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2023年映画ベスト10!+残念だった映画・ドラマベスト3の話

毎年恒例の映画ベスト。今年も、2023年に観た新作映画のなかからベスト10を選びました🎥 年をまたいだタイミングになってしまいましたが、それぞれの作品を振り返りながら一言ずつ感想を添えていきたいと思います✍🏻
また、最後に少し残念だった作品や楽しんだドラマの話なども。

2023年映画ベスト10はこちら!🏆

  • BLUE GIANT

  • 窓ぎわのトットちゃん

  • 怪物

  • リバー、流れないでよ

  • 長ぐつをはいたネコと9つの命

  • SAND LAND

  • 鬼太郎誕生ゲゲゲの謎

  • 福田村事件

  • フェイブルマンズ

  • スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース

  • 特別枠:憧れを超えた侍たち 世界一への記録

10.スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース

とにかくアニメーションのパワーに圧倒されっぱなしの2時間半。観終わったあとはちょっと放心状態になってしまうほど。前作で吹き替えキャストがとても良かったので今回も吹き替えで観ましたが、これ字幕で観てたら情報量多すぎてついていけなかっただろうな…!
ストーリー的には1作で綺麗にまとまっている前作の方が好きで、この10位はピクサー作品の『マイ・エレメント』とも迷ったのですが、この凄まじいアニメーション体験ができたという点でこちらを選びました。
ちなみにわたしはマーベル作品ほぼ未履修で、スパイダーマンも金曜ロードショーでなんとなく観てなんとなく知ってるかな…くらいな人間なのですが、それでもこのスパイダーバースシリーズはめちゃくちゃに楽しめています。1作目の前作「スパイダーマン:スパイダーバース」はAmazonプライムでも見放題なのでぜひぜひ!!!

9.フェイブルマンズ

スピルバーグ監督の自伝的作品ということで楽しみにしていた本作。
「映画って素晴らしい!」という語り口ではなく、自身の体験を通して映画というものの恐ろしさや映画を作る苦悩も描かれ、映画というものをとてもフラットに、まったく美化しないのが良かった。でも、それでも映画を作らずにはいられない姿が胸にくる。
何気ない日常生活でさえもとてもドラマチックに、ときに美しく、ときに怖く撮る映像もさすが。
そしてなんといっても、あのラストシーンがもう最高で…!!!
あれを観れただけでも本当にこの作品に出会えてよかった、と思う。

8.福田村事件

関東大震災の直後、朝鮮人虐殺が行われていた最中に起こった悲劇を描いた作品。まずこれを映像化したことがとても意義深いと思うし、キャスト陣も素晴らしく一つの作品としてもとても面白かった。
現代のわたしたちからすれば当たり前に「こんなことをするなんておかしい」と思えるけれど、当時この村の住人だったとしたら、自分はおかしいと思えていたかな。群集心理の恐ろしさを感じるとともに色々考えさせられた。
年始に起こった能登半島地震の後のSNSを見ていても、(もちろん有益な情報や善意を感じる投稿もたくさんあったものの)真偽不明だったり悪意を感じるような情報があたかも真実のように拡散されているさまを目の当たりにしてしまい、やっぱり時代が変わっても人間の根本は変わっていないのだと思い知らされた。SNS時代の現代にも(むしろだからこそ、かも)、共通するものが多いなと感じた。
凄惨な場面も多いけれど、日本人として観ておくべき作品だと思う。

7.鬼太郎誕生ゲゲゲの謎

鬼太郎ミリしら状態で観に行ったのですが、鬼太郎が産まれるまでの前日譚ということで予備知識何もなくても全く問題なく楽しめました。とても良かった…!
妖怪より遥かに恐ろしいのは……。PG12で大丈夫??と思うほど人間のどす黒い部分たっぷりでえげつないストーリーではあるのですが、大人のために犠牲になる子どももいれば子どものために命を賭ける大人だっているという、希望ももてる作品でした。田舎の閉鎖された村や昭和特有のいや〜〜な雰囲気の表現も絶妙で不快感がすごかった(褒めてる)。
あと個人的にはゲゲ郎のビジュアルがもう、好きすぎてね……🤦🏻‍♀️

