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雨でふやけて優しい気持ち

雨が静かに降っている。こんな日は父と母と、母の友人の赤ちゃんに会いに行った日を思い出す。私はいくつだったんだろう?3歳か4歳かな?外は青色のイメージで、病室はピンク色とかクリーム色みたいで、その色の差がそのまま体感温度の違いだった。赤ちゃんは本当に生まれたてで、スヤスヤとよく寝ている。子どもだった私も、可愛いという感情を抱いた。目を瞑って呼吸で微かに動く赤ちゃんをじっとしばらく眺めていた。母は友人と何か優しい会話をしていた。車を置いた父が来た。父は常に運転手なので、いつもあとから来る。一回スキー場で、吹雪の中タイヤにチェーンを付けに行っているときは、父が遭難してしまわないか心配で、母はそんな不安そうな私を少し可笑しそうになだめてくれたことがあった。父が外から帰ってきたとき、良かった!と心から思い、号泣して抱きついた。それも同じ歳の頃。それを見た母も父も、家族みんな笑っていた。泣いてたのは私だけで、なんだか複雑な気持ちなんだけど、でもみんなが笑っているところを見てやっと安心した。

最近、世の中にいい感じに揉まれて、どんどん擦れて毒々しくなっているような気がしないでもないけど、あの日の優しい空気や気持ちはいくつになってもすぐ思い出せる。雨で乾燥してた何かがふやけて膨らんでくみたい。

部屋にオレンジ色の光が一切ないので、たまにここに来てリラックスしよう。

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