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2024冬アニメ感想まとめ

2024冬アニメの感想をランキング形式でまとめています。


<31位> アンデッドアンラック

評価:B-

お気に入りキャラ:ラトラ

前期の感想でも述べたが”ノリが少年漫画すぎる”という点は相変わらず如何ともし難く、深夜帯に放送する作品としてのアンマッチをつくづくと実感する結果に。昨今は「少年漫画」という括りであっても大人も楽しめる作品も多いが、例えば家に疲れて帰ってきた社会人が本作品を見て何を感じ取るかというような点に響く描写をあまり感じられず、中途半端なシリアスさもかえって安っぽく感じられてしまった。思うに、それこそ「否定者」の「社会に馴染めない者」としての現実などの作品全体のテーマになり得る要素を前面に出して情緒に訴えるような構成であったらまた違ったのかもしれないが、登場人物たちの”強さ”がかえってそれを伝わりにくくしてしまった。結果的に異能力バトルや世界の謎というありきたりな要素に付加価値がほとんど付かず、”アン(否定)”という要素に縛られるだけの展開に終始することになってしまったというのは厳しすぎる見方だろうか。


<30位> SHAMAN KING FLOWERS

評価:B-

お気に入りキャラ:アイアンメイデン・ジャンヌ

言わずと知れた『シャーマンキング』の2世作品。特に初代からのファンではないのだが、作品の全盛期に少年時代を過ごした身としては色々と懐かしい記憶はあり無難に楽しめた。やはり、キャラデザについては相変わらず一級品の作品である(意味深)。自分の記憶ではたまおはもっとオドオドとした性格だった気がするのだが、いきなり凄みのある性格になっていて驚いた。一体彼女に何があったんだ…。そしてやはりというかなんというかその非凡なキャラデザも相まって各キャラの初登場時のインパクトは凄まじいのだが、そこから「あのキャラとあのキャラがこうなったら面白い」というような展開に中々結びつかないあたり、”初登場時が全盛期”というのは本作品の抱える永遠の業なのかもしれない。そんなわけでストーリーものでありながら1クールの放送だけでお腹一杯になってしまったのだが、この後を引かない感もある意味非凡だなとつくづく思った次第である。


<29位> 勇気爆発バーンブレイバーン

評価:B

お気に入りキャラ:ミユ・カトウ

ガンダムファンにはお馴染みの大張正己氏が監督を務めたオリジナルアニメ。大張イズムの何たるかを把握していない身としてはノリに置いてきぼりになる場面も多かったが、近年激減しているロボット系作品の現状を改めて見つめ直す機会として有効活用したいと思った次第。結果的にはどうにも盛り上がりを感じる場面には巡り合えず登場人物(登場ロボット)たちの悲喜交交を流し視ることに終始してしまったが、世間的にはけっこう盛り上がっていたのかな…?ただ、「人間×ロボット」「男×男」「男×謎の少女」「ガガピー」などのネタの数々でなんとかバズるきっかけを作ってやろうという気概は大いに感じられ、コメント付動画で視聴していたらまた違ったのかもしれない。ちなみに、ガンダム系作品のメカ描写は未だに手描きで頑張ってるイメージがあったのだが、本作品は3DCGとの併用だった模様。その点については、もう少し注視すれば良かったなと反省している。


<28位> ゆびさきと恋々

評価:B

お気に入りキャラ:芦沖桜志あしおき・おうし

聴覚障がいのあるヒロインが大学の先輩と手話を通じてピュアな恋に落ちる純愛物語。明らかに女性目線の論法で描かれているのは自分には利点になりにくかったが、桜志の気持ちに雪が鈍感すぎるのはさすがに擁護できないかと。おかげですっかり桜志に感情移入してしまったのだが、百歩譲って雪本人はまさかと思っていたとしても、なぜりんはそれを教えてあげなかったのだろうか。エマの存在も明らかに雪以外のヒロインの必要性によるものであり、つまりは逸臣が障がい者でない子から好意を寄せられていたのに、あえて雪を選んだという点が物語として重要なのだ。このようにかなり都合良く逆算して作られている作品ではあるが、聴覚障がいを持つ雪が逸臣という白馬の王子様に攫われるというシンデレラストーリーを素直に受け入れられるかどうかで評価はガラリと変わってくると思われ、心の汚れた自分には色々と懐疑的な見方が最後まで拭えなかった。


<27位> 結婚指輪物語

評価:B

お気に入りキャラ:グラナート

今期の重婚枠。これまでの「ハーレム系作品」では、”誰と結ばれるのか”が焦点となることが多かったところ、それとは似て非なる「全員嫁系作品」は今後の新たなトレンドとして定着していくジャンルになりそう。思いの外サクサクと5人の指輪の姫君たちと結ばれていき、もしかして1クールでサックリと物語は完結するのかと思ったら、復活した深淵王は想定外の力を持っており無事2期も決定したようでオメデトウゴザイマス(白目)。なお、もったいぶっているのかもしれないが、サトウが妙な拘りを持ちせっかくヒメや他の姫たちとそういう雰囲気になっても毎度ヘタレるのは見ていて割とストレスが溜まり、モテる理由や戦闘におけるその能力も指輪王としての資質ありきなので全く魅力を感じず、ここまで感情移入できない主人公はかえって珍しかった。この期に及んで「俺にはヒメだけだ!」と言えてしまうのがかえって白けるのだが、他の姫たちはつくづく聖人だよなあ…。


