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21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(あとがきと番外)

作者 Maomono 翻訳 sekiisekii あとがき 2021年1月「インディゴの気分」にハマってから、評論を捧げたいと思っていたが、このような形でできたのは思わなかった。このシリーズの文が公開されるたびに、多くの質の高いコメントが出てきたのはなによりだ。この情報洪水の時代に、読者のみんなと共に活発で影響を受け合うテキストの議論空間を作ったようだ。これは今の豆弁映画討論区(注:中国の2CHみたいなサイトだ)さえ持っていない盛況で、私の予想を完全に上回った。ここに心か

    • 21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第20の間と第21の間)

      作者 Maomono 翻訳 sekiisekii 第20の間 再びのバーにて 第一話の冒頭と同じ新月の空ショットが、視聴者を思い出から現在に引き戻す。こうして物語は現在の時点に戻る。二人の男は東京のバーで、だらだらと話を続ける。このシリーズはここまで書き、山登りでたとえば、山道の困難な部分はすべてクリアし、見事に頂上にたどり着き、壮大な風景を見ることができた。その後、二人の関係は砂走りみないに、まもなく平地に戻る。ただ、これ以上の驚きと喜びがないと思い込んだら、いきなり流

      • 21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第19の間と番外編)

        作者 Maomono 翻訳 sekiisekii 第19の間 遺影の前の告白 「間シリーズ」が山に例えれば、第19の間の「遺影の前の告白」は間違いなく山の頂上である。前書きに、間が日本の中国水墨画研究で余白の翻訳語に使われていると書いた。今度の余白は解釈の不確定性を直接にもたらすとも言える。このあたりの解釈は非常に多様化し、それぞれの解釈の間には調和のとれない矛盾が生じる。合理的な説明が見つけられないわけではないが、原作とドラマ版の人物設定の間に差があり、そこから生じた矛

        • 21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第18の間)

          作者 Maomono 翻訳 sekiisekii 第18の間 和解 第18の間のすべての細部が胸に迫る。分析のために、私は一コマずつ見ていた。「インディゴの気分」の12分間の公式インタビューで俳優の吉田は、「「インディゴの気分」と「ポルノグラファー」はBLという作品に収まれないだと思うので、敬遠する方々はもちろんいると思うんですけど、でもそう言った方々が見ていただいても、納得してもらえる人間ドラマである、すごく盛り込まれていると思うので、多分体験できているものので、ぜひい

        21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(あとがきと番外)

        • 21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第20の間と第21の間)

        • 21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第19の間と番外編)

        • 21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第18の間)

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第16の間と第17の間)

          作者 Maomono 翻訳 sekiisekii 第16の間 絆を解く 昨夜、原稿を作っている時、思いがけなくも本シリーズの連載をやめたくなる衝動があらわれてきた。なぜなら、木島と城戸の関係の破綻がつらいだけではなく、その内容が複雑すぎて書きにくいから。このシーンは技術的な視覚表現と役者の演技と共に非常によくできていて、よって、視聴者のプライベートの感情を引き出し、理性的な分析がほとんど不可能だ。 詳しい分析に入る前、現代の感情生活についてすこし述べたい。Fanbook

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第16の間と第17の間)

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第14の間と第15の間)

          作者 Maomono 翻訳 sekiisekii 第14の間 言葉遊び 第二話と同様に、第四話は主に繋ぎの機能を果たす。二人の関係のターニングポイントは第三話にできたので、少し楽に見える第四話の任務はただ一つ、スクリーンの前で物語をハラハラしている視聴者に強い引き裂きの前の息をつく時間を与える。いくら避けようとしても、物語の進展が止められないから、その前の温存を楽しもう。 第14の間は第四話の始まりを取り上げる。城戸が原稿を受け取りに蒲生田家に来て、蒲生田がおもてなしを

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第14の間と第15の間)

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第12の間と第13の間)

          作者 Maomono 翻訳 sekiisekii 第12の間 啓蒙時代 今度は第12回で、執筆予定の半ばが過ぎる。「間シリーズ」に対する皆様の支持に感謝を申し上げます。毎度、素晴らしい評論したり、違う見解を発表したりしていただき、大変嬉しいです。「インディゴの気分」のファンは数少ないが、みんなとても熱心だ。 第12の間は蒲生田宅での木島が夕日を見返すシーンを分析する。個人的な話だが、私はこのシーンを友達の勧めで見て「インディゴの気分」を鑑賞することにしたのだ。このシーン

