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わたしはバケモノだった②

2・恋人を傷つけること


大学生になって、SNSで趣味としてセックスをする人たちのコミュニティをみつけてちょくちょく見るようになりました。こんな世界があるかと思って怖いもの見たさでもありましたし、性的なことに興味もありました。

わたしは子どもの頃から太っていて、顔も性格も可愛くなかったので、わたしのことを好きになってくれる人もおらず、両思いになって付き合うようなことはありませんでした。勝手に思い焦がれ、勝手に劣等感を感じていました。 わたしは人間としても女としても魅力がないのだから人とはそうそう付き合うことなどできないだろうと思っていました。

しかし、SNSのほかの人のやり取りを見ていると若くて、女であるというだけでチヤホヤとしてくれる人たちがいました。その時に、わたしという人間自身はダメであっても、女という部分では人に受け入れてもらえるのではないかと考えるようになりました。そのときは見ているだけで特にそこに参加することはありませんでした。

大学2年生になって、わたしは好きな人ができ、その人と頻繁に会うようになりました。この人とはきっと本当に付き合うことにもしかしたらなるかもしれないと思いました。その人はわたしにとって、とても素敵な素晴らしい人でした。彼に近づけば近づくほどに、わたしのような人間が、こんなにも素晴らしい人と付き合っていいのだろうかと不安にもなりました。この素晴らしく、優しくて素敵な彼に好かれるために、呆れられないためにと思うと、わたしは全然それに値しないと思っていました。

このまま付き合うことになってしまったときに、迷惑が掛からないように、誰にもえらばれたことのないようなダメな人間だとばれないように、そんなこと考えているあさましい、暗い人間だとばれてはいけない。
どうにか迷惑がかからないようにしたいと考えていた時に、あのSNSを思い出しました。誰かと一度SEXをしておけば、滞りなく、ことを終えることができるし、段取りもわかるから誰かにあってしまおう。

このときに、わたしはSEXに対しても過剰な期待をしていました。したら、何かが変わるかもしれないとどこかで思い込んでいました。それに加えて好奇心旺盛であったこともあり、色々な人のプロフィールを読み漁り、この人はきっと安全だろうという男性を見つけて連絡をしました。

わたしがあった人は親切な男性でした。40代くらいの小綺麗にした小太りの方でした。よくいろいろこういった遊びや会に行っているらしく色々な話を聞かせてもらい、好奇心が満たされました。 わたしの初体験はその本当の名前も知らないその人でした。しかし、その人は丁寧で親切でした。そして、わたしのことを綺麗でかわいいと言ってくれたのです。傷だらけで、デブで、ブスのわたしにです!初めてのことでわたしはとても嬉しかったです。心の奥底では、SEXした代償として言ってくれていると思っていても。

そして、そのあと、とうとう初めて彼ができました。わたしは彼を尊敬していて、彼のようになりたいと思っていました。博識で、落ち着いていて、思い立ったらすぐに海外に行くような大胆さがあり、こだわりがはっきりとあるのに、とてもやさしい。わたしの友達からは神さまというあだなで呼ばれているくらいでした。しかし、わたしはその優しい彼が誰にでも優しいことが誇らしくもあり、不安でもありました。わたしのような人間を本当に心の底から好きな人間なんているわけないと強く思っているわたしもいたからです。

わたしは自分が彼のことが本当に好きか確かめるために、知らない人とSEXをしました。してみると、彼とは全然違い、嫌な気持ちになり、わたしの彼への気持ちは本物なのだと確証が得られてほっとしました。しかし、そのうち彼を裏切っている罪悪感に耐えられるに、彼にそれを打ち明けました。彼は悲しそうな顔をしますが、わたしが泣き始めるので彼はそれを受け入れてくれました。わたしはそれとは別に、彼に別れ話を切り出し、ちゃんと止めてくれるのかを確認しました。ときどき彼がそんなに言うならと別れる流れになると、わたしが嫌だと泣き始めて謝ってもとに戻るというのを繰り返していました。

この時は理解していませんでしたが、わたしは彼へ「ためし行為」を無意識のうちにしていたのです。これは定期的に繰り返されました。

かれとの付き合いが長くなって、彼がわたしの実家に正月に泊まりに来ることになりました。うちの家族は彼を喜んで受け入れましたが、わたしはそれがとても嫌でした。わたしはがんばらないと、家族に認めてもらえないのに、初めてきたなにもしていない彼が受け入れていることに腹がたってしかたありませんでした。