<26位> 最強タンクの迷宮攻略~体力9999のレアスキル持ちタンク、勇者パーティーを追放される~

評価:B+

お気に入りキャラ:リリア

もはやカテゴライズ化も待ったなしの「追放系」作品。特筆すべき個性には乏しい作品であり、視聴作品数の調整段階では何度も選外候補に足を踏み入れていたが、なんだかんだヒロインが皆可愛かったので最後まで視聴してしまった。中でも双子ヒロインの一角である姉のリリアは女の子っぽい振舞いは苦手だが実は誰よりも女の子を地で行く性格であり、個人的なツボまっしぐら。『ショコラ』というゲームの某ヒロイン(ちなみに自分の一推しキャラ)に見た目も性格も通じるものがあるのだが、分かる人は少ないか笑 入浴シーンでは彼女が髪を解いた姿を見られるかと期待したのだが残念ながらそれは叶わず。露骨な描写こそ無かったが、彼女もルードへの秘めた恋心があって…という展開を強く所望する。その他、気になったのはきちんと盾で攻撃を防いでいるのに”外皮”が削られてしまう点で、もどかしさが募るばっかりだったけどこれは一般的な設定なのかしら…。


<25位> メタリックルージュ

評価:B+

お気に入りキャラ:ルジュ・レッドスター

ボンズ制作によるSF系オリジナルアニメ。凸凹感溢れる女性同士のバディ関係、オタク心に訴求するキャラデザ、シャープに動く作画と三拍子揃っており、かの『リコリコ』に準じる成功の法則を持ち得ていたため期待値はかなり高かったもののどうにも刺さり切らなかった。3DCGによる効率化の結果なのかもしれないが戦闘シーンの多くがメカ描写となっており、生身の肉弾戦のバトルアクションや銃撃戦を望んでしまう身としては小さくないマイナスポイントだった(戦闘形態グラディエーター変身ディフォルムしてしまうと表情芝居も何も無くなってしまうし)。バディの片割れであるナオミ役の黒沢ともよさんの演技にも要注目であったが、なんかもう10代後半以上のキャラにはその若干舌ったらずな声質が合わない気がしてきた(逆に年齢的に幼い『戦国妖狐』の灼岩しゃくがんや『デレマス』の赤城みりあなどはハマリ役)。来たる『響け!ユーフォニアム』の3期にはその観点も非常に気になっているところである。


<24位> SYNDUALITY Noir

評価:B+

お気に入りキャラ:エリー

1期では認識していなかったが、鴨志田一先生がストーリー原案を担当していたとのこと。終始、女性キャラの配置や恋愛要素にはけっこう惹かれるのにストーリーはなあ…という視聴感だったのもなんか納得できた。同氏の近年のヒット作『青ブタ』シリーズは恋愛要素を交えつつ青春時代の悩みに起因する「思春期症候群」という不可思議な現象をストーリーの主軸としている一方、個人的に贔屓の『Just Because!』は恋愛群像劇をど真ん中に据えているので、恋愛要素の比率が高ければ高いほど自分の趣味嗜好には合致する模様。なので、本作品についてもカナタに淡い好意を寄せるエリーの奥手ぶりやカナタへの愛に殉じたシエルの選択などの描写は非常に良かったものの、ミステルの素性やヴァイスハイトの目的などストーリーの主軸にはあまり惹かれなかったというのが本音。やっぱり、鴨志田一先生のガチ恋愛作品(≠『青ブタ』シリーズ)をまた見てみたいなあ…。


<23位> 真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 2nd

評価:B+

お気に入りキャラ:リット

タイトルがめちゃ長い「追放系」かつ「スローライフ系」作品の2期。相も変わらずキャラデザが抜群に秀逸であり、その期待に応えてか健康的なえっちがすぎるメインヒロインのリットはいついかなる時でもその衣装の胸元は全開なのがジャスティスである。今期はルーティと同様にもう一人の勇者であるヴァンが登場し、その純粋すぎる危うさでレットのスローライフはまたまた遠のいていくのだが、相棒のヴァンに恋する妖精であるラベンダがまた至極強烈。ヴァンが自身を含む全ての人々に加護に殉じることを強要し、いくら周りを傷付け無茶苦茶な行動に出ようとも「ヴァンは今のままでいいんだからね」と彼の全てを肯定する様は男を駄目にする最高の恋人そのものである(ヴァンはあくまでも塩対応だが)。特に続きを求めていたわけではないが続編があるのならこういうのも悪くないを地で行くストーリーとなっており、恋愛描写を中心に今期も無難に楽しむことができた。


<22位> 治癒魔法の間違った使い方

評価:A-

お気に入りキャラ:スズネ 黒騎士/フェルム

とにもかくにも作画・キャラデザが素晴らしい。全然フツメンには見えないフツメン設定の主人公はともかく、完璧超人(?)先輩ヒロインのスズネの黒髪ロングが非常に映えて眼福な限り。『NARUTO』の医療忍者である綱手やサクラの場合は精密なチャクラコントロールの副産物による力の1点集中という怪力の発揮方法だったけど、本作品は治癒魔法使いがその回復能力を生かして自身の体を苛め抜いて過酷な修行を重ねていくことでトップクラスの戦闘力を獲得しており、その「間違った使い方アイデア」にはなるほどと頷かされた。また、魔王軍サイドの女性キャラのデザインも素晴らしく、軍団長のアーミラはカッコ良さと美しさを兼ね備えているし、黒騎士の中身が可憐な褐色美少女だったのもお約束だが大いにツボであった。こうして作画面のバフに助けられた感はあるもののそれなりに個性を発揮してまとまっており、作者の実直さが窺い知れる作品であったといえるだろう。


<21位> め組の大吾 救国のオレンジ

評価:A-

お気に入りキャラ:十朱大吾

最終話での驚愕の真実にビックリ。本作品のあの場面がまさかSF要素で成り立っていたとは…。そしていよいよ新旧揃い踏みの「め組の大吾」の成立も間近に。自分は旧作は未履修なので昔のキャラが登場してもそこまで感慨深くはないのだが、『MFゴースト』然りそういう視聴者でもちゃんと楽しめるように作られているのはありがたい限り(とはいえ、旧作ファンは嬉しいだろうなみたいな想像はできるけど)。後半戦では大吾の活躍に押され気味で引け目を感じていた駿が大いに飛躍し、バディとしてこれまで以上に固い信頼関係で結ばれたのが感慨深い。救助隊員として非凡な発想力と行動力はあれど精神に危うさも見え隠れする大吾、熱い心と優しさと強さを併せ持つ駿がお互いを尊敬し合う関係性は素晴らしいの一言だが、朝比奈&甘粕コンビも然りそろそろBLの魔の手が迫ってきているような気がしてならないのは自分だけだろうか…?(むしろ狙ってる?)


