「海が見える家」「あの子は貴族」を読んだり見たりした日

「海が見える家」とその暮らし

先週に引き続いて、はらだ みずきさんの「海が見える家」を読んでみました。

苦戦した就活でどうにか潜り込んだ先はブラック企業。働き始めて一ヶ月で辞職した。しかし、再就職のアテもなければ蓄えもない。そんな矢先、疎遠にしていた父親の訃報が飛び込んできた。孤独死したのか。どんな生活を送っていたのか。仕事はしていたのか。友人はいたのか。父について何も知らないことに愕然としながらも、文哉は南房総にある父の終の棲家で、遺品整理を進めていく。はじめての海辺の町での暮らし、東京とは違った時間の流れを生きるうちに、文哉の価値観に変化が訪れる。そして文哉は、積極的に父の足跡をたどりはじめた。

これもシリーズ化している作品みたいですね。
読んでみたけどとっても素敵な本だった。

ドラマみたいなわかりやすい確執があったわけではないけれど、なんだか距離を取り続けていた父が死に、その父の人生を辿っていくお話の中で、
父親が本当はどんな風に生きたかったのか、それを実現する中で選んだ土地に暮らす人々とどんな日々を送っていたのか、それがいかに素晴らしい日々だったのか、
痛感する度に父の死を実感すると同時に、自分もその環境を愛していく様子が愛おしい物語だったな。

これは続編も読んでみようと思いました。
私自身も生まれた場所はいわゆる田舎だけど、海に囲まれた町の暮らしも素敵だなぁと想像しながら読めるのが楽しい1冊でした。


・トレースする人生

そして昨日は公開時に映画館で見ればよかったなぁとちょっと後悔していた「あの子は貴族」をNetFlixで観ました。

東京に生まれ、箱入り娘として何不自由なく成長し、「結婚=幸せ」と信じて疑わない華子。20代後半になり、結婚を考えていた恋人に振られ、初めて人生の岐路に立たされる。あらゆる手立てを使い、お相手探しに奔走した結果、ハンサムで良家の生まれである弁護士・幸一郎と出会う。幸一郎との結婚が決まり、順風満帆に思えたのだが…。一方、東京で働く美紀は富山生まれ。猛勉強の末に名門大学に入学し上京したが、学費が続かず、夜の世界で働くも中退。仕事にやりがいを感じているわけでもなく、都会にしがみつく意味を見いだせずにいた。幸一郎との大学の同期生であったことで、同じ東京で暮らしながら、別世界に生きる華子と出会うことになる。2人の人生が交錯した時、それぞれに思いもよらない世界が拓けていく―。

25歳のタイミングで、女性として生きているタイミングで、観れて本当によかったと思えた映画でした。

結婚が一種のゴールと信じきた(そう育てられてきた)華子も、夢を追う中で現実に抗えずに生きる美紀も、2人が自分で自分の人生を生きていく様子にとても励まされる女性は多いんじゃないかな。

主人公2人はもちろんだけど、それぞれの友人のバイオリニストの逸子、企業を目指す里英も、結婚や出産といった、何故か他人からまだなの?と求められるイベントとは違う、自分のしたいことで生きていく人生を見つける人物として好きだった。

「うちの地元だって街から出なければ、親の人生をトレースしている人ばっかだよ。そっちの世界とうちの地元って似てるね」

ラスト、華子と話す美紀が言うこのセリフ、地方育ちでも都会育ちでも変わらずその通りなんだよな。
学生の頃イメージしていた自分の人生ももちろん素敵なんだけど、悲しいけど生きやすいと感じるのは親の辿ったような人生コースだったりするんだよね。別に必ずしも悪いことではないけれど。

この映画、今生きていく中で、
仕事辞めてのんびり暮らしたいし、結婚とか出産とか現実的に考えるとめちゃめちゃ大変そうだし、長生きだってしたい訳じゃないし、「出産は若いうちがやっぱりいいよ、体力的にね」とか聞いてもないアドバイスを先輩社員に言われたり、「いつまで東京で働くの?」って別に何も考えてないけどなぁってこと質問されたり、あ~なんか全部めんどくさいなもう、私の人生なのでなんでもよくない?って思ったことある人にぜひ見てほしい。

見てからどんなことを感じたか、誰かと語り合いたくなる映画です。本当におすすめでした。


今日はおしまい!

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