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『アラジン』


『アラジン』をTOHOシネマズ渋谷にて鑑賞。

あまりにも有名な作品だが途中から今の日本のことについて描いてるのかな、と思えるほどだった。権力や欲望(国務大臣のジャファーが安倍首相や安倍内閣の連中にしか見えないの)、そしてほんとうに大切にすべきこと(王女であるジャスミンは政治(まつりごと)についてきちんと書物を読み勉強し、身分を隠して市井の人たちの生活を身近に感じるために足を運んでいて、国民のことを考えている)、ジャスミンにある嘘をついたがアラジンは真心を君に、という様に彼女に本当のことを話す。

近衛兵のトップである人物は法を遵守し王様の命令に従う、しかし、野心があり王になって隣国に攻め込もうとするジャファーがランプを使って王になってしまうと、自分の今まで誇るべきだった法を遵守することと、明らかに権力を我が物にして自分の欲望にしか目を向けていない男の命令との間で苦悩するが、そこはやはり正義を貫こうとする。
これは今の日本における政府と破棄される文書、法を守ろうとする役人たちと自分たちの都合のいいように法律もルールも変えていく安倍政権との関係にも見えてくる。だからこそ、この『アラジン』で行われていることは今の日本そのものだ。夢の国と現実は繋がっているという想像力は必要だ。この作品が問いかけるものは未来へ向けているのだから。日本だけではなく、世界中で起こるヘイトやフェイクニュース、ポストトゥルースの時代に必要なものはなにかを教えてくれる。それは勇気と知恵だ。

2020年代へ向けて、ディズニーはフェミニズムやポリコレすべてを飲み込んで、未来への希望に変える魔法の数々を見せてくれた。王道のエンタメをやりながら未来にバトンを渡す素晴らしい映画になっていた。

今年は『蜘蛛の巣を払う女』といい、『スパイダーマン スパイダーバース』とかフェミニズムにポリコレを踏まえながらエンタメにして、次の十年代に希望や知恵を引き渡そうとするアメリカ映画はほんと素晴らしいし、うらやましい。

もちろん、アメリカという国の成り立ちが関係してるけど、やっぱり正しい歴史を知っておくことは大事だ。映画学校とか創作科があるところでメディアが大戦で利用され、その後にどんな流れで今の形になったのかぐらい教えないとやっぱ簡単に転ばされるよ、ぐらいは学費を払ってる若者に教えないとダメだと思う。



ここからはネタバレをしますが、ディズニープリンセスは今まで王子様を待って、そして結ばれて幸せになるというものだった。そのことは時代が進むにつれて批判もされるようになっていた。
王子様とお姫様が結婚して、王子が王になる。そう、それは当たり前だった。今作でもジャスミンは父である王から婿、王子に来てもらって子供を生んでもらいたいと考えている。しかし、国家のことを一番考えているのはそのジャスミンである。

最終的にはお姫様であるジャスミンが王となる。王になれば、法を変えられるから王族は一般人とは結婚できないというルールを変えて、ジャスミン王は一般人であるアラジンと結婚する。ディズニープリンセスの呪縛をジャスミンが解き放った。
そう、お姫様は王子様を待っていなくてもいい、彼女が王になればいい。そして、大事なのは王子様だって、お姫様だって、王になっていい。きちんと国のことについてその国で生きる国民について思慮深く考える人なら、男女なんか関係ない、そこにはセクシャリティは関係がないということを表明している。
大事なのは権力を私利私欲のために使うような人間が権力や国家の中枢にいてはダメだということ、国を崩壊させてしまう。だからこそ、それを食い止めるために法があり、法を遵守しないといけない。それを壊そうとするものや自分の都合で変えようとするものがいるのならば、その者たちを追い払い、権力から引き離すしかない。
今の日本は法を遵守しないものたちが我が物顔で威張っている。そして、どんなことをやらかしても辞めようとはしない、従順になることになれた人たちは逆らわない。彼らはそのことを知っている、諦めてくれればいいのだ、あとはやりたい放題だと。

当たり前だが、王になるものには資格がいる。確かにジャスミンは王の娘である王妃だった。世襲制のすべてが悪いわけではないだろうが、出来の悪い人物がまつりごとをする時にその国に住む人たちのことを真摯に考えれるだろうか。
今、『アラジン』を観るということはつまり政治について考えることにもなる。エンタメに政治なんか関係ないよって人がいたら、言っておくけど人は生きているだけで政治的な存在だから。発言しようが発言しなくても政治と無縁で生きられる人はいない。

お姫様が王になるのがカウンターとして発揮されているのは、今まで迎えを待っていた姫たちは家父長制の中にいたからだ。ジャスミンはそこから未来に向かって歩き出したヒロインだ。こういう作品が古臭い価値観をぶち壊してしまえばいい。
僕たちは他者に対しての自由と個人の権利を大事にして考えていかないといけない、そうしないと自分の自由と権利も失うから。

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