Mami_Mamemoto

熱帯医学の勉強をしています

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最近の記事

リーシュマニア・プロマスチゴートはヒトの網内皮系細胞に侵入し、脾腫やリンパ節腫脹を起こす。VLの診断にはrK39 ICTとDATがある

間欠的な発熱を来した南スーダンの7歳女児現病歴 南スーダンのクリニックに、7歳の女児が4週間持続する発熱で受診した。主に午後に発熱がみられ、悪寒とときに痙攣を伴う。発熱と発熱の間は当初は元気で普通に遊んでいたが、次第に、食欲不振、空咳、胸痛、関節痛、背部痛がみられるようになった。 入院歴はないが、最近、他のクリニックに受診し、詳細不明の錠剤を内服したが、改善は見られなかった。 身体所見 意識清明、顔色不良だが黄疸はない。重度の栄養失調(Zスコア<3)である。バイタルサイ

    • 狂犬病は迅速かつ適切な曝露後予防により、ほぼ100%予防可能。頭部に近い部位の暴露は潜伏期間短縮のおそれあり

      マラウイ出身の35歳女性の発熱と高度の貧血現病歴 南インドに住む20歳の健康な男性が、発熱と四肢麻痺のため地元の病院に入院した。 4日前から発熱があり、最初は左足のしびれと脱力感があり、その後2日間で四肢に及ぶようになった。発症1カ月前に左下肢を野良犬に咬まれ(WHOカテゴリーIII),抗狂犬病ワクチン(精製ニワトリ胚細胞ワクチン)を5回接種したが,狂犬病免疫グロブリン(RIG)は投与されなかったという病歴がある。 身体所見 入院時、意識清明(GCS15/15)。血圧

      • 侵襲性非チフス性サルモネラ菌感染症は、サハラ以南のアフリカの多くの地域で、HIV陽性の成人における敗血症の最も一般的な原因

        マラウイ出身の35歳女性の発熱と高度の貧血現病歴 35 歳のマラウイ人女性が、発熱と衰弱のため地元の病院を受診した。発熱は3日前からで脱力感は数カ月間にわたって進行している。咳や寝汗はないが、体重が減少しているとのことである。下痢や排尿困難はなく、異常出血の既往もない。 2ヶ月前、彼女は体が弱くなったため、地元のヘルスセンターを訪れた。顔色が悪いため、鉄剤が処方された。しかし衰弱は進行した。それ以外に特に異常はない。 彼女は離婚しており、3人の子供(17歳、15歳、12

        • 腸チフスでは腹部圧痛、脾腫、前頭部痛、比較的徐脈がみられる。Widal testは役立たず

          発熱と腹痛を呈したマラウイ共和国の16歳少女現病歴 16歳のマラウイ人少女が、5日前からの発熱、全身の腹痛、前頭部痛のため、地元の病院の救急外来を受診した。 彼女は5か月前に出産した。妊婦検診でHIV検査は陰性であった。その他の既往歴は特記すべきことはない。 彼女は両親と3人の兄弟と赤ん坊と一緒に都会の高密度地帯に住んでいる。家には水道も電気もない。家族は地域の水道から水を汲んでいる。少女は小学校に通っていたが、妊娠中に退学した。 身体所見 栄養状態は良好。体温3

        リーシュマニア・プロマスチゴートはヒトの網内皮系細胞に侵入し、脾腫やリンパ節腫脹を起こす。VLの診断にはrK39 ICTとDATがある

        • 狂犬病は迅速かつ適切な曝露後予防により、ほぼ100%予防可能。頭部に近い部位の暴露は潜伏期間短縮のおそれあり

        • 侵襲性非チフス性サルモネラ菌感染症は、サハラ以南のアフリカの多くの地域で、HIV陽性の成人における敗血症の最も一般的な原因

        • 腸チフスでは腹部圧痛、脾腫、前頭部痛、比較的徐脈がみられる。Widal testは役立たず

          色素減少性の感覚が鈍い皮疹+末梢神経肥厚でleprosyを疑う。診断的検査はSlit skin smearだがTTでは菌が陰性の場合が多い

          右上肢に青白い斑点があるインド出身の18歳男性現病歴 インド在住の18歳男性。3ヶ月前から右上腕と前腕に青白い斑点があることに気がついた。かゆみや痛みはないが、皮疹部の感覚が鈍くなっているとのことである。また、右手小指の軽いしびれを訴えているが、脱力感はない(右利き)。それ以外は健康状態に問題はない。皮膚疾患の家族歴はない。 身体所見 右腕外側に 20cm × 10cm の色素減少した皮疹があり、前腕まで及んでいる(図 83.1)。 皮疹部の皮膚は乾燥している。色

