孝行息子である僕は、毎年父の日にプレゼントを贈っている。しかし何を贈るのかはなかなか悩ましい問題だ。

お酒が好きなら簡単なのだが、意外にも親父は酒を飲まない。これはみんなに驚かれる。たぶん普段のテンションが「絶対飲んでるな」と思われるレベルだからだろう。だがもし親父が酒好きだったら、今ごろ娑婆にはいないだろう。「神の采配」と言うべきか。

その代わり、昔はかなりのヘビースモーカーで、親父のいるところ常に「ハイライト」も一緒だった。当時なら「ハイライトをケース買いしてプレゼント」という手もあっただろうが、今は医者に厳重に禁止されているのであった。

ある年のこと。父の日のプレゼントがあんまり思いつかないので、親父にメールで「何か欲しいもんある？」と聞いてみた。返信の内容はこうだった。

「現金が欲しいです」

本当に聞くんじゃなかった。