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あいたい

そういう脱力感のある女の子によく惹かれた 
白い肌の透明感だとか 優しいまなざしの先だとか
そういう自分にない 特徴やしぐさに ときめきを感じた 
あれは はつこいだった 
そう断言してしまうには曖昧で
わたしは空中分解してしまいそうだ
幼い頃の記憶だけ独り歩きして
時を経て出会ったあなたは もう別人で
わたしは自分の進歩の無さに
恥ずかしさを感じて 脳みそが縮れた
できるなら ふたたびその手に触れて
町をゆっくりと歩きたかった
でも どこにも行けないこの思いは
蓋をして 鍵をかけて 地中深くに葬った
どうでもいいこと どうでもいいこと
そのはずなのに もう どうでもよくないことなんだ
触れたらきっと 噛み砕いてしまう
その 心臓ごと 傷めつけてしまう
友達にさえ なれなかった
だったら と あなたに似た人を
いつしか追い求めるようになってた
でも 可笑しいほどに あたりまえだけれど
あなたじゃなくて 脳みそが壊れた
妥協して 恋をできている人間が吐き気のするほど 羨ましい
取り繕った 結果だけのわたしの人生は反吐が出るほど 消し去りたい
いま一歩 踏み込めなかった
自分の阿保らしさと 先見力の無さを
悔やんでも悔やみきれない
血を分けたわたしの分身は
こんなわたしにも 安息と束の間の愛をくれる
それは 願ってもなかったことで
わたしはそれさえも 蔑ろにした
求めたときに あなたはいなくて
わたしはただ 過去の妄想に恋い焦がれて焼かれるだけ
あいたい 

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