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【超私的10周年記念企画・後編】歴代アニメ感想振り返り(2016秋~2019冬)

さて、以下【後編】では、引き続き2016秋アニメ~2019冬アニメについて、改めて当時の感想を掘り起こしつつ振り返りを行っていきたい。
企画の趣旨については、【前編】の冒頭で述べさせていただいているので、もし未読の方であった場合はそちらを参照されたい。


【2016秋アニメ】

<視聴作品一覧>

『亜人』
『ViVid Strike!』 ◎
『WWW.WORKING!!』
『うどんの国の金色毛鞠』
『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(2期)
『競女!!!!!!!!』
『3月のライオン』
『DAYS』
『夏目友人帳 伍』
『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』
『響け!ユーフォニアム2』 ☆
『舟を編む』
『ブブキ・ブランキ 星の巨人』
『魔法少女育成計画』
『ユーリ!!! on ICE』 ○
『Lostorage incited WIXOSS』
『ろんぐらいだぁす!』
『私がモテてどうすんだ』
(※五十音順。☆は1推し、◎は2推し、○は3推し)

<ピックアップ作品>

『ViVid Strike!』

飛び散る血潮に唸る拳、およそ愛と夢に溢れる魔法少女コンテンツとは無縁と思われる単語がしっくり当てはまる異例の作品。
本作品の個人的ベストバウトは本作品のダブル主人公であるフーカとリンネの因縁の決闘ではなく、ウィンターカップブロック決勝の「リンネVSヴィヴィオ」に尽きる。
「力」のリンネと「技術」のヴィヴィオの対決となったが、特にヴィヴィオの繰り出す技の数々が『はじめの一歩』世代には涎垂もの。
まさかヴィヴィオがフリッカージャブの使い手だったとは…笑
前作の『なのはViVid』では格闘技に魔法も交えていたが、今回のバトルは魔法を(ほぼ)封印したガチンコの肉弾戦。
こうして、各々が背負っている信念を込めた拳と拳で語り合う熱い展開を美少女キャラでやってしまうのも立派な方法論だなといった感じで、自分はそういうのに非常に弱いというのを改めて強く思い知らされたのであった。

<総評>

視聴本数は(自分としては)控えめなクールではあったが、そのラインナップの豪華さに改めて驚かされた。
特に『響け!ユーフォニアム2』は京アニ史上最高峰の出来映えと言っても差し支えなく、1クール放送とは思えないほど濃密だった前半の「みぞれと希美」、後半の「あすかと久美子」のドラマは、今でも自分の心に深く刻みつけられている。
『ユーリ!!! on ICE』も非常に素晴らしかったが、現在だったら間違いなくフル3DCGで制作されていたんだろうなと思うと、ギリギリ滑り込みでこの時期に制作されることとなったのは非常に僥倖であった。
特に名曲OP「History Maker」があの美麗なタッチで描かれた芸術的な映像ではなく、3DCGで制作されていたらと思うとちょっとぞっとしない。
そして、『競女!!!!!!!!』の押し寄せてくるハチャメチャは、当時大いに仲間内で話題になってたなあ…笑


【2017冬アニメ】

<視聴作品一覧>

『ACCA13区監察課』
『うらら迷路帖』
『CHAOS;CHILD』
『ガヴリールドロップアウト』
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(2期)
『クズの本懐』
『この素晴らしい世界に祝福を!2』
『小林さんちのメイドラゴン』
『3月のライオン』 ◎
『スクールガールストライカーズ』
『セイレン』 ☆
『チェインクロニクル ヘクセイタスの閃』
『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』 ○
『亜人ちゃんは語りたい』
『BanG Dream!』
『風夏』
『政宗くんのリベンジ』
『南鎌倉高校女子自転車部』
『幼女戦記』
『弱虫ペダル NEW GENERATION』
『リトルウィッチアカデミア』
『Rewrite』(2期)
(※五十音順。☆は1推し、◎は2推し、○は3推し)