6.SAND LAND

今年一、予告編の期待値からの振れ幅がすごかった作品。
わたしはドラゴンボールすら読んだことがない(あの『DRAGONBALL EVOLUTION』だけはなぜか観た)ほどに鳥山明作品を知らず、映画館で予告を観たときは正直「つまんなそう、絶対に観に行かないな、これ…」なんて思っていたのですが…
映画好きの方々の評判がよかったことと夫に誘われたことから観てみたところ、予想を裏切りめちゃくちゃ良くて大好きな作品になりました。鳥山明好きの夫いわく「鳥山明の良いところが全部詰まっている作品」とのこと。
メインキャラクターはおじさんと魔物。美少女やイケメンが出てこなくたって、プロットが良ければこんなに魅力的なアニメ作品になるんだ!!と嬉しくなりました。原作はかなり古いものだそうですが、全く古さも感じなかった。テンポよく、キャラクターも皆愛おしく、2時間できれいにまとめ上がっていて素晴らしかったです!
老若男女みんな楽しめる作品だと思うのに、興行収入苦戦していたのがすごく悲しい…(わたしも一人だったら絶対観てなかったと思うしなああ…)

5.長ぐつをはいたネコと9つの命

これまでお尋ね者の人生を謳歌してきたネコ・プスが、いつの間にやら8つの命を使い切ってしまい、命の復活をすべく冒険に出るという物語。
ストーリー展開やテーマ性、スパイダーバースを彷彿とさせる2Dと3Dを織り交ぜたアニメーション表現などどれをとっても素晴らしい作品でした。
テーマとしては「一度しかない生の尊さ」というベタなものではあるのですが、そこに帰結するまでのプスの気づきや心境の変化などの過程の描き方がとても丁寧で、まったく説教くさくなくすっと心に入ってくる。
キャラクターもみんな魅力的で。健気で可愛くて自分の幸せを目一杯謳歌しているワンコの姿には泣かされたし、プスの恐れる死神オオカミ(cv.津田健次郎)も最高でしたね…!

4.リバー、流れないでよ

『ドロステ』チームの作品なので間違いないとは思っていたけど期待通りにめちゃくちゃ面白かった!
「2分間が延々と繰り返される」という構造自体は単純でありながら、全くダレることなくラストまで走り抜ける楽しさ。同じ2分でも、短く感じることもあれば長く感じることもあるのも面白い。舞台となる旅館も風情があって素敵で、冬の貴船に行きたくなりました。
登場人物たちが段々とループに順応していくさまが面白くて、"初期位置"には思わず声出して笑っちゃった。異常事態だと気づいたあともできる限りの仕事は続けたり、ループから抜け出したときのことを考慮して突飛なことは避ける感じ、『MONDAYS』に通じる変に真面目な日本人気質の可笑しさがあった。その辺り、同じループものでも「どうせ生き返るんだし色んな死に方しちゃえ!」な『ハッピー・デス・デイ』とは違ってて、それぞれの違いが面白いな〜(そもそも作品のカラーが全然違うんだけども笑)
たかが2分、されど2分。どうせなかったことになる時間。でも、それらの時間の積み重ねが確かにラストに繋がっていく。そのエモさがとてもよかった…!

3.怪物

わたしの大好きな脚本家・坂元裕二さんと是枝裕和監督のタッグ、さらに第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞、ということで本当に楽しみにしていましたが、やはりとてつもない作品だった…。
誰もが誰かにとっての怪物たりえる可能性があるということ。
この映画については、いまだに自分の中での感想をうまく言語化できない部分が多くて…。鑑賞後数日間、一緒に観に行ったお友達とずっとLINEで思い思いの感想をぽつぽつ呟きながら考えていたけれど、感想をまとまった文章にできるくらいまで消化しきれず…。とにかく鑑賞後の余韻がものすごかったし、感じることはたくさんあったので、この感覚を大事にしていきたいと思う。
様々な要素が詰め込まれていたけれど、それぞれの解像度が高いのがすごい。三幕構成も、"ミステリーの種明かし"というわけではなく、あくまでそれぞれの人にフォーカスされていたのもよかったです。

以前、坂元裕二さんがインタビューで語っていたことがあります。

私が以前経験したことなのですが、車の運転中、赤信号で停車していました。前にトラックが止まっていて、青になってもそのトラックがしばらく動かないものですから、クラクションを鳴らしました。ですが、それでもトラックは動かず、『どうしてだろう』と思っていると、ようやく動き出した後に横断歩道に車椅子の方がいらしたんです。そのトラックは車椅子の方が渡りきるのを待っていたのですが、私にはそれが見えなかったんですね。それ以来、自分がクラクションを鳴らしてしまったことを後悔し続けておりました。このように世の中には普段生活していて見えないことがある。私自身、自分が被害者だと思うことにとても敏感ですが、自分が加害者だと気づくことにはとても難しい。どうすれば、加害者が被害者に対してしていることを気付くことができるのだろうかと、この10年あまり考え続けてきて、描き方の一つとしてこの方法を選びました