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第12の間と第13の間)

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第十の間と第11の間)

          作者 Maomono 翻訳 sekiisekii 第十の間 タクシーでのキス 今度はタクシーでのキスをとりあげる。その美しさは、単に言葉で表現することはできない。さすが制作グループが4時間以上をかけてようやくとれたものだ。 木島が蒲生田の要求を満たし、蒲生田は翌日に来いと言い出す。帰りのタクシーの車内、木島と城戸はそれぞれ複雑な思いを抱くこのシーンは約1分半の固定ショットの長回しから始まる。カメラは車外から車の後部座席に向かって、窓の外を眺める木島の顔にピントが合い、木

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第十の間と第11の間)

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第八の間と第九の間)

          作者 Maomono 翻訳 sekiisekii 第八の間 胸が騒ぐ瞬間 「第八の間」は「第七の間」に続いて第二話にある最高の部分を分析する。「第八の間」のキーワードを挙げるとすれば、それは「胸が騒ぐ」で、心の中で何かが生じたと感じる瞬間である。この間では、風景の空ショットと効果音という2つの新しい観察要素を導入し、それらで、監督がいかに日常の美を再現するかを見ていこう。 「第八の間」はペアになる二つのシーンを分析する。トイレでよっぱらって吐いた木島を慰めるシーンと翌朝

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第八の間と第九の間)

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第六の間と第七の間)

          作者Maomono 翻訳sekii 第六の間 創作共同体 大量な背景説明がある第一話と急展開する第三話に挟まれる第二話は、プロットや二人の関係からみて繋ぎ的なものであり、すべてがこれから起こるが、まだ起こっていない曖昧な段階である。「第六の間」は、第二話の冒頭にある二人の対面するシーンをとりあげる。このシーンは、第一話の最後の長回しで確立された創作共同体の関係に続くもので、作家と編集者が協働する様子を示す。この協働は長い間二人の関係を支配し、二人が一緒にいる時間の大部分を

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第六の間と第七の間)

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第四の間と第五の間)

          作者 Maomono 翻訳 sekiisekii 第四の間 木島宅での最初の夜(1) 「第四の間」も「第五の間」はともに、第一話の最後の5分間の長回しを巡って分析しようとする。「第四の間」はシーンにおける長回しの役割に焦点を当て、「第五の間」は登場人物の心理分析に留める。 インタービューでは、監督も俳優も、第一話にある重要な長回しについて何度も言及している。それは城戸がシャワーを終えて服を着て(第一話15分34秒)から、食卓に座る(20分27秒)まで、約5分間も続く。『

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第四の間と第五の間)

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第二の間と第三の間)

          作者 Maomono 翻訳 sekiisekii 第二の間 タクシー車内 バーのシーンが終わると、タクシー車内の果たせなかいキスという名場面がある。おそらく、このシーンがあまりにも見応えがあるため、三木監督は第六話でそれをそのまま再録したのであろう。城戸と木島にとって、タクシー車内は思い出の場所で、若い頃のすべてはそこから始まり、そこで終わる。 原作と比べれば、ドラマ版は原作のプロットを多く削除したことがわかるが、三木監督は雰囲気作りと感情描写の工夫に決して時間を削らな

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(第二の間と第三の間)

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(前書きと第一の間)

          作者 Maomono 翻訳 sekiisekii 前書き これは私個人の21日間で完成しようとするスペシャル・チャレンジです。ドラマにあるタバコのシーンを巡っての分析を終えて、「インディゴの気分」にある長回しを分析しようと思いましたが、長回しの醍醐味が言葉だけではちょっと伝わりにくく、それに動画を作る時間がありませんから、ついに諦めてしまいました。ただ、間(ま)という概念を中心に「インディゴの気分」の美しさを分析したら、面白いと思い、このチャレンジをはじめました。 ちなみ

          21日間の21の間——「インディゴの気分」視覚テキスト分析(前書きと第一の間)