<ピックアップ作品>

『セイレン』

何を隠そう始めてプレイした恋愛ゲームが「True Love Story Summer Days, and yet...」であった自分は、現在でも「トゥルーラブストーリー」(無印、R、2、3、SD)→「キミキス」→「アマガミ」→「セイレン」と系譜を連ねるシリーズ全体の大ファンである。
そして『セイレン』では、計6人(+α?)のヒロインが紹介されていたにもかかわらず、大人の事情によりキービジュアルの3人のシナリオしか描かれなかったのは非常に残念であり、今でも2期若しくはシリーズの流れとしてのゲーム化を切望している(ちなみに推しキャラはキービジュアル右手の桃乃今日子)。
シリーズ全体を履修していると、過去のキャラとの意外な繋がりにニヤリとしたり、主人公の妹や姉の設定の歴史に時代を感じたり、このヒロインのシナリオは「スキルート」寄りか「ナカヨシルート」寄りかのような考察ができたりして2倍、3倍に楽しみが増えるのだが、本シリーズについてガチの討論ができる仲間と機会には今日まで恵まれなかったので、本記事を読んでくれた方にその辺りに明るい方がもしおられたら、是非ともコメントなどいただけると僥倖である。

<総評>

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の後半戦はマクギリスの独りよがりな行動原理に端を発するシナリオ終盤の失速もあり、イマイチな評価を受けることも多いと思われるが、復活して外見も性格もイケメンに変貌を遂げたガエリオと天然可愛いジュリエッタとの噛み合っているのか噛み合っていないのか分からない絡みが好きすぎて、その1点だけでもお釣りがくるほど楽しめてしまったというのが本音。
『BanG Dream!』のアニメは、本クールにおける1期の作画、シナリオ面に難点がありすぎて未来のお客さんを盛大に失ってしまったのは非常に残念。
手描き作画の根強い信者である自分をして、本シリーズの2期以降のフル3DCG化は大英断かつ大成功だと認めざるを得ず、制作会社のサンジゲンによる手描き表現に勝るとも劣らないセルルックの神髄による表情芝居の可能性を極限まで突き詰めた職人芸は最大限に評価している。
また、作画面での不安が払拭されたためか、シナリオもシリーズが進むにつれてどんどん良くなっており、特に2023夏アニメの『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』は作画、シナリオの両面で本シリーズ史上最高傑作となっているので、1期で見限ってしまった方にも是非とも戻ってきてほしいと願っている。


【2017春アニメ】

<視聴作品一覧>

『アリスと蔵六』
『エロマンガ先生』 ☆
『GRANBLUE FANTASY The Animation』
『クロックワーク・プラネット』
『冴えない彼女の育てかた♭』
『サクラクエスト』
『サクラダリセット』
『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』
『進撃の巨人』(2期)
『sin 七つの大罪』
『正解するカド』
『ゼロから始める魔法の書』
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア』 ○
『月がきれい』 ◎
『つぐもも』
『ひなこのーと』
『武装少女マキャヴェリズム』
『フレームアームズ・ガール』
『僕のヒーローアカデミア』(2期)
『弱虫ペダル NEW GENERATION』
『リトルウィッチアカデミア』
『Re:CREATORS』
『恋愛暴君』
『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』
(※五十音順。☆は1推し、◎は2推し、○は3推し)

<ピックアップ作品>

『エロマンガ先生』

前作『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』では文才がありすぎたのかそれぞれのキャラに狂信的なファンが付き過ぎてしまい、あちらを立てればこちらが立たずという苦境に追い込まれた結果、それまで積み立ててきたファンの期待と信頼を裏切り、最終的に誰も幸せになれない強烈な危険球を投げて退場となった(と自分は認識している)伏見つかさ先生の次回作。
前作ではメタ的に作中でも登場人物に語らせていたように、「実妹」をメインヒロインとして取り扱うことのリスクと難易度の高さに懲りたのか、今回はいさぎよく「義妹」をメインヒロインに据えており、ローリスクローリターンの戦術に落ち着いた模様。
キャラの魅力は相変わらずなのでそれでも十分面白かったのだが、やはり自分の目からすれば「逃げ」の一手であるという認識はどうしても拭えず、原作もきちんと最終巻まで完読したものの前作ほどの高揚感は最後まで得られなかった。
『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』に関する考察記事はいつか執筆したいと構想しているものの、原作全12巻をしっかりとメモを取りながら改めて読み込むという作業が中々に大仕事であり一体いつになることやら…。
ちなみに、自分の「note」におけるアイコンはもうお分かりのように本作品から借用させていただいているものであり、大のムラマサ先輩推しであったことはお察しのとおりである。

