこういいなって思ってしまった。とはいえ、本作品に最も欠かせないキャラはバカであることに疑いようはなく、2次元補正を掛けると大抵の女子高生は美少女に見えるはずなのに、フィルター越しでも「下の上」という作中の評価が滲み出ているのはある意味スゴイ。ちなみに、キャラ紹介を見ていたら自分とヤマイが同じ誕生日だったのは嬉しい発見。てか、体重39キロって!?


<2位> 炎炎ノ消防隊

評価:S

お気に入りキャラ:プリンセス火華

「ソウルイーター」の大久保篤先生の最新作。あいかわらず惚れ惚れする絵柄である。前作はストーリーは添えるだけというぐらいの心持ちだったが、今作はきちんとそちらも楽しめるのは何より。原作の地力もさることながら特筆すべきはその作画の素晴らしさで、デッサン的な観点はもとよりアクションシーンの動きがキャラの捻れを意識した動きといえばよいのか、スピードのメリハリとかカメラワークとかがとにかく見ていて気持ちがいいのである。ヒロインズも皆可愛く、やっぱり主人公に惚れている乙女が一番可愛く見えるよねということでプリンセス火華を推したいのだが、マッチョな魔法使いとか設定盛りすぎな茉希やとにかく可憐なシスターやラッキースケベの申し子の環も皆捨てがたい。京アニの放火事件と放送時期が重なってしまったのは真に遺憾で、演出にも修正を余儀なくされてしまったようだが、改めて犠牲者の方々のご冥福をお祈りしたい。


<1位> 荒ぶる季節の乙女どもよ。

評価:S+

お気に入りキャラ:須藤百々子

個人的今期の覇権は本作品。思春期の性に対する好奇心を題材に「性春」ともいうべき一幕を描いた挑戦的な作風であるが、各ヒロインを素直に可愛いと感じることができる一線はきちんと守られているので、むしろ爽やかな印象すら受けた。各ヒロインごとに非常によく練られたシナリオが用意されているのが特徴で、それぞれで独立の作品が作れてしまうのではないかと思えるクオリティは称賛に値する。さらに驚いたのは男子キャラの心情の描き方にも大いに共感できる点であり、女性にここまで心情を見透かされてはお手上げという他ない。題材が刺激的な分印象的なセリフも多く、各キャラごとにお気に入りのセリフをピックアップしたので是非併せてご覧いただきたい。OPの「乙女どもよ。」は楽曲、映像共に素晴らしく、イントロの語り(3パターン)も秀逸。文芸部での読書会についてはこれを漫画作品で行っても非常に面白そうなので、いつか実現したい。

☆キャラ総評☆

【小野寺和紗】

―――“それだけ”って…これ以上のそれなんてどこにもないよ。
本作品で最も気に入っているセリフ。「それだけ」っていう言葉をこんな素敵に読解できるなんてさすが文芸部員。むしろ、岡田麿里がスゴイ。この時の和紗と泉の気持ちのすれ違いっぷりはホントに上手いと唸らざるを得ない。見た目はちょっと地味だけど、百々子と「友よ!」とハグしたり、泉への気持ちに気付いて悶々としたりする様は立派に魅力的な女の子だった。OPイントロでの「そんなのって…嫌ぁ~!!」もよかった(笑

【菅原新菜】

―――でも…友達とはセックス…えすいばつできないでしょ?
当初は「和紗→泉←百々子」という三角関係になるのではと予想していたのだが、菅原氏が参戦するとは予想外。和紗との関係を考えると百々子の方がもっとドロドロしただろうに…と思いつつ、いつ泉とえすいばつしてしまうのか気が気でなかった件。自分の容姿の良さを自覚している女の子を「お嬢様」とかの記号に頼らず傲慢さも滲ませずに描いたのはさすがであり、最も生々しい感情を見せてくれたヒロインといえるだろう。

【須藤百々子】

―――でも…男に触られて汚くなったとこ、菅原氏に触ってもらいたいって思ったんだ。
杉本からのラインの気持ち悪さが女子目線から存分に伝わってきて心が痛かった件。「友達ですらありません!」というパワーワードに代表されるように意外と毒舌キャラだが、それも彼女の魅力の一つである。初見時はレズビアンな素養はそこまで感じていなかったので後半の展開は少し意外だったのだが、見直してみたら色々伏線はあったのね…。前半の白い可愛さと後半の黒い可愛さで二度美味しい個人的ベストヒロイン。

【本郷ひと葉】

―――女子高生とできるんですよ?それが“こんなこと”ですか?
本作品の「性」に対する姿勢を最も分かりやすく体現していたキャラ。初めて声を聴いた時には「生徒会役員共」の畑さんの人?(←新井里美さん)と思ったら、なんと黒沢ともよさんだった件。今一番上手い声優は彼女なんじゃなかろうか。三白眼のジト目でクセのある喋り口調の小説家志望の女の子と2次元的な魅力には溢れていたのだが、現実を意識するとなんかノリきれなかった。ところで、今時の子はミロを知らんのか?(困惑