<20位> 俺だけレベルアップな件

評価:A-

お気に入りキャラ:向坂雫

タイトルが安っぽすぎて大分損しているが、素直に『SOLO LEVELING』で良かったのでは。なろう系に見せかけて原作は韓国で大人気を博した作品とのことで、シリアスな導入部からひたすらにスタイリッシュさを追求するような展開には頷かされた場面も多い。韓国作品ってこういうシュッとしたキャラデザ好きだよね感は否めないが、主人公の見た目の変化はもはや別人レベル。なぜ、作中の皆は(驚きこそすれ)同一人物だと気付けるんだ…?実は舞台が日本に変更されるに際し、原作では悪役に近かった日本が架空の島国に変更されたそうで、そんな政治的配慮をしてまでの日本でのメディア化には疑問符が残る。向こうは向こうで思うところがあってのそういう設定なんだろうし、その意図するところがこちらとしては面白くなかったとしても正確に伝わらないのはどうなんだと思う。総じて、「作品に国境は無い」という言葉だけでは全てを語れないのではなかろうか。


<19位> 戦国妖狐 世直し姉弟編

評価:A-

お気に入りキャラ:灼岩しゃくがん

『惑星のさみだれ』でグンと知名度を上げた水上悟志先生による魑魅魍魎・妖怪変化たちが跋扈する戦国世直し物語。前作に感銘を受けた身としては同様に熱い展開を期待したくなってしまうのだが、何はともあれ原作完結後における物語の最初から最後までの映像化というのはそれだけで絶大な価値がある。前作の映像化に際して問題視されていた作画・演出面も、今作については上々に見受けられ安心したのだが、それを踏まえてもなお物語そのもののパワーというか熱さは前作に圧倒的に軍配が上がるというのが正直なところ。個人的な見所として中途で旅の仲間となった灼岩の溌剌とした愛らしさ(黒沢ともよさんの演技も◎)があったのだが、彼女と真介との関係性の描写はなんとも切なく大いに感情移入してしまった。物語としてはまだまだ下地の段階という印象が強いので暫定的な評価に留めたいが、ここから文字通り”化ける”展開を大いに期待したい。


<18位> 魔法少女にあこがれて

評価:A

お気に入りキャラ:阿古屋真珠あこや・またま/ロコムジカ 水神小夜/マジアアズール

通好みなフェチズム満載な仕上がりに変態紳士もニッコリ待ったなしの気弱な少女がなぜか悪の女幹部になってしまい流されるままに魔法少女をSMプレイで苛め抜くことになる倒錯型コメディ。「日本HENTAI国家に生まれてよかったー!」と○田○二ばりに叫びたくなるような際どい描写の数々はギリギリアウトどころか完全に倫理規定外まっしぐらだが、これが許されるのが現代日本なのである。実に素晴らしく誇らしい。もちろんTV放送では規制も多いのだがそれでもなおヤバさは隠し切れておらず、レオパルトの衣装は下半身ほぼ丸出しだし、ロコムジカの何がどうなったらそうなるのか分からないおっぱいだけを放り出すような衣装のデザインはもはや狂気である。海未ちゃん枠と勝手に定義付けたマジアアズールも完全に何かに目覚めており、想定外の場所から風評被害にあった海未ちゃんが非常に気の毒な限り。これで「CV.三森すずこ」だったら完璧だったのになあ…。


<17位> 道産子ギャルはなまらめんこい

評価:A

お気に入りキャラ:夏川怜奈

距離の詰め方が異常なギャルってどうしてこんなにも魅力的なのか。そして例によってお胸がめっちゃデカイ!大好きです、今度も嘘じゃないっす(迫真) 方言女子なのももはやそういうのをそそる要素にしかならないし、ギャルって言ってもウザ絡み系やからかい系じゃない普通の女の子な感じなのものもまた良いのよねえ…。そして密かに重要なポイントなのが、主人公は(というか自分も含めて)「『ギャルが好み』というわけじゃない」という点。自分自身、純粋に好みのキャラなら和風な趣味と柔らかい物腰の夏川先輩を挙げたくなってしまうし、傍目からも四季と先輩が一番お似合いのようにも思える。しかし、「ギャル」の魅力はそれを押し切って自分の領域テリトリーに相手を惹き込んでしまう所にあり、そんな彼女に主人公がドギマギさせられながら段々と夢中になっていく過程こそ本作品の最大の見所であり、言うなればこれは冬木さんが四季を落とすまでの物語なのである。


<16位> シャングリラ・フロンティア

評価:A

お気に入りキャラ:エムル

ユニークモンスター「七つの最強主」の一角である「墓守のウェザエモン」との戦いが中核だった後半戦。原作ファンからも人気の高いシナリオだったようで、はるか格上かつ理不尽な能力を持つ強敵とのバトルはたしかに見応えがあったのだが、前期の感想でも述べたように本作品の魅力の根幹は”自分だけが味わえる特別感”を常に発揮しているところにある。よって、ウェザエモン戦も広義ではそれに当てはまらないわけではないのだが、サンラク自身が偶発的に攻略に挑戦できている「兎の国からの招待」のユニークシナリオ関連が個人的にはやはり一番お気に入り。その過程で知り合ったエムルの姉のビィラックが高レベルの鍛冶師であったことも幸運であったが、どう考えてもシナリオのフラグ設定が厳しすぎるのは気のせいではあるまい。ついに登場した本世界の創造主クリエイターの性格が推し量られるが、この高難易度っぷりは現実なら素直に神ゲー認定されるのかしら…。