<総評>

『エロマンガ先生』『GRANBLUE FANTASY The Animation』『冴えない彼女の育てかた♭』とA-1 Picturesが大車輪の活躍をしたクールであり、それぞれの作品できちんと高いクオリティを維持して仕上げてくるのはさすがと言う他ない。
P.A.WORKSの「お仕事シリーズ」第3作の『サクラクエスト』のヒロインである「だんないよ」の口癖が印象的な四ノ宮しおりは、キャラデザ(サラサラのロングヘアをお団子で纏めているというフェチズム)、毎日でも聴きたくなる癒しのCV(上田麗奈さん自身もお気に入りの役だったらしい)、母性に溢れた優しい性格(と巨乳)と3拍子揃った女神のような存在であり、歴代でもトップクラスにお気に入りのヒロインの一人である。
『月がきれい』は青春を通り越してもはや純愛の域に達している名作であるが、中学生のカップルがそのまま…というのはちょっとリアリティに欠けるかなという点だけは気になった。
あとはやはり、『武装少女マキャヴェリズム』のような優良なアクションコメディが各クールに一つはあると毎週の楽しみが増えますな。


【2017夏アニメ】

<視聴作品一覧>

『アホガール』
『異世界食堂』 
『異世界はスマートフォンとともに。』
『終物語』
『賭ケグルイ』
『潔癖男子!青山くん』
『ゲーマーズ!』
『恋と嘘』
『コンビニカレシ』
『サクラクエスト』
『サクラダリセット』
『戦姫絶唱シンフォギアAXZ』
『DIVE!!』
『徒然チルドレン』
『ナイツ&マジック』
『ナナマル サンバツ』
『NEW GAME!!』(2期) ◎
『はじめてのギャル』
『Fate/Apocrypha』
『プリンセス・プリンシパル』 ○
『ボールルームへようこそ』 ☆
『僕のヒーローアカデミア』(2期)
『魔法陣グルグル』
『Re:CREATORS』
『ようこそ実力至上主義の教室へ』
(※五十音順。☆は1推し、◎は2推し、○は3推し)

<ピックアップ作品>

『恋と嘘』

厚生労働省が現実ではあり得ない権力を持ち、一定の年齢になると政府通知という形で将来の結婚相手が強制的に決められてしまう世界での純愛と葛藤を描いた作品。
世間的な評判はそこまでだったようだが、二人のヒロインが作中でほぼほぼ対等の扱いを受けており、最後までどちらが主人公と結ばれるか分からずハラハラドキドキさせられるガチのダブルヒロインものは意外と少ないので、アニメ終了後も先の展開が気になりすぎて原作を買い揃えてしまった。
現代版「ロミオとジュリエット」とも言うべき本作品ほど、高崎さん(=美咲)と莉々奈のどちら派であるか皆に聞いて回りたくなる作品もそうそうないだろう。
ちなみに自分は莉々奈派だったのだが、年上だけど世間知らずな箱入り娘でそれでも主人公のことは(最初はともかくとして)健気に一途に想い続けてくれて…という作者曰く「最強のヒロイン」という表現も納得の存在である。
一方、高崎さんは「最強の美少女」と表現されており、「どこかこういう子いるよねと感じる部分があるような現実を纏った女の子」という説明も合点のいくものである。
本作品は、最終的に「双方のヒロインエンドを用意する」という掟破りとも言うべき収束を迎えるのだが、これはかなり初期段階のプロットで既に決定していたそうな。
現状、最適解の一つなのは自分も否定はしきれないかなあ…。

<総評>

『NEW GAME!!』の2期は本当に素晴らしく、放送中は何度涙腺を刺激されたことか…。
2期では原作が4コマ漫画であることが信じられないぐらい真剣な「お仕事」の描写が増え、特にキービジュアルのコンペのストーリーでは、青葉が偉大な先輩であるコウの作品を一目見た瞬間の「あぁ……すごいなあ……」という独白が全てを表現し切っており、悔しさや憧憬やその他の色々な感情が一気に涙腺から溢れ出す青葉とシンクロ率400%の状態になってしまった。
『ボールルームへようこそ』の実力はもはや説明不要であるが、『プリンセス・プリンシパル』というオリジナルアニメの傑作が放送された点も見逃せない。
まるで2クール分のシナリオが用意されているかのような歯抜けのタイトルナンバーを時系列はバラバラにして放送するという粋な構成と、シナリオ全体に渡る秘密の真相のパズルがカチリと組み合わさった瞬間のカタルシスは最高峰のものであり、こうした「遊び」と「敢えての空白」を有する作品は今後は中々表れないかもしれない。
そして、『徒然チルドレン』の他にも、『ダイヤのA』『はじめの一歩』『ベイビーステップ』『風夏』『生徒会役員共』『七つの大罪』『DAYS』という近年アニメ化されたラインナップを有していた当時の週刊少年マガジンはなにげにスゴかったのかも…と改めて思わされた次第。


