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1年ぶりのカバラン取材とウイ文研オリジナルボトルの選定、そして台湾紅茶へ…


 3月15日(金)から4泊5日の日程で台湾に行っていた。今回の目的はカバラン蒸留所の第2蒸留所と、完成間近の第3ウエアハウスを取材すること。そして、ウイ文研オリジナルボトル(PB)の樽の選定を行うことだった。初日は成田からのフライトと、桃園空港から台北市内のホテルへの移動、カバランのリー社長らとの会食で終わったが、翌16日の土曜日は1年ぶりのカバラン蒸留所訪問。

 行く度に新しい建物ができているように感じるが、第1と第2ウエアハウスの隣に建てられた第3熟成庫は巨大で、完成すればそれだけで5万樽の貯蔵が可能になるという。第2蒸留所も今回初めて内部の取材が許されたが、これだけでマッシュタンが3基、ウォッシュバックが24基、そしてスチルが初留、再留計10基もある。カバランの特徴は第1のAもBも、そして第2のスチルもすべて形・大きさが一緒で、すべてランタンヘッド型だということ。どこかで見たことがあるように思ったら、それはスペイサイドのグレンリベット蒸留所だ。グレンリベットも第1・第2・第3すべてランタンヘッド型で、形も大きさも一緒。ただし第1に8基、第2に6基、第3に14基のスチルがあり計28基が稼働していて、しかもワンバッチのサイズもカバランの倍以上ある。

 カバランのワンバッチはすべて4tで、スチルは計20基。年間の生産能力は900万リットルで、これはアジア最大だが、リベットは年間生産能力2100万リットルと、こちらは世界最大のモルトウイスキー蒸留所である。それにしてもスチルは、リベットのスチルを小さくしたようなスタイルで、カバランを最初にコンサルタントした、故ジム・スワン博士の考えが、そこにはあったのかもしれない。グレンリベットに代表されるスペイサイドの華やかでスイート、フルーティーなシングルモルト。改めてカバランのすごさ、ポテンシャルの高さを感じた次第だ。

 カバラン取材の最後はヴィーニョバリックで使われるSTR樽の処理の工程。そのシェービング、トースティング、そしてリチャーの工程をつぶさに見せてもらった。そのヴィーニョバリックをウイ文研のオリジナルとして出したいと、事前にお伝えしてあって、この日はリー社長自らが、そのヴィーニョバリック3樽が置かれている場所を案内してくれた。すべて2017年に蒸留したもので、その3樽を試飲して、そのうちの1樽をウイ文研として買わせてもらうことに。詳細は追ってだが、秋頃には独自のラベルを張った、ウイ文研オリジナルのヴィーニョバリックをボトリングして、販売することができそうだ。

 カバラン取材と、樽の選定が終わったところで、17日の日曜は台北を離れ、台中の南投にある日月湖(潭)に行くことに。日月湖、英語でサン・ムーン・レイクはもともと日本が台湾を統括していた時代に造られた人工のダム湖で、台湾有数の観光地。その湖の畔にある雲品ホテルに泊まり、翌日午前中に、その日月湖で有名な紅茶園を見に行くことに。本当はウーロン茶も見たかったが、今回は時間がなく、また日月湖周辺は紅茶の銘産地ということで、その紅茶園を見に行くことにしたのだ。訪れたのは樹徳園という茶農家で、実際そこでつくっている紅玉という品種の茶畑を見せてもらい、さらに、その紅玉の製茶も実際に体験させてもらう。これも、次号か次々号のガロアで、紹介したいと思っている。

 その日の夜、再びリーさんたちと会食となったが、私の隣の席に座ってくれた通訳の呉さんは、私が以前紅茶の本を書いて、それが台湾でも中国語で出版されていることを覚えていてくれて、うれしいことにネットの古本屋でその本を手に入れ、これから読みますと言ってくれたこと。一番最初に台湾を訪れた12~13年前にも、そのことを他の台湾人からも言われたことがあり、その時は本にサインも求められた。ウイスキー以外にも、私のことを知ってくれている台湾人がいるというのも、嬉しい限りである。

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