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2024.3 / 東京の家に懐かしのヨーロッパの風が吹いた

名古屋から東京に引っ越してきました。

今回の引越しの特別だったところは、家族が転職したことにより転勤というものが家族からなくなったことです。
転勤や帯同をしてみたいという方もいるかもしれませんが、8〜13歳のときに家族の仕事でオランダに引っ越しを経験した身としては、今後の人生において(おそらく)会社都合で引っ越す必要がなくなり、ようやく息を吹き返した気持ちです。
自分は住むところにかなりこだわりがあり、自分で住むことを選べることがエネルギーの源泉なのだと改めて実感しました。
この自由は、いくらお金を積まれても差し出したくないものです。


さて、今回の引越しで一番考えたのは「どこにでも住むことができるとして、私(たち)はどこに住みたいのか?」という問いでした。
みなさんもどこにでも住むことができるとしたら、どこに住みますか?


大体の場合、職場に都合の良いところか、家族が近い場所に住むことが多いのではないかと思います。
自分も今までは職場に行きやすいことを基準に、なんとなく家族が近い場所に住んでいました。
でも思い返せば自分は通学や通勤のために13歳で帰国したときから30歳近くまで山手線内に通っていたのですが、自発的に「山手線内にいたい」と思ったことはほぼありません。
街にも電車にも人は多いし、私が好きな川はコンクリート護岸で風情がないし、キラキラしたオフィスビルにも興味がなかったのです。


特に渋谷はすでに一生分通いました。


留学前後では、そもそも日本に住みたいのかもだいぶ迷っていました。
自分は日本の長時間労働を前提とした働き方にはかねてから疑問があり、他の国ではどうなっているのか知りたい気持ちもあって留学しました。
アメリカはどうだったかというと、日本よりは個人の裁量があるものの、そういえばこの国はスーパー資本主義だったのでした…
(一度建物のメンテナンスの人が夜9時に作業しに来て、深夜1時に帰ったときはたいそう驚きました)

アメリカに行ったことで、自分が理想としていた暮らしは大きく「欧米」という括りではなくて、どちらかというと「ヨーロッパ」そして「オランダ」なのかなという考え方になりました。
自分がオランダにいたのは子どものときなので実際に仕事生活を経験したわけではないのですが、例えば隣のエンジニア×弁護士のご夫婦がお子さん4人とご飯を食べるために夜5時過ぎに帰ってきていたのはよく覚えています。
そしてどのお店も平日は5時に閉まってしまうので、一度靴屋さんに4時45分に入ろうとしたところ、すごく嫌な顔をされたのも懐かしいです。


何の制限もなく住む場所を選ぶのは初めてのことで、自分が望むようなライフスタイルになるか分からなかったのですが、ひとまず馴染みがある関東圏の中で自分が直感で一度は住んでみたかった場所に引っ越した結果、なんと東京でもヨーロッパの風が吹き始めたのです。
この「ヨーロッパの風」の正体とはいったいなんなのか、言語化を試みたいと思います。


入植の街ボストンもヨーロッパ色が強く、初日にこの光景を見て「正しい街を選んだ」と直感で確信しました。


ステップ1:自然が多い場所に引っ越した


自分は休日にわざわざ自然を浴びに山や川に行っているのだから、いっそのこと自然の近くに住んでみよう!
と思い、今回家を探すときの基準にしてみました。

結果、自分の作業部屋から自然が見える家に引っ越すことができたのですが、考えてみたら自分の部屋から自然が見えるなんてオランダぶりです。(厳密にはボストンの最後の部屋も見えて、本当に良いお部屋でした)
作業の合間に窓の外を見て、今日のお天気や自然を楽しむ人たちを眺めて、エネルギーを回復させています。

今までの家では徒歩5分以上歩かないと自然には辿り着かなかったため、「作業が煮詰まったから散歩するか〜」という感覚にはならず、作業がある日は一日中缶詰で働き、肩こりや腰痛を引き起こしていました。
ところが今は家を出たらすぐに自然があり、天気や季節によってどんな風に変化するのか観察するのが面白いので、外に用事がなくても気軽に15分くらいカメラを抱えてお散歩に出ることができます。
雨の日でも外に出るのが面白いくらいなので、自然の効果は絶大です。