<15位> スナックバス江

評価:A

お気に入りキャラ:明美

スナック通いの経験があるわけではないのでリアリティのほどはイマイチ分からないのだが、一般的な作品では省略されがちな場の空気感そのままの男女の会話劇をフル尺で見せてくれるのは教材的な価値がある。少なくとも、競合の少ないジャンル特有のオリジナリティは高評価点。登場人物で特筆すべきはその美貌からは想像もできない歯に衣着せぬ毒舌トークで常連客と視聴者を虜にするチーママの明美はもちろんのこと、童貞の願望丸出しの気持ち悪い言動でほぼ毎週何かしら爪痕を残す森田に尽きる。毎度大きく失笑に偏った笑いを提供してくれる本作品の主力ではあるが、さすがにオ○禁の話は気持ち悪いが過ぎた。スナックのママらがこういう手もきちんと洗って来店しているか怪しい客の相手をしてあげているのを見ているとホント偉大な仕事だと感心するばかり。そして、個人的にお気に入りだったタツ兄役の落合福嗣さんの貫録の演技はさすがやね。


<14位> 佐々木とピーちゃん

評価:A

お気に入りキャラ:星崎さん

おっさん主人公作品において、若い女性がヒロインなのもなんか慣れてきた感覚のあるこの頃。そのヒロインの一角を担う星崎さんはキャラデザからして目元のメイクがめちゃ濃いな~と思っていたら、作中でもハッキリと厚化粧と言及されててめっちゃワラタ笑 彼女には『艦これ』の足柄さん的なニュアンスの魅力を感じていたので真逆の学生設定には盛大にズッコケたけど、思いの外若くて残念って感じることもあるんだなあ…(頑張って背伸びしているっていうのも悪くは無かったけど)。家庭の事情に問題がありそうなヤンデレ気質のお隣さん然り、なんだかんだ主人公と迷コンビになりつつある二人静氏然り、おっさん主人公とヒロインとの関係性が本作品の主軸であったと自分は認識しており、ピーちゃんは正直おまけ要素に近かった。家に帰ると中学生が隣の部屋の前に座っているというのはなんとも蠱惑的なシチュであるが、不用意に保護しなかったのは素直にエライ。


<13位> 月が導く異世界道中 第二幕

評価:A

お気に入りキャラ:巴 澪

まさか2期を制作してくれるとは思ってなかったので1期の放送直後に発表があった時は驚いたものだが、掘り出し物感覚でけっこうお気に入りの作品だったので素直に喜びたい。1期の感想でも述べたが巴(=竜)と澪(=蜘蛛)のダブルヒロインが双方とも魅力的なのでどっちかなんて選べないというのが本音であり、女神からヒューマンとの交流及び結婚を禁じられるというあまりにも重い制約も二人がいてくれるなら報われるというもの。なんだかんだ最強主人公ものには違いないが物語の設定や勢力図は中々に練り込まれており、公式サイトのキャラクター相関図を眺めているだけでもけっこう楽しい。主人公の真が(女神の基準では顔が醜い認定される程度の)フツメン設定なので、周りの登場人物たちも彼のルックスではなくその能力や立ち居振る舞いという中身を慕ってくれる描写が常であり、この点は独自の視聴感を生み出す本作品の大きな強みだと言えよう。


<12位> 姫様“拷問”の時間です

評価:A

お気に入りキャラ:姫

主人公の姫が形ばかりの抵抗を見せるだけで簡単に屈してしまうので、1話を見るだけで誰しもが「ああ、こういう作風なのね」と容易に理解できることであろう。「私は決して屈しない!」はもはや形式美となってしまっているが、なんだかんだ魔王軍の拷問官たちも姫のことが大好きで姫もそんな皆が大好きなのでハートフルなことこの上ない。飯テロ要素が含まれている関係上、作画が上質なのも視聴感の向上に大きく貢献しており、固定ネタ作品でありながら毎週飽きずに視聴できてしまった。なにげに重要なのが姫の相棒(?)の聖剣エクスの存在であり、毎回姫が屈しそうになる度に「姫様!?」と恒例のリアクションとツッコミを入れてくれるおかげで漫才のようなノリとテンポが形成されており、アニメ化の大きな利点になったと言えよう。なお、終盤にやたらとトーチャーの名前を連呼する回があったのだが、原作で初めて名前が付いた回だったのではと愚考する次第。


<11位> キングダム

評価:A+

お気に入りキャラ:信

原作では小さなコマにもかかわらず瞬時にハッとさせられた「でも そこは譲りたくない」という信の一言には、アニメでも変わらず涙腺が刺激された。欲を言えばアニメの演出ではもう少しその言葉の前に”タメ”が欲しかったが、信からの信頼を裏切ってしまい深く反省する尾平に対し、口下手ながらも己の”我儘”を切々と語る信の言葉の一つ一つは本作品屈指の名シーンとなった。手段を選ばない極悪非道な戦いぶりながら「戦いの天才」と謳われる桓騎軍と飛信隊の共闘となった「黒羊丘の戦い」であるが、史実が元であろうその並びから今回のエピソードに結び付けたのは作者の手腕が大いに光るところであり、これからの飛信隊にとっても重要な意味を成すことであろう。その他、”責任感”を買われて決死の渡河を成功させた副長・渕が元麃公軍の我呂に「見直した」と最高の労いの言葉を掛けられたのもまた名シーンであり、非常に見応えのあるクールであった。


