小説(SS) 「一千年前の旅」@毎週ショートショートnote #白骨化スマホ
お題// 白骨化スマホ
旅の途中、人だかりができている遺跡があった。
近づいてみると、野次馬たちがざわざわと噂話をしている。どうやら、推定一千年前のものとされる遺跡から珍しいものが出土したらしい。いわく、棺の中から白骨化した死体とともに、スマホが副葬品として見つかったというのだ。
この世界において、スマホは別世界から転移してきた冒険者たちのみが持つ特別なものとして知られている。信じられないことであったが、つまりは、一千年前にも転移者がいた、ということになる。
長い旅をしてきたが、そんな話は初めてだった。おれたちのような冒険者パーティーが遥か昔に存在していたのか。そう思うと、不思議な感覚が湧いてきた。一千年前の冒険とはどんなものだろう。砂漠やジャングルでダンジョンを見つけて、魔物を討伐するのだろうか。船はあるのか、たとえなくても、おれたちのように世界各地を旅できるのか。
ふと、一緒に冒険をしてきた四人の仲間たちの方を見る。全員が、涙を流していた。
なぜだ。そう思ったとき、棺の方へ駆けていた。
人をすり抜ける。
あぁ、そうだ。
白骨化した死体は、おれたちだった。
長い旅は、この場所を見つけるためのものだったのだ。
ようやく全てを思い出したおれたちは、お互いに笑い合い、光の粒となって空から世界を見送った。
〈了〉547字
*
ちょっと苦戦して、締め切りの滑り込みを
失敗してしまいました。
なんかいつもと違う文章にしてみようと
思ったのですが、あんまり変わってないかも
しれません笑
最後に謎を明かす、みたいな話は
実は初めて書いたので、構成めっちゃ迷いました笑
題名からオチがわかってしまいましたかね…。
どうなんでしょう…?
ではではまた〜
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