【2017秋アニメ】

<視聴作品一覧>

『アイドルマスター SideM』
『アニメガタリズ』
『いぬやしき』
『妹さえいればいい。』
『URAHARA』
『王様ゲーム The Animation』
『おそ松さん』(2期)
『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series』
『クジラの子らは砂上に歌う』
『3月のライオン』(2期) ◎
『Just Because!』 ☆
『十二大戦』
『少女終末旅行』
『Dies irae』
『干物妹!うまるちゃんR』
『Fate/Apocrypha』
『ブレンド・S』
『ボールルームへようこそ』 ○
『僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件』
『魔法陣グルグル』
『魔法使いの嫁』
『結城友奈は勇者である2-鷲尾須美の章-/-勇者の章-』
『ラブライブ!サンシャイン!!』(2期)
(※五十音順。☆は1推し、◎は2推し、○は3推し)

<ピックアップ作品>

『Just Because!』

高校生活最後の3か月を描く青春群像劇。
デッサン的な観点からの作画面はお世辞にも褒めることはできないが、ちょっとした表情や目線の変化、微妙な会話の間など細かい部分で視聴者に悟らせようとする演出がじわりと心に染みる。
すれ違いや勘違いの描写も絶妙であり、三角関係もとい意外と押しの強いヒロイン二人による主人公不在の場面での水面下のバチバチのやり取りも至極極上であった。
そして、主人公に真っ直ぐに好意をぶつけてくる後輩の小宮ちゃんがとにかく可愛く、「言っとくけど偶然じゃないから。待ち伏せだから」とか言われた日にはもう堪らない。
現在の投稿形式で本クールの感想を投稿していたら、間違いなくサムネを飾っていたのは彼女だっただろう(各クールの感想まとめのサムネは当該クールの個人的No.1ヒロイン)。
今でも定期的に見返したくなる傑作であり、鴨志田一先生の作品の中では一番のお気に入りだったりする。
欲を言えば、冬クールに放送してくれていたらよりリアルタイムの情感が増えて良かったのになあ…。

<総評>

『3月のライオン』では、原作ファンが待ちに待っていた「あの場面」が遂に映像化の日を迎えた。
ひなたがこれからの学校生活が怖いと怯えながらも放った心の叫びは、花澤香菜さんの会心の演技も相まって視聴者をもその感情の渦に巻き込み、本作品中最高峰の名場面に。
この時の零の独白のセリフがまたハッとさせられて素晴らしいのよねえ…。
また、『結城友奈は勇者である』の「鷲尾須美の章」は、本シリーズ中自分が最もお気に入りの章であり、「この子があの時のあの子だったなんて…」という衝撃(見た人にはきっと誰のことか分かるはず)には涙が止まらなかった。
そして引き続き、『ラブライブ!サンシャイン!!』では「週刊ラブライブ‼」なるものを毎週綴っていたのも恒例行事であり(注:今回の【後編】の投稿に際し、【前編】【2016夏アニメ】の項にて『ラブライブ!サンシャイン!!』についての加筆事項あり)、2期は主にメタ的な観点から楽しめるかどうかで評価はガラッと変わってくるとの認識である。


【2018冬アニメ】

<視聴作品一覧>

『おそ松さん』(2期)
『からかい上手の高木さん』
『グランクレスト戦記』
『恋は雨上がりのように』
『刻刻』
『3月のライオン』(2期)
『スロウスタート』
『宇宙よりも遠い場所』 ☆
『だがしかし2』
『たくのみ。』
『ダーリン・イン・ザ・フランキス』 ○
『刀使ノ巫女』
『七つの大罪 戒めの復活』
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
『ハクメイとミコチ』
『BEATLESS』
『魔法使いの嫁』
『三ツ星カラーズ』
『ゆるキャン△』 ◎
『弱虫ペダル GLORY LINE』
『ラーメン大好き小泉さん』
『りゅうおうのおしごと!』
(※五十音順。☆は1推し、◎は2推し、○は3推し)

