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毎週note2021-1│小さなこだわりを持っていてよかったと小松菜収穫が教えてくれた気がする。

僕のnote記事を丁寧に読み上げている人に立て続けに出会った。2人もノートに印象的な文章を書き写していたことに驚いている。ぼくの考え、言葉に共感したり反論したり様々な行為に結び付いている事実が何だかむず痒い。でも本当は嬉しい。その感情を隠す気持ちこそ恥ずかしさ故のくすぐったさなのだろう。

「文章を書くときは1人、読むときも1人。だからこそ、読み手を意識して文章を書きましょう」と最近読み終えた本にまとめられていた。この毎週noteはその常識の逆をいく。書き手である自分を意識して文章を書く、自慰的な記事を毎週末に更新していく。1週間こんなことしたよ!だったり、あんな印象的なことがあってね!だったり「1週間」を綴っていく。

今週は農業をたくさんした。農作業が少しずつ追いつき始め、後手後手にまわっていた冬越し作業や水路堀りにも着手できた。作業の中でも印象的なのは、小松菜収穫。慣れというのはネガティブな場面で使われることが多々あるが、慣れることで仕組みがより洗練されていくのを実感できた。先週の収穫量に比べ、はるかに収穫量が増えた。1時間半で1000株もの小松菜を収穫し200袋の商品を納品できた。障害のあるメンバーが収穫し、その指導・指示を僕たちスタッフがする構造だからこそ、メンバーが作業に慣れることでスタッフの余白が生まれ、作業効率が高まっていくのは当たり前なこと。

生産性や効率を優位にしてはいけないという常識が障害福祉の世界には存在していると思っている。障害のある人への生活支援をしていたときは、僕もその常識に共感し「ありのまま」でいることが正しいという価値観を形成していた。だが、就労支援をしてから、その価値観が変わった。「農業で売上を出し工賃を高めていく」目標を達成するためには生産性や効率を考えなければ成り立ちにくい。だから三休では作業効率をどのように高めていくのか、生産性をどうやって上げていくのかを考え工夫し試行錯誤している。

生産性と効率性を本人のスキルや頑張りに頼っているわけではない。僕たちの配慮や工夫、声掛けや目標設定など福祉側のアクションによりメンバーのエンパワメントをし、生産性や効率性を高めるようにしている。また、1人ひとりに過度な目標を付与させないように意識もしている。「小松菜を300袋収穫しましょう」と全体目標を朝礼で共有、1人ひとりの特性や個別支援計画、その日の体調や表情を鑑み、Aさんには「75袋収穫するの目標にファイトっす!」と、Bさんには「自分のペースでやりましょう。ここからあそこまでのエリアを2時間で終えましょう」と個別で目標を設定している。

三休は生活支援の場ではなく就労支援の場。メンバー個々の目標があり、三休に通所する動機やモチベーションも違うが、「こうなりたい」という目標を期間内に達成するために日々の業務のなかでエンパワメントすることが支援の大前提にあるのだと思っている。

「小松菜1000株も収穫できたよ!」「道の駅に納品したけど、ほぼ売れたよ!」とメンバーに報告したら一緒になって嬉しがってくれた。農作業を「訓練」ではなく「仕事」と捉え、「自分ごと」として思っているからこそ、嬉しい気持ちになってくれたのだと感じている。…一緒に仕事をしている空気をつくるために、僕たちは当初から利用者と呼ばずにメンバーと呼んでいる。小さなこだわりを持っていてよかったと小松菜収穫が教えてくれた気がする。


福祉の線引きを薄めるために、福祉の中で遊んでいます。特に障害をお持ちの方と一緒に。みなさまのサポートはそれらの遊びに活用します。