<10位> 薬屋のひとりごと

評価:A+

お気に入りキャラ:猫猫マオマオ

猫猫が薬師として様々な面倒事や事件に巻き込まれ…という本作品の主軸はそこまで刺さってはいなかったのだが、後半戦終盤の猫猫の出自が明らかになるシナリオはとても練り込まれており大いに惹き込まれた。胡散臭い軍部の高官であった羅漢、緑青館りょくしょうかんで隔離されていた病気持ちの元妓女、養父として猫猫を育てた羅門(名前にも通じるものがあったのね)との秘められた血縁関係も明らかにされ、実は全てを知っていた猫猫が羅漢との象棋シャンチーの勝負により、気付いたなら良し気付かなければまたそれも良しという彼女らしい賭けをしたのは実に粋な展開。これまでの何気無い描写の数々が実は悉く伏線だったという仕掛けも見事であり、それらが一気に収束するカタルシスは心地がよかった。宦官との恋愛描写を疑問視していた壬氏じんしも重大な秘密を抱えていたようだが(こちらはさすがに掟破りにも思えるが)、個人的にはここで物語が完結でも不満は無かったかな。


<9位> ダンジョン飯

評価:A+

お気に入りキャラ:ファリン

劇場で先行上映がなされたということもあり、作画クオリティには安心感しかなかった。ダンジョンのあらゆるモンスターたちをなんとか美味しく調理して喰らうという作風なので間違っても飯テロにはならないし、知名度の割には意外と刺さる人と刺さらない人は明確に分かれるかも。それにしても、仲間がドラゴンに喰われて消化される前に救出しなければという設定なのに、雰囲気がのんきすぎるのが絶妙にツボ(特にファリンの兄貴かつ一番の当事者のライオス)。実際は我々の世界の常識では図れない見込みと対応策があってのことだったのだが、排他的で馴合いを望まない種族みたいな設定であることも多いエルフのマルシルが一番真剣にファリンを心配していたのは良い描写だった。千本木彩花さんの演技もハマっており、彼女がいてくれたからこそ視聴意欲も高く保てた。ファリンを救出したら終わりかと思ったら今後の伏線もあってどうやら続きがあるみたいね。


<8位> 魔都精兵のスレイブ

評価:A+

お気に入りキャラ:東日万凛あずま・ひまり

タカヒロ氏原作による『アカメが斬る!』と『ラブひな』を足して2で割ったような作風(個人的な主観)のバトルファンタジー。それにしても「女子寮の管理人」とかいうパワーワードのおっさんホイホイっぷりよ…。タカヒロ作品伝統の姉系ヒロインもとい実の姉はやはり強く、どうあがいても主人公(弟)が逆らえないのはお約束か笑 魔防隊七番組・組長メインヒロインの容姿や性癖性格がどことなくエスデス様を彷彿とさせるのも、今度こそ彼女が真の意味で幸せになれる結末を用意したかったに違いないと愚察する次第。能力の代償によるご褒美という名目でえちえちな描写もてんこ盛りだったが、「能力の代償なんだから勘違いしないで!」というツンデレ乙な展開もまたタカヒロ氏のお家芸であり、ホント同氏の集大成と言っても差し支えない作品である。中でも日万凛はド直球なツンデレでご褒美シーンも妙にエロ気合が入ってたし、普段からあの髪型だったら更に良かったのになあ…。


<7位> 弱キャラ友崎くん 2nd STAGE

評価:A+

お気に入りキャラ:七海みなみ

1期放送時には見事自分の感想まとめ記事のサムネを飾った”みみみ”と可憐な文学少女である”菊池さん”のダブルヒロインに焦点が当たった2期。当然ながらみみみ推しの自分としてはそちらに話が進んで行くことを期待したが、”お似合い”という観点からは菊池さんに少々分があるしそういう方向に行きそうな雰囲気もあるし…と不安視していたら案の定であった。とはいえ、こういうハーレム系作品で最初に付き合ってしまうのって別れるフラグでもあるので、かえって良かったのかもと心を落ち着かせている最中である。二人とも「主人公の前でしか出せない”本音”を見せてくれたキャラ」であり、特に菊池さんは葵の交友関係外から友崎自身の力で仲良くなった存在であるので、その出会いから丁寧に描かれたヒロインとしては第一ラウンドの勝者に一番相応しかったのかもしれない。みみみの逆襲を期待して止まないが、最後のあの言葉はけっこうグッサリきたなあ…。


<6位> ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する

評価:A+

お気に入りキャラ:リーシェ・イルムガルド・ヴェルツナー

前期の『ティアムーン帝国物語』の亜種的作品とも言えるが、同作と同様に間違いなく今期一のダークホース作品。同作はヒロイン兼主人公のミーアのお調子者な面と周りの勘違いが生み出すコミカルさが魅力であったが、本作は同様の立場に置かれたリーシェの過去6度ループした人生で培われた聡明さと良妻っぷりが魅力であり、その美貌も相まって今期のヒロインの中でも一二を争うお気に入りであった。中でも、アルノルトがリーシェに指輪を作るための宝石を選ばせるエピソードは珠玉の一言であり、リーシェが「この人の瞳と同じ色をした石はありますか?」とポツリと零したのはどんな愛の言葉よりも純粋で尊く、けして恋愛一辺倒ではない二人が互いに惹かれ合っていることが自然と滲み出ていたのは実に素晴らしかった。このように一見女性目線の物語でありながら男性をもたまらない気持ちにさせてしまう描写が豊富なのは、本作品の非凡さの象徴だと言えよう。


<5位> ぽんのみち

評価:A+

お気に入りキャラ:林リーチェ

『五等分の花嫁』の春場ねぎ先生のキャラクター原案による5人のキャラたちは全員可愛いがすぎる出来映え。中でも某ムギちゃんムーブを惜しげもなく晒すリーチェは友情に焦がれるお嬢様として期待どおりの活躍を見せ、世間にいくらパクリ乙と罵られようとも自分が許す。チョンボありおふざけありのゆる~い麻雀ライフはガチ競技勢には目も当てられないものであろうが、1クール作品としては限りなく”正しい”選択だと確信する。下手にインターハイとか言い出すと絶対に尺が足りなくなるしね…。また、スマホゲーの「雀魂じゃんたま」を作中でもプレイしていたのは嬉しいサプライズであり、人知を超越した異能力が飛び交う『咲』よりもむしろ麻雀欲を巧みに唆られ、今期は暇さえあればなにかと一局嗜んでしまった。最終話の寂寥感を煽りつつも静かにフェードアウトする引き際も見事であり、「終始無駄しか無かったが全く無駄が無かった」という最高級の褒め言葉を贈りたい。