凱旋記者会見が開催!『怪物』坂元裕二が語る物語の出発点

こういう些細な出来事をきっかけとして、こんな壮大な作品に昇華できる坂元裕二さんの手腕、そしてそのお人柄が素敵だなと思ったのでした。

2.窓ぎわのトットちゃん

『SAND LAND』同様、こちらも今年のダークホースというか、期待値を大幅に上回った作品でした。素晴らしかった…。原作はあまりにも有名な、黒柳徹子さんの自伝小説。
トモエ学園での日々が丁寧に描かれていて、自伝小説だからこその子どもたちの生き生きとした言動がリアル。あ〜子どもってこういうことするよね…!という可愛らしさ・面白さ・危うさ・憎たらしさなどが存分に詰め込まれている。すべての子どもたちと対等に向き合う小林先生の愛情深さには涙。終始子ども目線を徹底していることや、説明っぽいセリフやナレーションも全くないのもすごく良かった。
基本的にはトモエ学園での日常生活を描いた作品だけれど、中盤からは少しずつ戦争の足音が。戦争映画というわけではないので戦争そのものの描写は一切ないのだけれど、ママ・パパという呼び方をある日急にお母さん・お父さんに矯正される/駅員のおじちゃんがいつの間にか女性に変わっている/おしゃれな服が着れなくなる、など、段々と戦争によって生活が蝕まれていく様子は子ども目線でも分かり、直接的ではないものの戦争の恐ろしさを感じられる新しい表現だなと思った。(子ども目線での戦争映画、という点では『ジョジョ・ラビット』を思い出した。もしわたしが名画座のスタッフならこの二本立てを提案したいな〜)
戦争によって生活がひもじく閉塞感に包まれるなかで、人の心を救ってくれるのは戦争によって抑圧されてしまった音楽や歌、読書。アートやエンターテイメントがどれほど人々の心の支えになるのか、ということも感じて胸が熱くなった。
子どもなのにお化粧してるみたいなキャラデザだけちょっと違和感があって、どうしてかな…とは思ったのですが、当時の昭和の児童画を意識したものということで納得。
また映画のなかで何度か空想の世界のようなアニメーションが出てくるのですが、そのうちの一つに原作小説のいわさきちひろさんの絵を彷彿とさせるようなものもあってこれもじーんときました。

1.BLUE GIANT

BLUE GIANTについては、年間を通して散々語り散らかしてきたのでここでは多くを語りません。笑
とにかく青春映画としても音楽映画としても大傑作で、自分にとって大好きな作品となりました。
鑑賞当時にnoteをしたためたので詳しくはこちらにて…!

ちなみに映画鑑賞後は原作漫画も読んで、昨年の5月には仙台編の舞台を巡る聖地巡礼にもいきました笑

特別枠:憧れを超えた侍たち 世界一への記録

2023年、楽しかったこととして上位に思い浮かぶことのひとつはWBC。あの日々は本当に毎日わくわくドキドキで楽しかった…!!
会社のプロジェクターでチームメイトと観た中国戦。勝利の瞬間に夫と友達と飛び上がってハイタッチしたメキシコ戦。出社前、早朝に神田の野球居酒屋まで行って観戦した決勝… 。WBCとともに楽しい思い出もたくさんできました。
WBCが終わってからはしばらくWBCロスみたいな状態に陥ってしまってめちゃくちゃ寂しかったのですが、その寂しさを昇華してくれたのがこちら。それぞれの試合の裏側はもちろん、メンバー選出の裏側まで見ることができてとても満足度高かったです。ちなみに特に好きなシーンは、最終戦前、緊張してる?と問われた先発の今永が「緊張はしたほうが良い、筋肉が固くならないとパワーが出ない」と語っているシーンと、選手たちがメキシコ戦を振り返っているときに「大谷さん遅すぎて抜かすかと思いましたよ〜」と言ってる周東のシーンです。メキシコ戦の周東、ほんとに速すぎて凄いんだけどもう笑っちゃうんだよなあ。
あと本当に大谷翔平は全編を通して主人公すぎる…

