経済ニュース:「政策保有株」基礎を知ろう、コンパクト解説
大手損害保険会社4社(東京海上日動、三井住友海上、損保ジャパン、あいおいニッセイ同和損害)に対する金融庁の業務改善命令。その改善命令について改善策案としてあげられた「政策保有株」の売却をトピックとして解説していこうと思います。
■「政策保有株」って何?
日本の株式市場の特有で「取引の継続」や「株主作り」の目的で株式を「持ち合い」します。
BtoB(企業と企業の取引)の取引では当たり前のような慣習で「この販売先と取引するなら株式を購入する」が実施されています。
これが「政策保有株」になります。
■「資本効率」の悪さを海外投資家に指摘されるのはなぜか?
本来、企業は利益でプールされたお金を「設備投資」や「株主還元(配当)」に回すのがコーポレートファイナンスの観点になります。
分かりやすく説明すると従業員がよく思う「そんなのにお金使うなら自分達の給料上げてよ」というイメージになります。
企業が株を買うこと自体は悪いことではありません。投資するので当然利益が出れば配当金もありますし、株主優待もあります。
しかし、本来株を購入するのはその企業の成長期待感を込めて出資しますので「取引継続」の意味合いで購入するのは本来の目的から少しズレてしまいます。
■今回の業務改善命令に至る過程
保険会社の各社「契約前の保険料調整」が原因になっています。
保険は保険会社から見て契約するごとに「保険金支払リスク」を負います。通常企業ですと掛け金が大きく1社で契約すると事故時に多額の資金が必要になります。
各社協力して、同じ契約先に対して「事前に保険料額を共有して」保険金支払いリスク調整したと見られます。
これが、正当な競争を妨げるとして業務改善命令が出されたということになります。
■政策保有株の売却に動く大手保険会社
業務改善命令の中に「政策保有株の売却」が計画されています。
企業との正常な取引に支障をきたすと判断したのでしょうか。
株式を一気に売却すると市場に影響出るため、少しずつ売却していく計画です。
政策保有株を売却して資本効率を高まる期待感から各保険会社の株価が上昇しています。
◾️大企業の影響から中小企業はどう動くか⁈
今回大企業である大手保険会社が政策保有株の売却に動きますが、中小企業も当然のように政策保有株を持っています。
日本社会における企業の規模割合は圧倒的に中堅企業や中小企業の数が多いのが現状です。
今後どのように中小企業が動くのか把握していく必要があるということですね。
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