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【イベントレポート】アーティストのための音楽ビジネス①ー「サブスク」って稼げるの?


オンライン音楽教育プラットフォームMOP MUSIC LABOは、2023年5月7日(日)に無料オンラインセミナー「アーティストのための音楽ビジネス① サブスクって稼げるの?」を開催しました。

現在、音楽活動をされいている方や、アーティスト志望の方、音楽に関するお仕事をされている方まで、音楽に関心のある方に幅広くご参加いただきました!

このイベントは、音楽分野でも一般的になってきた反面、構造や実態がわかりにくい「サブスクリプションサービス」に焦点を当てて、必要な知識をアーティスト向けに解説し、サブスクが普及していく中での音楽活動に役立てていただくということを目的として行われました。

本記事では、今回のオンラインセミナーの一部のプログラムを抜き出して、実際に解説が行われた内容を少しだけお見せいたします!


登壇者

沢井 原兒(Swai Genji)

♦︎20代より多くのジャズバンドに参加。
♦︎スタジオ・ミュージシャンとしても活動。
♦︎アルバムのプロデュースは40枚を超える。
♦︎自己アルバムはこれまでに7枚リリース。
♦︎今井美樹、矢沢永吉、鈴木雅之、吉川晃司、加山雄三など多くのアーティ ストのステージサポート、プロデュースを行う。
♦︎音楽学校でのインストラクター歴は40年以上。
♦︎音楽系IT会社の代表を10年勤め、これまでに4法人を立ち上げる。
♦︎音楽制作、音楽出版、音楽配信、音楽レーベル、マネージメントなど 多くの音楽事業を行い、Spotify、Shazam、Grace Noteなどの会 社と日本初の契約も交わしてきた。
♦︎現在は株式会社MOP代表、IRMA役員。



●世界と日本の音楽サブスク事情


上に示したグラフは、IFPI(国際レコード・ビデオ制作者連盟)が発表した1999~2022年までの音楽の売上推移です。
2022年の音楽の売上は、約3.5兆円で過去最高額を記録しています。

そして以下のグラフは、世界の音楽売上の内訳を示したものです。

実に67%を音楽ストリーミング売上が占めています。
一方で日本の音楽ストリーミングのシェア率は30%にとどまっています。

しかし、以下のグラフ(出典:日本レコード協会)の通り近年日本の音楽ストリーミング売上が大きく成長しているのも事実です。

世界と比較するとまだまだ少ないですが、今後も日本の音楽ストリーミング売上やシェア率は伸びていくと予想されます。



●音楽サブスクリプションサービスの仕組み


次に音楽サブスクリプションサービスから実際に音楽を配信する場合の流れです。

メジャーアーティストの音源と、インディーズアンケートの音源では、配信するまでの方法が異なります。


①メジャーレコード会社所属のアーティストの音源
直接DSP(※1)と直接契約し、配信することができます。


②インディペンデントアーティスト/小さいインディペンデントのレーベル所属のアーティストの音源
アグリゲーター(※2)と契約を結んで、流通業者からDSPに楽曲を下ろして配信します。

※1…Digital Service  Provider(デジタル・サービス・プロバイダー)の略です。デジタル音楽配信業者(=音楽配信サービス)を指すことばです。
例:Spotify、Apple Musicなど

※2…音楽配信をする際、独立系のレーベルやアーティストとDSP(Spotify、Apple Musicなど)等の配信業者をつなぐ流通業者のことです。
例:TuneCore、BIG UP!、CD Babyなど



●サブスクリプションサービスで音楽を配信した場合のお金の流れ


実際に音楽をサブスクで配信した場合に、売上はどのように分配され、その音源の権利者にはどれくらいの割合で還元されるのか、という全体の流れを示した図です。

①メジャーレコード会社の場合
DSPから音楽の権利者に入るのは、大体売上の50~60%ですが、DSPによって違いがあります。

②インディーズの場合
アグリゲーターにもよりますが、たとえばTuneCoreの場合は50〜60%がそのまま音楽の権利者に入ります。
その代わりに年間登録料がかかります。
そのほかのアグリゲーターの場合は、手数料が取られる場合があります。
アグリゲーターによっては、年間登録料と手数料の両方が必要なところもあります。

また音楽の販売をしているDSPは、著作権管理団体に売上の7.7%を払うことになります。
音楽の著作権を持っている人にはそこから還元されます。



●音楽の権利者に分配される収益はCDとストリーミングでどう違う?

下のグラフは、ストリーミングとCD売上それぞれの収益がどう分配されるかを示したものです。

「原盤権」とは簡単に説明すると曲を作って何かの形で録音した場合の音源(原盤)を作る際にその費用を出した人が持つ権利です。

「原盤権」を持つ、音楽の権利者が得る収益は、メジャーアーティストの場合、
CD:12~15%
ストリーミング:60%
です。

つまり、原盤権を持っている人にとっては、CD、ストリーミングがそれぞれ同じ売上だとすると、ストリーミング配信はCDに比べて利益率が約4倍だということです。

CDやレコードにしかない良さももちろんありますが、今後のサブスクの成長やアーティストの利益率を考えると、音源の権利を持つことでアーティストの経済環境は改善されると言えます。

3~4年前の話ですが、アメリカでは「サブスクバブル」が始まっているという話を聞きました。
アメリカはインディペンデントなアーティストが多く、アーティストの収益還元率も高いので、そういう環境も相まって、サブスクが広がることでアーティストの経済環境が良くなってきつつあるということです。

日本もサブスクの利用率は上がってきていますし、早くアーティストにとって活動しやすい環境が整っていけば良いと考えています。



今回のセミナーのアーカイブは、動画として後日MOP MUSIC LABOの公式サイトでも公開を予定しています!

記事では紹介しきれなかった

・アグリゲーターを利用して音楽を配信する手順は?
・ストリーミング再生単価はどう決まる?
・DSPによってストリーミング単価が違うのはなぜ?

など、より具体的で、数字を見ながら学べる内容もありますので、ぜひチェックしてください。

\MOP MUSIC LABO 公式サイト/


MOP MUSIC LABOは、今後もアーティスト向けの音楽ビジネスウェビナーや、さまざまな分野のトッププロが登壇する音楽ウェビナーなど、オンラインでのイベントを企画していきます!
皆様のご参加をお待ちしています☺️

※ウェビナーやポッドキャストのテーマとして取り上げて欲しいテーマなどがありましたら、お気軽にコメントをお願いいたします。


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