ということで、2023年映画ベスト10についてはこれにて完!🌟

ここからは、おまけ程度ですが残念だった映画&2023年ベストドラマについてです💁🏻‍♀️

残念だった映画🥲

クレイジークルーズ

まず大前提、先述の通りわたしは坂元裕二さんの脚本が大好きで。さすがに全部の作品は観れていないものの、恐らく『愛し君へ』以降のドラマはほとんど観ているんじゃないかなあ。だから『花束みたいな恋をした』でオリジナルの映画脚本を書き下ろすことを知ったときはすごく嬉しかったし、翌年のドラマ『初恋の悪魔』も大好きでした。わたしのなかでは坂元裕二脚本作品=安心と信頼 という感覚で。
そんな坂元裕二さんがNetflixと長期契約、さらに1作目が同じく大好きな宮﨑あおいちゃん!!ということで、今年一番楽しみにしてた作品といっても過言ではないくらい、だったのですが……
どうしてこうなったんだろうか……
ツッコミどころ満載だしなんだかテンポ感も悪いしラブストーリーとしてもミステリーとしても中途半端すぎて、「な、何を見せられているんだ…」となってしまった。途中からもう思考停止して宮﨑あおいちゃんのPVだと思ってみていました。宮﨑あおいちゃんは100億点満点の可愛さ(どうしてずっとあんなに可愛いのでしょう)なのですが、それをもってしてもどうしても残念な作品でした…。
ちょっと本当に悲しかったので、改めていつかまた 坂元裕二脚本×主演宮﨑あおい 作品をやってほしい。

2023年ドラマベスト3 📺

年々追いかけるドラマの数は減ってしまっているものの、映画だけでなくドラマも好きです。
2023年のドラマのなかでベスト3を選ぶならこれ🏆

・ブラッシュアップライフ
・今夜すきやきだよ
・きのう何食べた?season2

ブラッシュアップライフ』についてはもう言わずもがなだと思うんですが、特にわたしは世代ドンピシャなのでめちゃくちゃ刺さりまくりました…!シール交換、プロフィール帳、カラオケの選曲、当時のドラマなど、どのディテールもわかるわかる!の連続。何度声出して笑ったことか。
でもそれだけじゃなくて、なんかもうね……最初は"人間に生まれ変わるために得を積むこと"が目的だったけれど、最終的に人生をやり直してどうしても手に入れたいものが、地位でも富でも名声でも恋愛でもなく『友だちとの楽しい時間』なのが本当に良すぎるんだ…。結局人生で最も愛おしいのは大切な人と一緒に過ごす何てことない日々なのですよね。面白さとエモさの両立がすごくて。
あとなんか結局恋愛が全てみたいなドラマに辟易してたので、恋愛要素ほぼゼロなところもめちゃくちゃ好きだった。恋愛なんかなくたって人生は充実するし楽しい、ということを描き切ってくれたこと・そしてそれが男性であることがとても嬉しかったです。
バカリズム脚本ドラマだと2017年の架空OL日記も大好きでした。当時そこまで話題になってなかった気がするけど、ブラッシュアップライフの勢いで再評価されてほしいな〜


今夜すきやきだよ』&『きのう何食べた?season2』は、どちらも料理が重要なモチーフになっているドラマ。最近気づいたのですが、わたし人がお料理しているところを見るのがすごく好きで。トリンドル玲奈ちゃんと西島秀俊さんが手ぎわよくお料理しているシーンで毎回癒やされていました。
前者は女性2人、後者は男性2人 の(関係性は違えど)共同生活のお話というのも共通しています。どちらの関係性もそれぞれめちゃくちゃ良いのよなあ。それぞれ相手のことを尊重していて、周りの人たちもみんな愛すべきキャラクターで、そんな優しい世界に毎回笑って泣いてほっこりさせてもらっていました。『今夜すきやきだよ』で、"エンディングでキャストが踊るドラマに外れなし"の法則がまた確固たるものになってしまった…!笑

あとはNetflixドラマの『初恋』も一気見したな〜!ばちばちに号泣したけど、ただ「とはいえ初恋をここまで引きずる人っているんだろうか…」という元も子もないことは思ってしまった。あと某キャラクターの扱いがちょっと酷くないかい?というのも。ただやっぱり満島ひかりがめちゃくちゃ良くてね……あと濱田岳も良かったなぁ

話題になっていた『VIVANT』はわたしはあまりハマれなかったです…。なんかこう、裏をかくこと・どんでん返しが目的になってしまっているような感じがしてしまって。せっかくお金かけてロケしてるのに合成みたいに見える演出ももったいない気がしてしまったなぁ。俳優さんたちは良かったのですけどね。


ということで、何やかんやで長くなってしまいましたが以上が2023年に鑑賞したエンタメ作品についての個人的な感想でした!!
2023年は、期待していなかった作品がめちゃくちゃ良かったり、逆に期待してた作品があんまり…だったりなことが多かった1年だったなあと感じています。
あとは戦争を扱った作品が多い年でもありましたよね。ベスト10のなかだと鬼太郎誕生、トットちゃん、あとはゴジラ-1.0、君たちはどう生きるか、(観てないけど)あの花が咲く丘で君とまた出会えたら とか。個人的に先日初めて広島の原爆ドームと平和記念資料館へ行ってきたこともあって作品内の色々にリンクすることも多くあり、考えさせられることが多かったです。


今年もまた、新しい作品に出会えるのが楽しみ!!!
作り手の方々へ感謝しつつ、たくさん鑑賞していきたいです🙌🏻🌟

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