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連休終わりに

今日は大雨、ザアザア降り。朝方に眠りについて、布団を出たのはお昼過ぎ。失われた時間を取り戻すべく傘を差して出掛ける。先ずは近くの古本屋へ。

連休中の半額セールに託けたはずだったが、セール外のハードカバーが余りにも手頃なお値段だったため四冊ほどいただく。四天王寺で催されていた古本祭終わり、とのことでちょびっと期待していたが品揃えに変わった様子は無い。

腹を拵える。午後からの時間を存分に過ごすには過剰なくらいのエネルギー摂取が必須なのだ。これは食事ではない、摂取だ。雨は一段と強くなっていた。

自宅へ引き返す方向へ歩みを進め、三番館へ。ここの珈琲は本当に旨い。隅のテーブル席に陣取る。個人的にこの席が落ち着くのだが、見知っただけの顔に平日は占拠されているから座るのは久し振り。

フレッシュクリームの上からシロップをふたつ投入する。ガリガリとかき混ぜる。これが煙草によく合う配合、程よい甘み。嗜好品、いや至高品の完成だ。そういえばミルクは出てこないんだっけ。

持参の全集、山本周五郎と司馬遼太郎を一作づつ読む。

「どんなに重大だと思うことも、時が経ってみるとそれほどではなくなるのです」

山本周五郎『橋の下』

「心に傷を持たない人間がつまらないように、あやまちのない人生は味気ないものだ」

同上

『橋の下』は余りにも完成された短編小説であった。作品を貫く人生観、行間の味わい深さも然ることながら、なんといってもその物語性であろう。青空文庫にも入っていますし、すぐに読めますし、明日の出勤時にでも是非。

仕事の話をされると気分が滅入る、なぞお叱りを受けそうなので次の話題に。司馬遼太郎の『牛黄加持』は歴史物の短編。簡単に言うなら〈持戒の秘法〉のお話だ。生真面目さと相まってなんだか微笑ましかった。

それから大山を訪れた際の記事を綴って、連休中の遠足については投げきった形に。その節、たくさん散らしてしまいごめんなさい。

続いてこの日の購入本、小松和彦氏の『異人論』を読む。現在、個人的に関心のある幾つかの分野、出会ったきっかけは氏の著書によるところが大きい。勝手に恩人と崇めている。そのぶん週末の講演会に出席できないのは口惜しいのだが。チケットの無くなることのはやいこと...

親しんだ内容ではあるが、それでも本腰を入れて読んでみるとやはり氏の視点の柔軟さが面白い。最近話題に上がっていた"村の因習"とやら。隔世の感がするようで、子供の頃から親しんだ"物語"と一体であると考えるとそれもまた興味深い。そんなこんなで読了。

時間に余裕があったゆえもう一冊。茂手木元蔵氏『セネカ入門』を。名言くらいしか知らなかったセネカさんを学ぶ意気込みだったが、もはや理論的な名言集みたいな内容だった。

そして最終の〈自然現象と道徳生活〉の章の中にあった〈阿諛と追従〉という節。いきなり生々しい大戦時の話になって吃驚した。それもかなりの温度感。面食らったまま読み終えたのだが、最後はセネカの肖像が何枚も紹介されるという終わり方でこれまた...

他はこの二冊を購入したが彼らは持ち越し。今夜は映画でも観て眠りに就こうか。

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