それ以来、彼がわたし以上に、わたしから愛されているのが気に入らず、ときより彼が死んでしまえばいいのにとおもうことがありました。わたしは彼に対して、そういった暴言を吐くこともありました。彼はいつも悲しそうな顔をしていました。それでもそばにいてくれる彼をわたしの本物の運命の相手なのだと本気でわたしは思っていました。彼はきっとどんなわたしでも受け入れてくれて、わたしのことを見捨てないと。

それにも関わらず、わたしは当時アルバイトしていたところの同い年の友達のことが好きになりました。今回は相手もそれに応じてくれたので、わたしは初めて付き合った彼と別れました。その時もわたしは彼を手放すのが嫌で、子どものように泣きましたが今回は本当に分かれることになりました。しかし、わたしは心の中で、亀さんはずっとわたしのことが好きで、わたしのことを思ってくれると信じてもいました。

そこから、同い年の彼と付き合い始めますが、わたしはまたその相手にためし行為を行っていきました。彼は苦しそうでどんどん疲れて言っていましたし、わたしはやはり亀さんのことが気になって仕方なく、亀さんと小枝ちゃんが仲良くなってみんなで一緒にいられればいいのにとも思って、ふたりを合わせることもありました。どちらのことが好きか決めないといけないとなったときに、わたしがとった行動が最低でした。二人をよんで実際に並べて比べてみたのです!その結果、わたしはやはり亀さんを選びました。

しかし、誰かの愛情や行為に対して執着心が強いわたしは、小枝ちゃんに連絡をするなどのちょっかいを出しまくった結果、小枝ちゃんはうつ病になってしまいました。それから毎日、「これから死ぬ、お前のせいでかかったお金を返せ。お前を一生許さない!」という電話が泣きながらかかってくるようになりました。わたしは小枝ちゃんが心配で家に行っては彼に謝り、死んでないか確認して介抱しに行きました。わたしがした行為で、人が病気になり、わたしのせいで人が死ぬかもしれないと思って、こわくて怖くて仕方なくなりました。わたしも毎日、家で泣くようになりました。

電話がかかってきたときに取れなかったら、彼が死んでしまうと思っていたので、携帯電話を枕ものとにおいて夜を迎えていました。毎日、自分も不安がひどくて、泣きわめき、自分を殴り、リストカットをしました。いよいよおかしくなってきましたが、家族に頼るのは怖かった。
そんなわたし見捨てられるのではないかと思って、わたしは亀さんに助けを求めました。亀さんはまたわたしを助けてくれました。心療内科に付き添い、夜中に泣いて自分自身のことをたたく、わたしのことを介抱してくれました。わたしの病名は「不安障害」と当時言われました。
わたしは彼に甘えているにも関わらず、「わたしみたいな人間が調子に乗るからこうなるんだ。わたしなんか殺してやる」と頭の中で繰り返し思ってはどうしようもなくなって泣いていました。大学でも落ち着かずに、亀さんに一緒にいてもらいました。精神安定剤を飲んでいましたが、それ以上に彼がいないと不安でした。

心療内科の先生に言われて、小枝ちゃんに関するすべてのつながりを立ちました。携帯電話やメールアドレスをすべて変更し、共通の友人や知人やバイトの友達とも縁を切りました。精神安定剤も処方されて飲んでいました。それでも、夜中に電話がないと、彼が死んだのではないかと不安になり、彼の家に行きたくなり、いけないと泣き叫んで自分をたたくことを繰り返していましたが、そのたびに彼はわたしに寄り添ってくれていました。それも数か月たって、徐々に回復していき、夜中に叫んで泣くこともなくなりました。もうこれで大丈夫だと思いながらもわたしが、人を傷つけて多大な迷惑をまわりにかけたことを忘れることがないようにと、わたしは小枝ちゃんが吸っていた煙草を吸い始めました。

そのあと、就職をして2年目にわたしは今度こそ本当に亀さんと別れます。わたしが仕事を始めたことでまた、ほかの人に目移りして別れたいとまた言い出したのです。しかし、やはりいつものように、もとに戻りたいと伝えると、もうあなたへも気持ちがふっと消えてなくなったからもう付き合わないと言われました。

わたしは自分がひどいことをしていたにも関わらず、子どものように、嫌だ、おいていかないで、なんでそんなこと言うの?と大泣きしましたが、最後まで彼はおれずにとうとう本当に、別れることになりました。

わたしの家族や友達は、わたしはいかに亀さんにひどいことをしたのか知らないので、やはり亀さんが運命の人だった亀さんみたいな人はいないとよく、わたしに言ってきました。よりを戻しなよと。それを言われるたびに、わたしは最低な自分を思い出していました。

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