<ピックアップ作品>

『宇宙よりも遠い場所』

1クールのオリジナルアニメとしては、いまだに最高傑作であるとの認識が不動のものである至高の青春成長物語。
本作品については、「某アイドル作品」のような作品タイトルの重みによる呪縛から解放された花田十輝先生が実に伸び伸びと脚本を書いているなと勝手に実感した次第であり、キャラ間の会話のやり取りが秀逸すぎて当時の感想では「各話ベストセリフ集」なるものまで作成してしまった(下記参照)。
ED曲の「ここから、ここから」も至極お気に入りであり、特に1話のラストの入りに合わせてフル尺で重ねる演出には、「もうこれが最終話でいいんじゃないかな」と本気で思ってしまったほど。

<おまけ>各話ベストセリフ集

<総評>

『からかい上手の高木さん』『恋は雨上がりのように』『3月のライオン』『スロウスタート』『宇宙よりも遠い場所』『だがしかし2』『ダーリン・イン・ザ・フランキス』『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』『三ツ星カラーズ』『ゆるキャン△』『ラーメン大好き小泉さん』『りゅうおうのおしごと!』等々、優良作品の目白押しであり、【前編】において「この10年間で一番の豊作クール」とコメントした2014秋アニメに勝るとも劣らない豊作クールであった。
やはり、『宇宙よりも遠い場所』のようなオリジナルアニメの傑作があると当該クールの満足度が段違いなので、しつこいようだが毎クールにおいて切にそれを期待している。
そして、『ゆるキャン△』の放送をきっかけとして(ソロ)キャンプブームに火が付いたもこの頃だったろうか。
『ゆるキャン△』の影響で、春~秋にかけた屋外でも過ごしやすい季節に行われるイメージだったキャンプやバーベキューが冬にも積極的に行われるようになったのって偉大な功績よね。
元々、焚火(特に炭火)を眺めるのが好きな性分だったので(ここだけ聞くとなんか危ない人のようだが…)、仲間内で晩秋~初冬にかけて毎年ささやかなバーベキューイベントを開催するようになったのも嬉しい出来事であった。


【2018春アニメ】

<視聴作品一覧>

『あまんちゅ!~あどばんす~』
『ウマ娘 プリティーダービー』
『かくりよの宿飯』
『ガンダムビルドダイバーズ』
『グランクレスト戦記』
『こみっくがーるず』
『シュタインズ・ゲート ゼロ』
『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』
『多田くんは恋をしない』 ○
『ダーリン・イン・ザ・フランキス』 ☆
『東京喰種トーキョーグール:re』
『刀使ノ巫女』
『七つの大罪 戒めの復活』
『ピアノの森』
『ひそねとまそたん』
『ヒナまつり』 ◎
『BEATLESS』
『僕のヒーローアカデミア』(3期)
『魔法少女サイト』
『メガロボクス』
『メジャーセカンド』
『ラストピリオド ―終わりなき螺旋の物語―』
『Lostorage conflated WIXOSS』
『弱虫ペダル GLORY LINE』
『ヲタクに恋は難しい』
(※五十音順。☆は1推し、◎は2推し、○は3推し)

<ピックアップ作品>

『多田くんは恋をしない』

「サンボマスター」の名曲「ラブソング」をメインヒロインのテレサ役の石見舞菜香さんがED曲としてカバーしているという1点において、まずは最大限の評価をしたい(多田くん役の中村悠一さんによるカバーも非常に素晴らしかった。)。
本作品はこの曲のPVとして制作されたのではと思うほどで、書き下ろしではなく過去にリリースされた曲であったことに当時大いに驚かされたのを覚えている。
近年は『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』の椎名真昼役や『【推しの子】』の黒川あかね役など、活躍の幅を広げている石見舞菜香さんであるが、本格的なメジャーデビューは本作品のテレサ役だというのが個人的な認識である(そして、出世作は『フルーツバスケット』(再アニメ版)の本田透役)。
何気ない日常描写の中にも繊細な表情芝居やさりげない仕草の表現が光るいぶし銀の作品であったが、てっきり…<結婚式当日>シャルル「テレサ、時間だよ」テレサ「はい、今行きます」(コトッ 窓際に置かれる写真立て。そこに映っていたのは眩いばかりのあの日の彼と彼女の笑顔であった…的なほろ苦くも美しいラストを迎えるものだとばかり妄想考察していたのは、きっと自分だけではあるまい…?