【キャラ総評】

十返舎じっぺんしゃなしこ
HM「なしこ」。「○○しかなしこちゃんじゃ!」が決め台詞。一見騒がしい猪突猛進キャラに見せかけて成績優秀、魚を捌くのもお手の物など割と万能に何でもできてしまう器用な子。よく刺身を何も付けずに食べてたのは謎だったが…。最終話での彼女の憂いは本作品が日常系であった証であり難民キャンプという暗喩でもあった。

河東かわひがしぱい
HM「超びっくりアップルパイ!」。一見ゆるふわ癒し系キャラに見せかけてアウトドアもお手の物のアクティブガール。個人的には本作品での春場ねぎ先生によるキャラ造形では一番完成度が高かったと評価。それにしても元雀荘でカレーを作って雀卓をテーブルにして皆で食べるってだけで1話使うってホント自由な作品だったな…。

徳富泉
HM「2の2のいずみち」。ボーイッシュな見た目が『咲』の江口セーラを彷彿とさせるキャラ。ザンクを3回刻むより12000を和了る方が好きかどうかは不明。○と×のヘアピンが特徴的だったが、作中では特に言及されることは無かった。初期3人組では一番の麻雀経験者だったが、親戚のおっちゃんたちにはすごく可愛がられてそう。

林リーチェ
HM「リーチェいっぱつ」。尋常じゃないお金持ちのお嬢様の個人的一推しキャラ。モデルは間違いなく某軽音部のあの子だろうが、こういうリアクションをしてくれる子がいると日常の何気ない”普通”が”特別”に感じられてなんとも心が温まる。純金製の麻雀牌を作ってきた時は度肝を抜かれたが、数億は下らない代物のような…。

江見跳えみ・はねる
HM「FOOL’SMATE」。なしこたちより一つ年上の本作品唯一と言ってよい麻雀ガチ勢キャラ。本作品の作風からはむしろ浮いてしまっていたが、なしこたちとの出会いが彼女にもたらしたものもたしかにあったと確信できるのは何より。結局、彼女の当初の目的だったリーチェとの真剣勝負は数えるほども無かったな…(むしろ皆無?)。


<4位> 葬送のフリーレン

評価:S-

お気に入りキャラ:フリーレン

後半クールの中核となった『NARUTO』の中忍試験編よろしく一級魔法使い試験編。とはいえ、当のフリーレンやフェルンは相変わらずなこともあって激アツだった前者とは異なりタンパクな印象もあったが、ここからいくらでもサブストーリーが広がりそうな個性豊かな受験者たちがわんさかと登場し毎週飽きることがなかった。デンケン&ラオフェン、カンネ&ラヴィーネ、ユーベル&ラントなど名コンビ(?)にも事欠かなかったが、個人的な最推しはヴィアベル&エーレのなんともこそばゆい関係性。フェルンとの戦闘で動けなくなったエーレの「おんぶして」は反則級に可愛かった。なんだかんだヴィアベルも憎めないキャラよね。エルフという長命な種族にとっては些細で刹那的な時間なのかもしれないが、「彼ら」「彼女ら」は間違いなく”今”を生きており、それが”後日譚”という静けさと混じり合い独自の感慨へと視聴者を導いてゆくのは本作品の白眉たる所以だと言えよう。


<3位> うる星やつら

評価:S-

お気に入りキャラ:三宅しのぶ

往年の名作のリメイクも2期(実質3クール目)を迎え、令和の世におけるリメイク作品としてさらに洗練されてきた感すらある。昨今のコンプライアンス事情から原作よりもパワーダウンしているという原作ファンの意見もあるようだが、少なくとも”選び抜かれた原作エピソード”というのは大納得だと感じており、あたしの派の自分にとって今期の「扉を開けて」は大いな救いとなる秀逸なエピソードであった。あくまでも印象値なのだが、旧アニメではしのぶは面堂にかなり傾倒しておりあたるはほとんどアウトオブ眼中だったのが、リメイクでは特に意中の相手は無く本人は拒否しつつもあたるとの関係性もそこまで悪くはないように見え、もしかしたらこんな未来もあるのかもしれないと思えてしまった。何度でも言うが本リメイクのキャラデザは本当に秀逸であり、原作の絵柄のエッセンスを取り入れつつ現代的なスタイリッシュさも併せ持つ珠玉の出来を毎回実感している。


<2位> ようこそ実力至上主義の教室へ 3rd Season

評価:S

お気に入りキャラ:軽井沢けい

1年生編も終盤戦を迎え、相変わらずえげつない試験の数々が生徒たちの精神を抉りにかかるが、「ホワイトルームで俺よりも優れた人間は存在しない」という言葉もあったように、自らの実力に疑いを持たない綾小路の冷静沈着かつ時に無情とも思える淡々としたやり口が見所であるので、それを期待した視聴者には変わらず満足の行くものだったのでは。とはいえ、意外とモテている様子やグループとしての親交など彼なりにこの貴重な3年間を充実したものにしたいと思っている節、徐々に周りもその実力を認識し始め彼自身が利害を越えて興味を持つ生徒も増えていることなど、その行動原理は確実に人間臭いものに近づきつつある。そんな中で、綾小路に内心メロメロになっている軽井沢は健気で可愛いが過ぎ、終始満更でもなく彼に翻弄されている様は毎度こちらも頬が緩んで仕方が無かった(自分だけを名前で呼んで欲しいという独占欲の描写は至高の一言)。


