こないだのアルファポリスのエッセイでも書きましたが、どうも最近、何気ない記憶がグルグル頭の中を回ります。友達が他の友達の外見を笑ったこととか。ネットで見た、「外見が悪い子でも、友達だったら全然受け入れるよ。彼女にはできないけど」って言葉とか。物語で、男の子が美人な子に見惚れたり、ブサイクな子が近寄ってきてガッカリしたり、そういう、笑えるシーンのはずのところでなんだか落ち込んだり。

すごく良いストーリーを見ても、その登場人物は大体美男美女です。すると、良いお話も美男美女だからそうなったのであって、そうでなければお話にならなかったのかなと、しょんぼりしてしまいます。

なぜ自分がこのモードに入っているのか考えてみたら、コレかもしれません。

可愛い動物の投稿って、すごく優しいコメントが寄せられていたりしますが、同じように可愛い命だと思っている虫に関しては、情報を漁っていると、「気持ち悪い」「苦手」という意見を見聞きしやすいです。今まで「命は大切ですよね！」って言ってくれてた人が、虫となると途端に命扱いしない、みたいな。



まぁ、「命は大切」という言葉を語られるとき⋯⋯大抵違和感なんですが。

「死ぬために生まれてくる命なんてない」
⋯⋯いや、お肉になるために生まれてくる子たち、いるし。

「犬や猫の殺処分はひどい。犬や猫も人間と同じ命なのに！」
⋯⋯それは私も心底そう思いますが、ゴキブリや牛や外来種やお蚕さんだって同じ命ですよね。

命の格差というか、「命」について素晴らしいことを言われる度に、命って何だろうとなります。
命扱いされるものと、忘れられているんだか見て見ぬふりされているんだかカウントされないんだか、「幸せになる権利がある」命に入れてもらえない命。

けど何度か書いているように、私はお肉大好物で、ベジタリアン目指して数日で挫折するほどです。お肉がない人生は今のところ無理。食べる楽しみを支えに生きているようなもんです。

だから私の言うこと、全部筋が通っていません。
じゃあこのモヤモヤは何でしょう。私にも分かりません。

もし自分の好きなマンガとかについて投稿していて、10人くらいから「私はそれ嫌いです」ってコメント付いたらショック受けると思うのですが、体感的にはそんな感じ？　好きなものを延々と毎日「苦手です」と言われているような。

いや、私も虫が苦手じゃないとは言えません。飛んできたらビックリしてしまうし、数日前もお風呂にでかいアブがいたので、ハチだと思って驚いてシャワーをかけてしまいました。幸い水シャワーだったので死にませんでしたが、人のこと言えないほどひどいことをしています。虫にビクビクしてしまうなら、言ってること矛盾しているような。

また、私自身、他の人が「それ言わんといてよ！」と思うようなコンプレックスに突っ込んだりもしているのだろうけど（無自覚）、そこには無頓着だったりします。なかなかうまく受信も発信もできないものですね⋯⋯。

結局世の中、見た目なのでしょうか⋯⋯。
そして何でしょう、格差？
美しいもの、素晴らしいもの、正しいもの、そしてそれとは違うもの。良いものと、悪いもの。すごいものとすごくないもの。

美しいから。可愛いから。すごいから。人気だから。
結局そういうことが価値であって、私が誰かに優しくしてもらえるのも、相手の何らかの基準に適ったときかもしれません。
褒められるべき行いをした、とか。哀れだから守ってやらなきゃいけない、とか。外見とか雰囲気とか作風とかが「タイプ」ってほどじゃないけど、まぁ良いなと思ってもらえている、とか。

何でしょう。私が確実に「持っている」ものなんて何もないから、持っている「個性」を褒められても不安になるような。

「あなたの絵が好き」と言われても、明日からスランプになって二度と描けないかもしれません。性格が好きって言われても、性格ブレまくりだし。「外見が好き」なんて言われたこともないけど、何のケアもしていないしどんどん老けるし。

なんか分からないけど、他人の評価による魂の価値って儚いですね。
前世で偉業を成し遂げた人も、次の時代が肌に合わなかったら廃人かも。
猫も地域と時代によっては悪魔みたいな扱いだったみたいですが、今大ブームだし。悪者代表だったオオカミも今は人気だし。害獣や害虫の扱いも、どうなることやら。

カブトムシは何十年経ってもカブトムシという種でしょうし、進化してもきっと生き物らしいでしょうが、人間は数日、数ヶ月、数年間で手のひら返し、状況が変わります。それを人は時代と呼ぶ。

無意味な変化も良しとする風潮があり、とにかく変化を望むが、どう変わりたいのかは誰にも分かっていないような。

もしかしたらいつか、ヘビやコウモリやゴキブリのブームが来るかもしれませんが。

持ち上げられ、踊らされ、叩き落され、風向きに振り回されるくらいなら、自ら軸を持って踊らねばなりませんねぇ。

人間は、我々天邪鬼も含め、現時点での多数派の風向きに引っ張られがちな、人恋しく寂しい生き物なので。