<総評>

本来はアニメに先駆けて2018年冬に原作ゲームがリリース予定だった『ウマ娘 プリティーダービー』であるが、アニメの1期がこの時期に放送された後の2021年2月24日に、アニメの2期の放送に合わせてようやく原作ゲームがリリースされたというのは、改めて長い時間待たされたものである(ちなみに、自分は原作ゲームは最初の1日でドロップアウトした。)。
『ヒナまつり』はホロリと泣かせる人情話あり、クズな大人たちに翻弄されるいたいけな子供の姿あり、任侠ものの軽快な悪ノリありと超能力要素はむしろ添え物であり、作中の人間ドラマの面白さが際立っていたので、2期を切に望む。
また、極めて個人的な所感ではあるが、『メガロボクス』におけるまるでセル画時代に戻ったかのような線と塗りの見事な表現力と、どこか退廃的でありそれでも消えない火は燻っているという「らしい」雰囲気の演出の中で、未来における「ジョー」と「力石」の再戦を演出してくれたトムス・エンタテインメントの100%中の100%の仕事に、なぜ『八月のシンデレラナイン』はこうならなかったのかと血涙を流していたのは懐かしい思い出である。


【2018夏アニメ】

<視聴作品一覧>

『ISLAND』
『あそびあそばせ』 ○
『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』
『かくりよの宿飯』
『ガンダムビルドダイバーズ』
『ぐらんぶる』
『殺戮の天使』
『シュタインズ・ゲート ゼロ』
『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』
『進撃の巨人』(3期)
『すのはら荘の管理人さん』
『ちおちゃんの通学路』
『ハイスコアガール』 ◎
『バキ』
『Back Street Girls -ゴクドルズ-』
『ハッピーシュガーライフ』
『BANANA FISH』
『はねバド!』 ☆
『はるかなレシーブ』
『プラネット・ウィズ』
『Free!-Dive to the Future-』
『僕のヒーローアカデミア』(3期)
『メジャーセカンド』
『ヤマノススメ サードシーズン』
(※五十音順。☆は1推し、◎は2推し、○は3推し)

<ピックアップ作品>

『ヤマノススメ サードシーズン』

ここまでこの「ピックアップ作品」では、各クールにおける新規作品を取り上げてきたが、あえてのシリーズ作品を今回は取り上げたい。
本シリーズにおいて、この「サードシーズン」はあおいとひなたの関係性に微妙に亀裂が入る重めな内容となっており、それがちょっとした意見の食い違いなどによる微笑ましいケンカであれば良かったのだが…。
クラスメイトや登山を通じて知り合ったほのかなど、ひなたたち以外にも仲の良い友人が増え、アルバイトも精力的にこなすなど、徐々にその世界を広げながら変わっていくあおい。
引っ込み思案だけどいつでも自分を一番に頼りにしてくれ、自分はそんな彼女の世話を焼いてあげなければと思っていた親友が徐々に独り立ちしていく姿に、焦りと一抹の寂しさを感じるようになったひなた。
そんな中でひなたは、あおいからクラスメイトに遊びに誘われたからひなたも来てくれないかと言われた時も、それが面白くなくてつい断ってしまい、それからも少しあおいに冷たく接するようになってしまう。
こんな風になんとも心苦しいリアリティに溢れ、これが現実ならそのまま疎遠になってしまうことも珍しくないような展開と感情の揺らぎが真正面から描かれており、「サードシーズン」の視聴中は辛い気分になることも多かった。
しかし、これまでもトラブルにより途中で登頂を断念する場面があるなど、「楽しいけど楽しいだけじゃない」シリアスな展開は本シリーズの真骨頂でもある。
そうした様々な試練も乗り越えてきたからこそ、彼女たちは大いに心の成長を遂げ、4期「Next Summit」での感慨深いフィナーレを迎えることができたのである。
一見、ゆるやかな日常系作品であるかのような雰囲気を纏いながら、その実こうした「作者にとっても勇気ある決断」ができる本シリーズはもっと評価されるべきだと個人的に思っており、オススメの日常系作品を聞かれたときの有力候補の一つとなっている作品である。

