見出し画像

大学業務過密時の優先順位: 大学のお仕事③

 大学教員の3月4月は忙しい。授業の準備、書類の提出、業務の引継ぎなどなど。これをいかに捌いていくか、毎年悩ましい。(小野堅太郎)

 よもや大学教員は、学生さんのいない3月は暇だとお考えの方はいないでしょう。進級判定、次年度の授業の用意、研究報告書、次年度研究計画書、次年度TA申請、大学院生の指導実績報告、院生の論文まとめ、博士号審査の対策などなど、忙しいのです。4月に入れば、新入生説明会、授業スライドの調整、資料の用意、院生の指導計画書、科研費報告書、自己評価報告書、研究者紹介書類、各種会議などなどGW明けまでしばらく遅くまで事務仕事です。これらの仕事の裏では、実験、論文執筆、論文投稿といったベースの仕事も進行しています。

 ちょっと多くない?書類減らせない?時期ずらせない?と毎年、思います。教授になると書類仕事が倍増します。講義負担は5倍、会議は死ぬほど増えました。結果、実験の時間は大幅に減りました。自分の理想の研究をするために教授になることを目指したのに、一体何をやっているのでしょう!

 この時期をいかに乗り越えるか、それが問題です。全ての業務が重要で、手を抜くことが許されません。昨年の書類文面をコピペなどしてはいけません。

 まずは何より大学事務への書類提出です。枚数が2ページ以内のものが最優先です。早く終わるものから終了させます。毎年の書類であれば、ある程度の文章の形を決めておき、適切な内容にして提出します。提出がメールであれば、CCに研究室メンバーを入れておきます。提出したという第三者の確認だけでなく、「提出しなきゃいけないよ」のリマインダーになり、その人の書類作成の参考になります。研究室全体の書類作成時間を削るのは、それぞれの研究時間を増やすので、うちのように全員が協力して研究しているグループでは有効に働きます。

 次に、科研報告のような外部機関への書類です。これはお金も絡む上に、研究成果が公開されるためミスの許されない厳密な作業になります。じっくりと取り組む必要があります。時間がかかるので、比較的早く提出できる大学書類の方を先に提出しておかないと、後で大量の仕事が貯まって苦しむことになります。

 これらが終わってようやく、授業の準備です。対面であれば、授業が始まる時間までに終わらせれればギリギリセーフです。小野研究室では、オンデマンド動画で、しかも小野が全てチェックしてダメなら再撮影となるので、早めに仕上げる必要があります。中富先生、徐先生、ごめんなさい🙏しかし、学生さんのためです。

 研究者は研究業績が命です。どんなにちゃんと書類を出そうと、どんなにちゃんとした講義をしようと、昇進に必要なのは研究業績です。ちゃんとした書類提出も講義も大事な大学業務です。しかし、高等教育では「研究」が大学の最も大切な存在意義となってきます。ですので、実験と論文の手は緩めることができません。実験や論文書きはある程度予定通りに行えます。しかし、論文投稿とその後のリバイスはそうはいきません。できるだけ、この二つが3-4月にかからないように調整しておく必要があります。

 以上が、大学教員の3-4月の乗り切り方です。もちろん、何事も仕事の早いスーパー教員もおられるのでその限りではありませんが、参考になれば幸いです。

 大学のお仕事シリーズはこれにて一区切りです。

これまでの記事はこちら👇


全記事を無料で公開しています。面白いと思っていただけた方は、サポートしていただけると嬉しいです。マナビ研究室の活動に使用させていただきます。