          色素減少性の感覚が鈍い皮疹+末梢神経肥厚でleprosyを疑う。診断的検査はSlit skin smearだがTTでは菌が陰性の場合が多い

          シャーガス病には2つの病期がある。医療関連の感染が問題

          労作性呼吸困難を呈したボリビア出身の30歳女性の症例現病歴 30歳の女性がスペインのある病院の外来を受診した。彼女はサンタクルス(ボリビア)生まれで、4ヶ月前にヨーロッパに到着した。過去20年間は都市部に住んでいたが、幼少期は農村部で育った。 2年前から労作時の中等度呼吸困難(NYHAII)が進行し、短時間で自然におさまる動悸を伴うと報告している。他の病歴はなく、薬の服用はない。妊娠を希望している。 身体所見 診察の結果、血圧は110/65mmHgである。脈拍は40b

          シャーガス病には2つの病期がある。医療関連の感染が問題

          重症デング熱では非特異的な消化器症状が出現しうる:ヘマトクリットと体液量評価が鍵

          ショック状態になったベトナム出身52歳男性現病歴 52歳の男性が腹痛と嘔吐のため、ベトナム・ホーチミンの都市部の病院に運ばれてきた。4日前から眼窩後部の頭痛、嗜眠、筋肉痛、発熱があり、ここ24時間は改善傾向である。2型糖尿病とコントロール不良の高血圧の既往がある。最後に市外を旅行したのは数年前である。 身体所見 傾眠がみられるが覚醒可能である。GCS 14/15、体温36.5℃、血圧105/90mmHg、心拍数120bpm、呼吸数28回/分、SpO2 93%(室内気

          重症デング熱では非特異的な消化器症状が出現しうる:ヘマトクリットと体液量評価が鍵

          流行地域での重篤な発熱+結膜充血でラッサ熱を考慮する;病初期のリバビリン投与がおそらく有用

          発熱と結膜炎を呈したシエラレオネ出身の28歳女性現病歴 28歳の女性が、6日前からの発熱、脱力感、咽頭痛、胸骨後面の痛みでシエラレオネ東部の小さな田舎の病院を受診した。過去2日間、1日2回の緩い便があった。入院前日に地元のヘルスポストを受診し、アモキシシリンとamodiaquine [1940年代から使用されている4-amioquinalone, Chloroquineと類似の構造] を含む抗マラリア薬の投与を受けたが、容態は悪化した。診察の結果、軽度の咽頭炎を除いては特記

          流行地域での重篤な発熱+結膜充血でラッサ熱を考慮する;病初期のリバビリン投与がおそらく有用

          ブタとの接触+神経症状でneurocysticercosisを想起する;Taenia solium

          グアテマラ出身の31歳男性に生じた急性の下肢脱力としびれ現病歴 過去に既往のない31歳のグアテマラ人男性が、数分間の下肢の脱力感としびれでニューヨークの病院を受診した。症状は病院に到着する直前に消失した。2週間前にも顔面痙攣が2回あったが、介入なしで10秒後に治まった。 彼はグアテマラの僻地で生まれ、5年前にニューヨークに移住する前まで住んでいた。グアテマラでは、彼の家族は無許可で豚を飼っており、彼の家には衛生設備がなかった。 身体所見 バイタルは正常であった。脳神経