<総評>

『はねバド!』は開幕からその躍動感とカメラワークに瞬時に勝利を確信したほど。
シナリオ面でもキャラの闇の部分もきっちりと描くことにより二面性を演出する手法を多用しており、これによりストーリーに深みを出すとともに、キャラの光の部分を描く際のコントラストがより強くなる効果がもたらされていた。
とにもかくにも、登場するキャラはことごとく魅力的だし、純粋にスポーツ作品として面白過ぎるので2期はよ。
『ハイスコアガール』は世代的なぶっ刺さり具合も凄まじかったが、ヒロインの晶の可愛さが図抜けていた。
彼女に対して春雄があれこれ一方的に喋っている様に、「ToHeart」の来栖川先輩という恋愛ゲーム史に残る偉大な無口系ヒロインの姿と重ね合わせてしまったのはきっと自分だけではあるまい。
小春もこれぞ理想のヒロインと言いたくなるぐらい可愛かったけど、どことなく「オタクってこういう子が好きなんでしょ?」という雰囲気を察してしまったことだけが、ほんのちょっとマイナス点。
『あそびあそばせ』や『ぐらんぶる』などのギャグ系作品もレベルが高く、『ハッピーシュガーライフ』や『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』などの独自の世界観を有する個性的な作品もあり、中々にバラエティに富んだクールであった。


【2018秋アニメ】

<視聴作品一覧>

『アニマエール!』
『色づく世界の明日から』 ☆
『うちのメイドがウザすぎる!』
『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』
『風が強く吹いている』
『ガイコツ書店員 本田さん』
『寄宿学校のジュリエット』
『SSSS.GRIDMAN』
『ゴブリンスレイヤー』
『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』 ◎
『ソードアート・オンライン アリシゼーション』
『ソラとウミのアイダ』
『ゾンビランドサガ』
『ツルネ ―風舞高校弓道部―』
『転生したらスライムだった件』
『とある魔術の禁書目録III』
『東京喰種トーキョーグール:re』(2期)
『となりの吸血鬼さん』
『バキ』
『走り続けてよかったって。』
『BANANA FISH』
『火ノ丸相撲』
『ひもてはうす』
『ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。』
『やがて君になる』 ○
『ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士』
『RErideD-刻越えのデリダ-』
『RELEASE THE SPYCE』
(※五十音順。☆は1推し、◎は2推し、○は3推し)

<ピックアップ作品>

『やがて君になる』

ストーリーのほとんどが侑と燈子先輩の会話で占められているのに、なぜこんなにも引き込まれるのか。
その答えは「演出力」にあるのではと思い至った。
ストーリーはむしろ各々の場面に至るまでの下地作りに過ぎず、そこでの二人の表情、感情、息使い、目線、会話の間、セリフ、カット割り、シチュエーション、などなどそういったものに自分は我々は見惚れてしまったのだろう。
さらに、燈子役の寿美菜子さんの演技がとにかく素晴らしく、表情が先なのかセリフが先なのか分からなくなるぐらい、その場面の感情の高鳴りが前のめりに伝わってきて、こちらまで思わず赤面してしまうほどであった。
特に大きな動きが必要なシーンがあるわけではないし、舞台美術もごくありふれたもの。
だがしかし、本作品のアニメ化には大いに意義がある。
この物語の「結末」ももちろん知りたい、だがそれ以上にこうした「過程」を感じられたことだけで十分な満足感を得られる稀有な作品であった。
なお、ED曲の「 hectopascal 」及び挿入歌の「好き、以外の言葉で」については、過去に単独記事も執筆したほどお気に入りだったので、よろしければ併せてご覧いただきたい。

<総評>

『色づく世界の明日から』は、P.A.WORKS史上最も美麗な作画を誇る作品であり、常に絵画を見ているかのような色鮮やかさとモノクロトーンの対比が織りなす美しい世界と装飾品の数々はまるで美術館に迷い込んだようであった。
さらに主題歌を始めとした音楽面も素晴らしく、視聴時は常にイヤホン着用の上で画面に食い入るように魅入っていた。
大きな話題になった『SSSS.GRIDMAN』のほか、『ゴブリンスレイヤー』『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』『ゾンビランドサガ』『転生したらスライムだった件』など、後にシリーズ化され人気を博した作品群がズラリと並んでいるのも中々に壮観である。
ちなみに、自分は六花の太ももよりもムジナさんの太もも派(聞いてない)。
そういえば、『ゾンビランドサガ』はまだ完結してなかったな…。
巽とさくらの過去にまつわる伏線っていつになったら回収されるんだろうか(あとは、山田たえの自我の目覚めも)。


