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仕事における息苦しさについて「科学的な適職」を読んで考える

僕は電話相談で発達障害の当事者の方や、そうした方々と関りが深い方(家族やパートナー、同僚等)のお悩みをお聞きすることが多々あります。

その中でかなりの確率で出てくるのが、仕事に関連するお話
内容は多岐に渡りますし、相談して下さった方々のお話を具体的にするのも憚られるので伏せますが…いずれにしても何かしらの息苦しさを抱えている方の多いこと。
その方が発達障害(グレーゾーン含む)に該当するか、しないかはさておきです。そこに関わらず苦しんでいる人が多い。

まあ、僕自身が職場のストレスで人生と価値観を一回ぶっ壊されたので気持ちはめっちゃ分かりますけどね!
そしてあんまり人のこと言えた立場じゃないっていう。

相談の話に戻りますと、僕は発達障害であったり、ストレスケアやメンタルヘルスの専門知識がありますのでそこを中心にお伝えできることはするのですが。

一度、違った角度から仕事について考えた方がよいのでは?と思って手に取ったのがタイトルにもある「科学的な適職」というわけです。
著者の鈴木祐さんの「ユア・タイム」という、時間管理術に関する本がとても面白く読めたということがきっかけでもあります。こう書くと回し者みたいですが。

この「科学的な適職」は、その人に合う職探しというものを個人の感覚や経験則ではなくきちんとデータで考えようという主旨のものです。

なかには読んでいて耳が痛くなるものもありました。
人間はバイアス(考え方の偏り)やエラーを無くすことはできず、どうやっても個人の成功体験などを元にアドバイスしがちである、と。

また、いかに適職選びというものが難しいかがよく分かる本でもあります。どんなその道のプロでも、人間は十年先の未来さえ予測できない
アメリカ政府が莫大な予算を使って未来のシミュレーションを試みるのですが、これがまるで当たらないと。
専門家の予測はチンパンジーのダーツ投げと同じ正確性しかない、というなんともアメリカンな酷評のされ方をしたりもしています。

適性診断や性格テストで選ぶのもあまり意味はないそうで。これについては僕も同じ意見だったのでホッとしたりもしましたが。

この本の要旨としては、

  1. 予想が難しいからこそ投げやるのではなく、できるだけ思い込みを排除する。そして視野を広げ客観的(科学的)な方法を取り入れてキャリア選択をする。

  2. 自分にとって最悪な仕事の条件は予測ができるので、そこは避ける

ということなのかなと思いました。
僕も2番に関しては大事にしていた視点なので、そこは間違っておらず今後も重視してよいのかなと思いました。
発達障害の傾向がある方の場合は、よりこの部分を頭に入れておく必要があるところでしょう。

1番目に関してはテクニカルな話でもあるので…頭では分かっても真にこの方法を取り入れていくのは難しさもあるように感じました。
とはいえそういう視点を知ることが第一歩だとは思うので、読んでハッとさせられることは多かったです。

「将来を予測する確かな方法はない」というのはなんとも救いがない見解のようにも思いますが、一方でポジティブにも捉えられる気がします。
つまり、今が最悪であってもそれがずっと続くとは限らないとも言えます。むしろ、予想に反して続かないことの方が多いわけです。

人間は今の状況がずっと変わらないと思い込んでしまう傾向があるようです。これも人間が起こしやすいバイアス(偏った考え方)です
この幸せはずっと続く、この最悪な状況はきっと今後も変わらない…

そんな風に思いがちですがいずれも大抵の場合外れますね。良くも悪くも。
今が辛いとき、そんな考え方を思い出すのも大切でしょう。
本書によれば人間の予想は当たりませんし、人生は予想外の連続だと科学的にも示唆されているわけです。

本当に苦しいときってそう簡単に切り替えられるものじゃないですけどね…だからこそ支援者側は冷静に、その方の状況に合わせた引き出しをもっておくことが大切なのだと思っています。


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