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「そういう日」

誰とも約束をしていない休日というのは、自由気ままな一日が約束されている。今日は朝早くから海へ行こうと思ったけれど、起きた時間は昼近くになっていた。海は諦めた。

人というのはあまり変わらない。学生時代から休みの日は時間が許す限り寝ていて、「ああ今日もまた一日ゴロゴロしてしまった」とボソボソ話すと、「まあ、そういう日もある。」と母は言った。そうか、別にいいんだ、そう思ってから休日はゴロゴロしっぱなしである。

こりゃいかん。と、いうことで今日は、洗濯したりデータを送ったりしたあと、自分のためだけに新しい服を下ろしてみた。「とってもお似合いです!」と、可愛い新卒の女の子!って感じの店員さんだけが褒めてくれた服を着て、ドヤ顔で東京シティを歩く。

おもむろに入った本屋さんで、パッと目に入った酒田真実さんの『ココ・シャネル 99の言葉』と、白洲正子さんの『美しくなるにつれて若くなる』の本を買ってみる。ココシャネル面白い。写真いっぱいで読みやすくて、楽しい。すっごい良い。6月に出たばかりらしい。白洲正子さんはこれから読む。表紙の椿が可愛くて買った。

そのあと、ミノルタオートコードでフラフラしながら、夕暮れの東京をパトロールする。夕焼けに見とれていると、いつの間にか電灯が点いたりして、空より街の方が明るくなっていく。その、主役が変わっていく時間がとても良い。

こういう時間の中で、自分のやりたいこととか、好きなこととか、自分の今の気持ちとかが見えてくる。いや、むしろ、こういう時間の中でしか見えてこない。誰かといるときの私は、非常に影響を受けやすく、流されやすい。それが悪いことではないけれど、自分は誰とも違う人間だということ、たった一つだけの人生を生きているということ、たまにスッカリ忘れてしまう。私以外の誰にも分かるはずがない、分かってたまるものか、というものがある。それを今日、この目で確かめたかもしれない。何か大きなものを得たように感じる、うん、そんな気がする!

今日は「そういう日」だった。おやすみなさい。

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