【2019冬アニメ】

<視聴作品一覧>

『上野さんは不器用』
『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』
『賭ケグルイ✕✕』
『風が強く吹いている』
『ガーリー・エアフォース』
『荒野のコトブキ飛行隊』
『五等分の花嫁』
『ソードアート・オンライン アリシゼーション』
『盾の勇者の成り上がり』
『転生したらスライムだった件』
『とある魔術の禁書目録III』
『ドメスティックな彼女』 ○
『BanG Dream!』(2期) ☆
『ピアノの森』(2期) ◎
『火ノ丸相撲』
『ブギーポップは笑わない』
『魔法少女特殊戦あすか』
『約束のネバーランド』
『revisions リヴィジョンズ』
『私に天使が舞い降りた!』
(※五十音順。☆は1推し、◎は2推し、○は3推し)

<ピックアップ作品>

『五等分の花嫁』

平成時代の最後にして昨今のラブコメ市場における「成功のテンプレ」の基礎を築き上げた、偉大かつ罪深くもある作品。
近年の感想で話題にすることも多い「5」という数字は、例外なく本作品に由来しており、登場するヒロインの黄金数として様々な作品にその派生と応用が見られるところである。
もう一つの特徴は、こうしたハーレム系作品において「(もっとも分かりやすい「五つ子」という形で)対等な立場のヒロインを複数設定した」という点であり、「主人公に(少なくとも読者の目から見れば)最初から特定の意中の相手がいない」ため「誰が選ばれてもおかしくない」という相関関係を有し、それは昨今の「推し」の文化と非常に親和性が高いことが大きな強みとなっている。
そんな中で、「主人公に最終的に誰か一人をハッキリと選ばせる」というハードルも自然と高くなっていると言えるが、それを逃げずに描き切ることこそ作者の腕の見せ所であるし、魅力的なキャラと設定を生み出した者としての責務であるのではないだろうか。

<総評>

上記の【2017冬アニメ】の項でも述べたように、フル3DCGへの移行により完全に羽化した『BanG Dream!』の2期が個人的に最大の見所(ストーリーはちょっとアレなところもあったが…)。
とはいえ、本作品が1推しとなったことについては、全体的な評価としては正直物足りない部分はあったかもしれない。
懐かしさを感じる要素としては、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』は1期ではきちんと「頭脳戦」をしていたし、『五等分の花嫁』の推しキャラである二乃がこの頃はまだデレておらず(むしろそこが良かったのだが)、麗しいロングヘアだったのもまた然りである。
『約束のネバーランド』については、個人的には世間の評価ほどにはハマらなかった印象。
『私に天使が舞い降りた!』はむしろ陰キャなコミュ障で非モテ設定のみゃー姉こそが影のメインヒロイン。
いや、これについては「影」でもないのかな…笑


【今回の企画の総評】

今回の企画については、【前編】の冒頭でも述べさせていただいたとおり、自分が「note」にて投稿を始める前の期間における各クールの感想まとめを蔵から引っ張り出してきたものを基に構成している。
当初は当時の文書をコピペしていけばそんなに手間はかからないだろうと高を括っていたのだが、現在の価値観で加筆・修正したくなる箇所も至る所にあり、結果的に大多数の箇所を新規で書き下ろすという大仕事になってしまった。
特に各クールにおける<総評>の項は、当時には存在しなかったのでその全てが書き下ろしなのだが、リアルタイムではなく当時を思い出しながらというのはかなり骨の折れる作業であった。

そんなこんなで、極めて自己満足な備忘録的側面が強くなってしまったのは否定できないが、ありがたくも本記事に目を通してくれた方にとっても何かしら得るものがあればと可能な限りの力は尽くしてみたつもりであるがいかがだったろうか。
今回の企画で一つ気付いたのは、放送当時に高評価を付けていても今となっては内容がほとんど思い出せない作品がそれなりにあった一方で、低評価でありながらも今日まで度々話題に出す機会があったなど、むしろ親しみすら覚えている作品もまた多かったことが挙げられる。
こういった作品の印象の差というのは、どうして表れるのかと改めて不思議に思った次第である。

なにはともあれ、こうして無事【10周年】を迎えられたことは素直に喜びたいし、これからも気力の続く限りはアニメ作品の視聴と感想の執筆は続けていきたい。
引き続き、「豆蔵」を何卒宜しくお願い致します。


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