<1位> 僕の心のヤバイやつ

評価:S

お気に入りキャラ:山田杏奈&市川京太郎

「MyGO!!!!!」のライブ映像で羊宮妃那さんを見て、そうかこれは「山田」の髪型なんだと気付いてからは、きっと彼女にとってもブレイクのきっかけになった特別な作品なんだろうとしみじみと感じている。手探り状態だった1期とは一転して”覇権候補”としての風格を存分に備えた2期では引き続き山田と市川の「これまで」「この今」「これから」の全てが尊く、開幕からこの順位は不動のものであった。かつて「渚は朋也の嫁」という言葉があったが、本作品においてもそのまま「山田は市川の嫁」という言葉として流用することができ、「ヒロインとしての山田」「主人公としての市川」というよりは「二人の関係性」が何よりも愛おしかった。市川の姉の香菜、山田の友人の萌子、原さん、山田狂モデルのニコ先輩、新たなクラスメイトのカンナ、ユリネなどサブキャラの面々とのやり取りも全て二人への祝福のように感じられ、本当に贅沢な気分を満喫することができた1クールであった。


<劇場版4位> 大室家 dear sisters

評価:A

お気に入りキャラ:古谷向日葵

正直ストーリーも何もあったものではないが、原作ファンなら『大室家』のキャラたちが綺麗な作画で喋って動いてワチャワチャしているだけで楽しめてしまうので文句は特にない。ただ、やはり43分という上映時間は短すぎると言いたくなるのが本音で、これに1,500円払うのか…という思いは否定できないところ。「dear sisters」ということで大室三姉妹にフューチャーした内容になるかと思いきや、普通に「dear friends」的な要素もあったのでそもそも前編・後編に分ける必要があったのかについては疑問が残るが、上映時間の件も含めてきっと大人の事情なんだろう。長女・撫子の恋人はグループ内の誰なのかについては原作でも厳密にシークレット扱いだが、なんかもう上手いこと3股しているんじゃないかとすら思えてきた(一応、めぐみ派)。本作品随一の「ガチゆり」要素であるので割とアダルトな面も匂わせてくれるのだが、この点は是非ともガチ討論したいなあ…笑


<劇場版3位> 劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦

評価:A+

お気に入りキャラ:月島蛍

「烏VS猫」のゴミ捨て場の決戦。かねてから因縁のある2校同士の試合ということで展開は基より、日向と研磨の高校の枠を越えた友情、研磨と黒尾の子供時代からの腐れ縁という関係性オタク歓喜の熱いトライアングルが大いに火を噴いていた。「1試合分の85分」というリアルなスピード感重視の試合描写は意見が分かれるところであろうが、爽快感と試合への没入感という点を重視するなら”正解の選択肢の一つ”という表現に収束しそうか。そんな限られた時間の中で、登場人物各々に見せ場を作らなければならないのは作者(及び脚本家)もさぞ骨が折れることだろうが、ブロック一つ、スパイク一つ、そして笑顔一つで瞬時にドラマ性を色濃く放出してくれるツッキーはやはり強いなと。尖った意見にはなるだろうが、この因縁の2校ならいっそ回想シーンも一切排除してセリフや試合描写だけに振り切って描くという挑戦的な選択肢もアリだったのではないだろうか。


<劇場版2位> 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM

評価:A+

お気に入りキャラ:イングリット・トラドール

ファン待望の『SEED』シリーズ正統続編。正にその言葉通りの期待を裏切らない要素の目白押しであり、ツッコミどころ満載というか整合性が取れているところを見つける方が難しいぐらいだが、それすら「らしい」展開として全て肯定的に捉えることができてしまうのは衆目の一致するところだろう。実際、124分という長丁場ではあったが退屈に思えた場面は皆無であり、最初から最後まで『SEED』の世界観エッセンスを存分に堪能することができた。このようにファンムービーとして終始「正解」を選択し続けた本作品は一種の「完成形」として成り立っており、「同人」でもなく「if」でもない「正史」として素直に受け入れることができたのは偉業という他ない。唯一残念だったのはかつてより劣化気味なキャラデザであったが、ファウンデーション陣営のイングリットは別格であり、その運命に抗いたくても抗えない「純愛」は、ある意味本作品では異質な人間臭さに溢れた「良心」であった。


<劇場版1位> デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章

評価:S-

お気に入りキャラ:中川凰蘭

インパクト抜群のタイトルとは裏腹に全くご存じなかった作品であったのだが、地球外からの侵略者による終末世界の物語は予想外に肉厚で噛み応え抜群。ズシンと響く音響・画面一杯のダイナミックなカットなど劇場作品ならではのポテンシャルを十二分に発揮していたので、原作ファンも大納得の出来映えだったのでは。緩いキャラデザも相まって青春要素も交えた日常系の様相を呈しつつも徐々にシリアスな「深層=真相」に踏み込んでいく展開は巧みであり、どっちつかずではない高レベルな「二刀流」の要素を併せ持つ作品だと言えるだろう。なんというか”こういう作品を見なきゃなあ”という充足感を存分に満たしてくれる作風であり、「浅野いにお」という傑物に敬意を表したい。個人的な主観を敢えて述べさせてもらうなら、美少女然としたキャラデザではなくともこれは”少女たち”の物語であるからこそ魅力的であるということ。この主張を譲る気は毛頭ない。


<2024冬アニメ総評>

自分はこの「note」という媒体にて各クールのアニメの感想の投稿を始める前は、2014春アニメから私的文書として仲間内だけで感想の紹介を行っており、そこから通算すると今期の2024冬アニメをもってちょうど10周年という区切りを迎えることとなった。「note」への投稿は2019春アニメからであるので、先日においてそこへ至るまでの期間(2014春アニメ~2019冬アニメ)の感想をざっと振り返るための投稿を行わせていただいたので、よろしければ併せてご覧いただきたい。