【曾根崎り香】

―――あんなに喜んじゃって…ほんと…大バカなんだから。
眼鏡を外したら…っていうのは定番中の定番の設定だけど、陳腐さはまるで感じなかった。前髪のパッツン具合もよし。彼女のシナリオに関しては純粋なラブコメ要素が強く、レポートの返事に小さく「よろしくお願いします」と書いてあったところとか告白時の「俺…ヤバい!うれしすぎてどうにかなる!」のところとかキュン死にしそうでしたわ…。終盤の十条さんの件でまた男嫌いに戻っちゃうかと心配になったけどこれが恋の力なのか。

【典元泉】

―――俺が好きなのは和紗だ。だけど…性的な欲求を感じるのは…す…菅原さんだ。
性春時代の男子の気持ちまで手に取るように分かるなんてやはり岡田麿里は天才か。菅原氏に痴漢プレイをさせられた後に自分の気持ちを確かめるように和紗に「好きだよ」の電話。翌朝、浮かれる和紗を微妙な態度で突き放してしまうという流れは完璧で、極めつけがこのセリフである。自分はその時、泉を責めるどころかシンクロ率400%だった件。むしろ、よくぞ言った。泉はあの夜きっと菅原氏で抜いてしまったんやろなあ…。

【山岸知明】

―――文学は負けているときに書かれたものの方がハングリーだし圧倒的に力がある。
女子高生に性的に迫られるなんて羨ましいと思いつつ、相手が本郷さんだったので本人と共に妙な冷静さを保ててしまった件。彼の好みではないかもしれないが、例えば菅原氏が迫ってきていたらきちんとあしらえていたのだろうかと想像してしまうあたり、人選は的確だったといえるのだろう。彼の枠を設けたのはこのセリフが非常に印象的だったからであり、何事にも意味はあるんだとなんだか救われた気分になった。



<劇場版7位> 劇場版 ONE PIECE STAMPEDE

評価:B+

お気に入りキャラ:―

「FILM STRONG WORLD」「FILM Z」「FILM GOLD」の流れを汲んでいると思っていたのは自分の勘違いだったのかもしれない(そういえば、題名に「FILM」とついてないし…。)。現実はどうであれ、原作者が積極的に監修して制作したのかどうかには疑問符がつき、「FILM」シリーズのような「覇気」は残念ながら感じられなかった。漫画っぽい作画はあまり好みではなかったものの、国民的作品の劇場版としては十分合格点といっていい出来ではあり、オールスターによるド派手な展開や戦闘シーンのクオリティはさすがといったところ。ただ、「FILM」シリーズでは伝統となっていた「悪役のカッコよさ」やストーリーから伝わる「彼らの信念」については魅力不足であった。そういう意味では、原作に影響を与えないように既存の情報のみを使って制作された(劇場版を冠する)「祭り」にとどまったという印象で、もっと挑戦的な気概を是非とも次回作には求めたい。


<劇場版6位> 薄暮

評価:A

お気に入りキャラ:リナ

山本寛監督(ヤマカン)による「blossom」「Wake Up, Girls!」に続く東北三部作の最終作。東海地方では当初上映がなかったのだが、無事追加上映となった模様。上映時間が1時間弱と短いこともありなんのことはないシンプルな青春恋愛映画なのだが、キーアイテムのヴァイオリンや文系少女のガールミーツボーイなストーリーは、不朽の名作「耳をすませば」をリスペクトした部分が多分に感じられたように思う。なお、東北三部作共通の設定として、過去に東日本大震災の被害を受けた地域の物語であるという点がある。その設定を生かしたキャラの心理描写も時折見られ、現地の人にとってはより印象深い作品となったことだろう。どうしても同監督の作品には作画崩壊というイメージが付いて回るので(だいたい「WUG」のせい)、「ちゃんとヴァイオリン弾いてる!」とか「背景がキレイに書き込んである!」などと一々感心してしまったのはご愛嬌か(笑


<劇場版5位> 天気の子

評価:S-

お気に入りキャラ:須賀夏美

すっかり巨匠の風格を身につけた新海誠監督の最新作。前作に引き続き、その映像美は圧巻の一言。端的に違いを挙げるとするなら、前作は「気持ちよく世界観に浸れる」作りがなされていたため、こちらはただそれに身を委ねていればよかった。一方、今作は「ファンタジーでありながら現実感が常に隣にいる」作りとなっていたため、前作よりも爽快感という点では劣っていたと感じた人も多いであろう。常に目先の感情にとらわれてしまう未成年らしい行動理念が前面に押し出され、大人の観客にとっては「理解」はできても「共感」はできない展開は非常にもどかしい。止まない雨は現代社会を覆う閉塞感のメタファーであり、それを快晴に切り開くのも自分はそんな大それた存在じゃないと抵抗しないのもまた次世代を担う未成年の役割である。物語を通じて、監督の「その時、キミはどうする?」という彼らへの問いかけがたしかに聞こえたような気がしたのである。


