『マイ・ブロークン・マリコ』の燻んだ青

少し前に見に行った映画だけど、漫画が気になっていて
でもなんとなく読めなくて。映画を見にいった。


『その日死んだイカガワマリコという人は あたしのダチだった』


ある日、ブラック企業勤めのシイノトモヨ(永野芽郁)を襲った衝撃的な事件。それは、親友のイカガワマリコ(奈緒)がマンションから転落死したという報せだった――。彼女の死を受け入れられないまま茫然自失するシイノだったが、大切なダチの遺骨が毒親の手に渡ったと知り、居ても立っても居られず行動を開始。包丁を片手に単身“敵地”へと乗り込み、マリコの遺骨を奪取する。幼い頃から父親や恋人に暴力を振るわれ、人生を奪われ続けた親友に自分ができることはないのか…。シイノがたどり着いた答えは、学生時代にマリコが行きたがっていた海へと彼女の遺骨を連れていくことだった。道中で出会った男・マキオ(窪田正孝)も巻き込み、最初で最後の“二人旅”がいま、始まる。

映画『マイ・ブロークン・マリコ』公式HPより

最近2時間ある映画が多いけど、この映画は85分しかなくて
短いけどちゃんと見応えがあってよかった。

マリコのような人生を歩んだ友達はいないけど
もし私の友達が、何も言わずに1人で死を選んでしまったのならーー

それを考えてしまうには十分すぎる時間だった。


「私何度も、あの子のことめんどくせぇって」

シイノのセリフにあった。
何度もめんどくせぇって思うけど、それでもやっぱり
友達って不思議なもので。
お互いに依存もあったかも知れない、だけど自分にはあの子しかいなくて。
あの子にも自分しかいなかった。

死んでしまったあの子に、もう答えは問うことをできないけど
自分にどうして欲しかったのか、あの子のために私は
今から何ができるのか、教えてほしくて。

私だったら、あの子のために何をするだろうか。なんて。

恋愛感情じゃないけど、これも紛れもなく愛の話。
私の友達がマリコだったら、私もシイノみたいに遺骨を
奪いに行くのかな、なんてことも思う。

マキオとここで出会うのも、少し心があったまる。
こんな時に誰かの優しさって、なんだかうまく受け止められないけど
それでも優しくしてくれると少しづつ心って溶けていくものだろうな、と。

「大丈夫ですか?」
「大丈夫に見えるかよ!」
「大丈夫、に見えますね」

ってとこ、生きてるから、って意味が含まれてそうだなって感じた。
生きてるなら、まだ大丈夫。
死んだら何も伝わらないから。

遺骨持って逃げた後、旅に出るんだけど、ふと思い出して
突然涙が溢れてくる。そんな描写も、確かにそうだよなぁ、って
納得できて。
悲しみって本当に突然襲ってくるものなんだよね。
大事な人が亡くなった経験がある人は、少なからず
わかってくれるものだと思うんだけど、本当に何気ない
日常生活の中で、なんの前触れもなく、その人との思い出を
ふと、思い出したときに涙って突然出てくるもので。
その前まで笑っていようが、車を運転していようが
流れる涙は止まることを知らないかのように溢れ出してくる。

これからどうするか考えて、少し落ち着いた時に
溢れ出たシイノの涙も、きっと止まらないんだろうな。

それでも、自分は生きているし
あの子を思い出すためにも、生きていかなきゃいけない。

ラストの手紙も、シイノとマリコだけの思い出の感じがして
なんて書いてるのか分からないのが少し羨ましい。


「あんたがいない世界で、どうやって生きようか。」

その問いは多分ずっとわかんないけど、生きてることに
意味があるんじゃないかな。



次はなんかはちゃめちゃに明るい映画でも見に行こうかな。
あ、「四畳半タイムマシンブルース」のオーディオコメンタリー聞いたけど
やっぱり裏話が聞けるのは良いね、ずっとニヤニヤしちゃった。

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