どちらかと言えば口下手で頭の回転もけして早くない自分にとって、この「感想を投稿する」という行為は、例えば居酒屋でアニメの感想を語り合う時間よりもじっくりと時間をかけて言葉を紡ぐことができ、また備忘録的側面からも大事にしていきたいのだが、最近改めてしみじみと身に染みているのは、「記事にしたから読んでほしい」と「ここにいるんだから語ってほしい」は二律背反の関係にあり永遠にその溝は埋まらないという事実である。
口下手な自分としては、今ここで自分が語る拙い言葉よりもじっくりと時間を掛けて推敲も重ねて完成させた文章こそを読んでほしいのだが、文章でコメントをくれたらいくらでもコメント返しするからという理屈はどうにも通らないらしい。上手くいかないものである。
そんな自分も居酒屋でアニメの感想を語り合うという時間はとても貴重で楽しい時間とは思っているのだが、そこで真に語りたいのは「執筆した記事の概略」ではなく「その記事についてどう感じたか」という発展的な要素なのである。しかし、そのような場で求められるのはほとんどの場合で実質的な前者であり、また場の話題の流れによってはそこにすら至らない場合も珍しくない。
であるので、たまに後者の領域まで踏み込んで来てくれる機会があった時は本当に嬉しいし、執筆者冥利に尽きるというのが本音である。

前置きが長くなってしまったが、今期のアニメについてである。順位から分かるように「シリーズ作品」が最上位を独占しており、新規作品は比較的大人しい印象であった。各クールの主力としては、新規作品(もっと欲を言えばオリジナルアニメ作品)に奮起して欲しいと常に願っているのだが、リスク管理の観点からは当然の流れだとも同時に思う。昨今は最終話の放送後、即座に2期の発表がある作品も珍しくないが、それを素直に喜べない自分がいるのもまた事実である。そういう意味では今期の『メタリックルージュ』や『勇気爆発バーンブレイバーン』には相応の期待を抱いていたのだが、そこまで刺さることはなく肩透かしをくらった感は否めなかった。いや、「ああ、やっぱりか…」という表現の方がより近いかもしれない。とにもかくにも、全く下地の無いところからバズるのがいかに困難であるかという証明がまたもされてしまう結果となった。

そんな中、奮起したのが『ぽんのみち』である。広島県尾道市を舞台にしたまごうことなきオリジナルアニメであり、自分も大好きな麻雀を題材にしているということでかなり楽しみにしていたが、見事その期待に応えてくれた形となった。前情報は全く仕入れずに視聴していたので、自分としては「終わってみれば日常系作品だったな」という感覚だったのだが、そもそもにおいて「日常系」のオリジナルアニメを作りたいという趣旨で始まった企画らしく、『咲-Saki-』のような本格的な競技麻雀作品にする気ははなから無かったとのこと。上記の感想でも述べたが、その判断は大英断だと自分は思っており、非常に上手く「キン肉マン化」を成し遂げたなと感心しきりであった。

今期の楽曲で一番のお気に入りだったのは、『道産子ギャルはなまらめんこい』のED「わやわやわー!」である。

昨今は毎クール必ずいわゆる「オーイシ枠」があるが、「オーイシ作詞作曲枠」も同時にかなりの確率で存在している(何気にかの『【推しの子】』の劇中歌「サインはB」もオーイシが手掛けた楽曲である。)。本作品のOPの「なまらめんこいギャル」についてはオーイシ自らが歌っているのだが、こちらは「なまらめんこいギャル」というド直球のフレーズがゴリ推し気味に繰り返されるのでちょっと深度がイマイチだなと生意気にも感じてしまった。そのフレーズは敢えて全く使用しないか、満を持して最後の最後でみたいな心意気が欲しかったところ。それこそ、『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』のOP「ギフト」のようなバランス感覚がちょうど良いというのが自分の(勝手な)理想論である。

『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 2nd』のED「導き、捧げて」はメロディーラインが非常に秀逸。歌詞も本作品の主題に寄り添った暖かみを感じるものとなっており、毎週聴くたびに癒されていた。

そして、見逃せないのが『葬送のフリーレン』のED「Anytime Anywhere」が第2クールでも続投になったこと。世界観の構築がとにかく素晴らしく、前期では一番お気に入りの楽曲であったので、制作陣とも意見が合致したのかなと内心かなり嬉しかった。

映像面からは、『僕の心のヤバイやつ」のOP「僕は…」はやはり欠かせない。サビで皆が体育館でダンスしているシーンでのちょっと照れながら手足をオズオズと動かしている市川とリズムに乗ってノリノリで踊っている山田とのギャップは語り尽くされた論点だろうけど良いものは良い。こういう演出に拘って表現してくれるのがジャパニメーションの神髄よね。

そしてなんと同曲には、中の人繋がりで「MyGO!!!!! cover ver.」というコラボ企画も存在する。なんという俺得…(ゴクリ

そして、『ぽんのみち』のOP「ポンポポポン」も映像が楽しくて毎週楽しみだった。公式でループ映像が公開されているのも遊び心満載であり、クセになるのを分かってやってるのが素晴らしい笑 サビ前のダンスシーン(ちょうどサムネになっているところ)が特に好きで、センターのなしこがとにかく可愛い。歌詞は麻雀用語(主に役名)が次々と登場するが、親と一緒に視聴していた小さい子がこれをきっかけに麻雀に興味を持ってくれるなんてこともあるかもしれない。これは見るしかなしこちゃんじゃ!

『最強タンクの迷宮攻略~体力9999のレアスキル持ちタンク、勇者パーティーを追放される~』のED「夢の中で」は毎週ラストの一枚絵で主人公のルードに寄り添って寝ているキャラが変わっていくのが粋な演出。自分が第8話のリリアver.で盛大に悶えていたのは言うまでもない。

その他、『姫様“拷問”の時間です』のOP「まっさかさマジック!」も中毒性が高くてクセになる良楽曲。最後の方の姫とトーチャーたちが謎のダンスをループしているところが特にお気に入りだった笑


前置きでも悶々と語ってしまいましたが、結局何が言いたいかというとこんな自己満足に満ちた長文をここまで読んでくれた方には「感謝」の一言しか無いということです。
そんな感じで11年目からも変わらずマイペースでやっていきますので、今後とも「豆蔵」を何卒よろしくお願い申し上げます。


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