そしてもう一つ、少し古い建物に引っ越したので、なんと洋室が南向き!
毎朝日光を浴びながら起きることができ、日中の作業中も太陽を感じることができます。
最近の物件はリビングダイニングを南側に置くことが多いのですが、個人的には作業部屋に日が入ることで多大なるエネルギーをもらっています。


ステップ2:家にテレビを置くのをやめた


もう一つ今回の引越しで気をつけたことは、大きな家具含めてなるべく身軽にするということです。
その中でも断捨離して一番効果があったと感じるのは、テレビです。

アメリカで住んでいた場所がボストンだったので、毎日煉瓦造りの建物と緑の公園を見て過ごしていました。これはオランダのときと同じです。
その結果、帰国してから日本の広告を見ると目がチカチカして耐えられなくなってしまいました。
まだ名古屋は栄くらいしか広告が多いところはなかったのですが、東京に戻ると山手線内には入れないし、そもそも最近は電車の中でも電子広告を流すのでそれだけでも疲れてしまいます。

今回引っ越したところは外も自然が多いので広告は少なく、一緒に家の中の広告も断捨離しようと整理した結果、家にはテレビを置かないことになりました。
年々好きなテレビ番組もなくなっていたので、特に不自由はありません。
逆にテレビやテレビ台を置かないことによって、リビングダイニングをもっと自由に使えるのではないかと現在模索しています。
今の状況でも日課のストレッチや筋トレはやりやすいです。


ステップ3:夜6時台に家族で食事が食べられる生活になった


ステップ1、2は布石で、ここからが「ヨーロッパの風」の真の正体だと思っています。
それは引っ越してから、夜6時台に家族で夕食が食べられるようになったことです。

自分自身はオランダに住んでいたこともあって新人の頃から「自分の力でワークライフバランスを実現したい」という感覚が強く、残業が定常化したことはありません。
ほぼ残業なく働いたとしても、例えば前職は朝10時から夜7時で働いていて、サービスの都合上勤務時間を早めることは現実的ではありませんでした。
夜7時まで働いて家に帰ると、すでに8時くらいになっており、そこから夕食を食べ始めるともうヨーロッパの風は吹かないのです。

今回私は現在個人事業主として働いていて自分で時間を管理することができ、かつパートナーも(日本で唯一ではないかと思われる)残業なしの会社に正社員として転職しました。
もちろん例外もありますが、基本の勤務時間としては夜6時までに仕事が終わると、その後は6時台に一緒に夕食を摂ることができます。


先日初めて家族で夜6時台に夕食を食べたのですが、そのときびっくりしたのが…
夜6時台に夕食を食べると、その後は何をしてもいい自由な時間がお互いに生まれるのです。
テレビはないので読書も捗るし、ストレッチや運動をしてもいい。
まだお話したかったら家族で団らんしてもいいのです。
この夕食から就寝までの余白の時間が「ヨーロッパの風」だったのか、と実感しました。


日本では残業しながら生計を立てることが一般化していますが、この「ヨーロッパの風」を吹かせながら生計を立てることの方が本来チャレンジングなのではないかと思います。
でも自分自身に強い意志があれば、国を超えてこの文化的な生活を成り立たせることができる可能性があるかもしれないと今回のライフスタイルの変化で感じることができました。
まだこのライフスタイルを始めたばかりなので試行錯誤は続きますが、今後暖かくなってきてアクティビティの幅が広がるのではないかということにもワクワクしています。
そして今回は関東圏に引っ越しましたが、一度も住んだことがない関西圏や、自然豊かな島なども気になるところです。
みなさんが本当はどんなライフスタイルを理想としているのかも、コーチングセッションなどで教えていただけると嬉しいです。


自分らしいライフスタイルの探究はまだまだ続く…


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