          ブタとの接触+神経症状でneurocysticercosisを想起する;Taenia solium

          性器潰瘍では、HSV, 梅毒, chancroidを考慮する。chancroidは有痛性

          29歳ガンビア人男性の性器潰瘍現病歴 ガンビアの 29 歳の男性が、7日前から陰部に有痛性のただれを訴えて来院した。それまで彼は元気であった。2週間前にコンドームを使用せずにコマーシャルセックスワーカーとセックスした。 身体所見 かなり痛そうで、痛みのために歩くのも困難な状態である。熱はなく、栄養状態は良好である。一般診察は異常なし。陰茎、陰嚢、大腿内腿に多数の有痛性潰瘍を認める(図12.1)。潰瘍は圧痛があり、軟らかく、易出血性である。鼠径リンパ節腫脹はない。

          性器潰瘍では、HSV, 梅毒, chancroidを考慮する。chancroidは有痛性

          トーゴの皮下結節と失明はblack flyによって媒介されるオンコセルカ症を考慮する: イベルメクチンの歴史

          皮下結節と角膜混濁を呈したトーゴの40歳男性現病歴 トーゴ出身の40歳男性が地元のクリニックを受診した。彼は、過去4年間に両目の変化に気づいていた。視力障害はない。彼の村では、彼が気づいた目の変化とよく似た症状を示した後、完全に失明した大人が各家庭にいる。 また、過去20年の間にできた皮膚の下に痛みのない隆起も観察された。この患者は、夜眠れないほどの強い装用感も訴えている。 患者は、流れの速い川の近くのサバンナにある村に居住している。川の近くには小さな刺すハエがよく

          トーゴの皮下結節と失明はblack flyによって媒介されるオンコセルカ症を考慮する: イベルメクチンの歴史

          住血吸虫症の急性期には便に虫卵が見られないことがあるため臨床的に疑う場合は繰り返し検査を行う

          モザンビークから帰国した43歳男性旅行者の発熱と好酸球増加の症例現病歴 5月21日、43歳のドイツ人男性が発熱のため地元のトラベルクリニックを受診した。4月16日から4月30日までモザンビークに滞在した後、4月30日から5月17日までチリに渡航していた。モザンビークではマラリア化学予防薬を服用せず、発熱のためアトバコン/プログアニルでマラリアの自己治療を行ったと報告した(4月27日から4月29日)。3日前からの発熱が再出現し、来年前日には39.8℃の高熱があった。熱の他に頭

          住血吸虫症の急性期には便に虫卵が見られないことがあるため臨床的に疑う場合は繰り返し検査を行う

          東南アジアおよびオーストラリア北部で雨季に小児の化膿性耳下腺炎をみたら、メリオイドーシスを考慮する

          右化膿性耳下腺炎を呈したラオス出身の3歳男児現病歴 ラオス農村部に住む3歳の男児が、10日前から右頬に徐々に痛みを伴う腫れが生じ、それに伴う発熱と食欲不振を訴え、耳鼻咽喉科クリニックを受診した。3日前に母親が耳からの膿性分泌物に気づいた。咳嗽、嘔吐、下痢はない。外耳道炎や歯科疾患の既往はなく、外傷歴もない。発達は正常で、予防接種を受けたこともある。両親は稲作農家である。 身体所見 具合が悪そうにぐったりしており、39.5℃の発熱がある。右耳下部から前方にかけて直径6~8

          東南アジアおよびオーストラリア北部で雨季に小児の化膿性耳下腺炎をみたら、メリオイドーシスを考慮する

          アフリカの小児の昏睡では、マラリアと非マラリアの鑑別に眼底検査が有効である

          ウガンダの4歳女児の昏睡現病歴 雨季の東ウガンダの農村での症例。 それまで健康だった4歳女児が、事故救急部(Accident and Emargency: A&E)にやってきた。父親の話では昨日まで元気だったとのことである。 午後からひどい頭痛に襲われ、夕方には悪寒戦慄が出現した。父親はこの地域でよく見られるマラリアの一種であると考え、翌朝に村の保健所に連れて行くことにしていた。子どもはぐっすりと眠っていた。 午前5時、家族が目を覚ますと、少女はけいれんしていて、けいれん

          アフリカの小児の昏睡では、マラリアと非マラリアの鑑別に眼底検査が有効である