<劇場版4位> HELLO WORLD

評価:S-

お気に入りキャラ:一行瑠璃

「SAO」「僕街」の伊藤智彦監督による新作オリジナル作品。「SAO」の仮想世界、「僕街」の過去改変、両者に共通するある状態からの覚醒など監督のこれまでの経験値が存分に生かされた作品となっている。フル3DCGによる作画の違和感はほぼなし。ヒロインもちゃんと可愛いし、むしろCGであることを生かした演出が随所に見られたのは技術の進化の賜物だろう。鑑賞した人にしか分からないと思うが、本作品の物語は3層構造になっている。その3層目が映画の宣伝文書でもある「この物語(セカイ)は、ラスト1秒でひっくり返る」の正体なのだが、個人的には2層目を素直に最終目的地としていればもっと爽やかに鑑賞を終えることができたと思うのだがいかがだろうか。ラストシーンの存在により鑑賞後も考察や議論が捗るという見方をすればむしろ監督の狙い通りといえるのかもしれないが、「インパクト」と「カタルシス」を取り違えてはいけない気がするのである。


<劇場版3位> 映画 この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説

評価:S

お気に入りキャラ:カズマ めぐみん ダクネス

めぐみんを筆頭に、カズマ、アクア、ダクネスたちの「いつもの」、そして劇場版ならではの「ちょっととくべつ」も見られて全体の満足度は非常に高い。カズマの実家のような安心感のあるキャラは数多の異世界転生ものの主人公の中にあってもホントに貴重。めぐみんの故郷が舞台だけあって魔法による派手なバトルシーンが盛りだくさんだったのだが、個人的にはもっと日常シーンの比率が高い方が嬉しかったかも。カズマとめぐみんのイチャラブ成分をまだまだ上げてくれてもよかったのよ?さすがの劇場版ということで、作画も本作品らしからぬハイクオリティだったのだが、「らしさ」はきっちりと残した非常に上質な仕上がり。総じて、作品愛に溢れ劇場内でも思わず何度も笑い声を漏らしてしまう理想的な劇場版であったといえるだろう。なお、公開2日目の午前中に入場者特典が早くも終了してしまった点だけはちといただけなかったのではなかろうか。


<劇場版2位> BanG Dream! FILM LIVE

評価:S

お気に入りキャラ:宇田川あこ 市ヶ谷有咲 青葉モカ

こういうのが見たかったというファンの願望をそのまま形にしてくれたような作品。アニメ映像でライブを完全再現するという表現方法は、自分のような「声優よりもキャラ」という2次元原理主義のオタクにとってはまさに理想像そのものである。フル3CDCGだからこそ可能になったこの形態は、TVシリーズ2期で既に目が慣れていたこともあり違和感はゼロ。キャラが生きて動いているかのような細やかなモーションや360度をカバーするカメラワークは臨場感に溢れ、現実のライブのようにあるいはそれ以上に夢中になることができた。なお、本作品は「通常上映」と「応援上映」がほぼ同じ割合で上映されており、個人の趣向に合わせて形態を選ぶことができる。自分はじっくりと鑑賞したいと思い通常上映を選択したが、応援上映も続けて参加してみたくなる魅力が本作品にはある。特にRoseliaの「FIRE BIRD」は圧巻で、フルのライブ映像が見られたのは僥倖の一言。


<劇場版1位> ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -

評価:S+

お気に入りキャラ:ヴァイオレット・エヴァーガーデン

この時期に京都の映画館で京アニ作品(舞台挨拶付)を鑑賞することができた巡り合いにまずは感謝したい。本作品らしい繊細な心理描写と溜息が出るような作画は健在。TVシリーズの感想でも触れたが、自分は本作品の最大の見所はヴァイオレット自身の心の成長の過程だと思っている。であるからこそ、これまでは心を知る側の立場であった彼女が本劇場版では逆にそれを教える側の立場として描かれていたのには深い感慨を覚えたし、イザベラの心の変化やヴァイオレットとの友情にも大いに涙腺を刺激された。やはり、物語の主体はゲストキャラではなくヴァイオレットであるべきなのである。ストーリーとしては「エイミーの手紙」のくだりで締めるのがベストだったのかなとは思ったが、ベネディクトとテイラーの師弟関係も非常に微笑ましく見守ることができたので、結局全編通して感動しっぱなしだったのは言うまでもない。

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