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STマークを見てみよう!

ある日たまたま手に入れた古いおもちゃ、一体いつ頃作られた物なんだろう?
調べたくてもメーカー公式サイトもカタログもないし…さて、どうしたら?
そんなときには、パッケージのどこかにバーコードと一緒に必ず印刷されているであろうSTマークを見ることから始めてみましょう。
普段ならまず気にすることがないこのマークですが、読み解けるようになると該当商品に関する情報をアレコレ類推することができたりするんです!

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この記事をご覧の方の中には「そもそもSTマークとは何ぞや?」という方もいらっしゃるかもしれません。詳細な解説は公式サイトに譲りますが、ざっくりまとめると…

日本玩具協会が定める玩具安全基準に基づいた、3つの検査項目
・使用者を物理的に傷つけない形状や強度であるか
・燃えやすい可燃性の材質で作られていないか
・人体に対して有害な化学物質が材料に混入されていないか

第三者機関によるこれらの徹底した検査をクリアした玩具のパッケージに
印刷される、いわば安全のお墨付きのことです。
マーク名称も読んで字の如く「Safety Toy」の略称となっています。

また万が一、STマークがついた玩具を使用中に購入者がケガなどをした場合に販売した企業が被害者に十分な損害賠償を行えるよう、発生した賠償金や訴訟費用に対して共済金を支払ったりもします。
世の玩具会社さん方は決して安くないSTマークの使用許諾手数料や共済掛金(マークを使用すると納入義務が発生する)を納めて、我々が安心安全におもちゃで遊べるように心を砕いてくれているわけですね。

さて、例としてここにユカちゃんのクールクール冷蔵庫についているSTマークを用意しました。検索頼りの急ごしらえの知識ではありますが、一つずつ解説していきます。

まず「玩具安全基準合格」の下にある13桁の番号がSTナンバー
検査に合格すると付与される合格番号というもので、そのままバーコードにも使われます。各々の数字の意味はこうなっています。

49…国際流通機関基準での識別コードで日本を表す
74189…国の識別コード49とワンセットで製造会社を表すコードになる
27811…検査に合格した製品の管理番号
5…チェックデジット(符号の誤入力防止に用いられる数字)

そして一番重要なのが、STの向かって右下隅にぽつねんと記載された数字。
これはSTマークを記載するために検査受検を申請し合格した年の、西暦下2桁を表しています。
この数字があれば、正確な発売時期を断定することはできないまでも、少なくともいつ生産され受検しパスできたかの目星を付けることができます。ちなみにこの冷蔵庫は下2桁が11なので、2011年に検査受検を申請した物になります。
またSTマークの有効表示期間は2年で、2年ごとに検査を受け直さないといけない決まりになっているので、現在店頭で見られるユカちゃんはマークの横に13か15と書かれているはずです。

一方、現行品以外の古いユカちゃんの検査申請年は1桁で表記されています。
1990年から始まった検査申請年の表記が、2002年から下2桁表記に変更されたため、1桁表記の物なら90年代に生産されたと考えられます。
これらを踏まえると、私が所有するコレクションは以下の時期に検査を受検したものと思われます(※キッチンバッグにはSTナンバーはあるものの、STマーク自体はないため除外しています)
こうしてみると、2000年代に検査を受けていた物があるのが驚きです…。

・ミニキッチン:1=1991年
・冷凍冷蔵庫:受検の初申請はミニキッチンやエアーポットと同時期?
・ルンルンエアーポット:2=1992年
・おふろあそび:7=1997年
・ビューティードレッサー:4=1994年
・プチカクテル:3=1993年
・おやつですよ!:6=1996年
・おべんきょうバッグ:9=1999年(情報提供に感謝します!)
・にこにこ4ドアー冷蔵庫:03=2003年
・ラブリーキッチン:5=1995年
・キッチンルームPART2:9=1999年
・Newモーニングセット:8=1998年
・キッチンキャビネット:9=1999年
・シンクユニット:9=1999年
・ごはんですよ!:1=1991年
・ミニバスケット:2=1992年

ちなみに日本玩具協会さんの公式サイトではST試験合格商品のオンラインデータベースを提供してくださっているのですが、公開範囲は2008年10月1日以降に受検申請し合格した物のみとのこと。
現状情報を閲覧できているのは冷凍冷蔵庫とエアーポットのみで、商品名の一部変更など興味深い事柄も見ることができます。

さて、ここからはおまけの話題になります。
そういえばシリーズ最初の商品であろう、ミニキッチンのコピー品であるさよちゃんにもSTマークがついているのを思い出し、一応見てみました。

このアルファベット1文字+数字7桁1987年まで使用されていた表記タイプで、読み取り方はこうなります。

A578…企業を特定するために割り当てられた固有の番号
2…昭和〇〇年(年号)の下1桁
031…上記の年に冒頭の番号の企業が受検申請をし合格した商品の順番

さよちゃんのコピー元になったであろうオリジナルのミニキッチンで使われている食品パッケージの年代からして、正規品が検査受検を申請し合格したのは昭和62年(西暦1987年)であることは明白です。
よってオリジナルは真田プラスチック工業所さんが昭和62年に検査を申請しパスすることができた31番目の商品であり、さよちゃんはそれをまるごと完コピしたということになりますね。
…ここまで調べていてちょっと考えたのですが、これはユカちゃん1987年生まれ説の根拠の一つになりはしないでしょうか? 1987→1989→1991年に申請を繰り返してるなら、筋は通りますが…しかし確定に足る材料がなければ、私の妄想止まりでしょう。
真相は未だ藪の中ですが、これだけの知見を齎してくれたSTマークに対し
感謝の気持ちを持ってここで終わりたいと思います。

すごいぞ! STマーク!

※追記
さよちゃんに使われているSTマークは真田さんが本来有しているものとは一切合致しなかったことをここで報告しておきます。STマークも適当とは恐れ入りました…。

とりあえず、私の中だけでユカちゃんは1987年生まれと暫定的に考えることにしました(新しいコレクションがまだなので、勝手な研究ぐらいしかやることがなく…。重ねて言いますが、確定情報ではありません)
コピー品を推理材料にするのは問題あるでしょうが、仮にも30年もの間売れ続けたそのすごさを今はただ素直に称えたいと思います。

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