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ショートショートnote杯┃コロコロ変わる名探偵(2本目)

「フフフ。犯人が解りましたよ」

「あ、あなたは名探偵!?」
 突如現れた男にその場にいた全員が視線を向ける。

「ある時はこの家の使用人、またある時は宅配のドライバー、さらにある時は庭師として剪定作業を、またまたある時は鑑識の一人として」

「あの時のドライバーか!」
 容疑者の一人である若い男が叫んだ。

「庭師、確かに挨拶した記憶があるわ」
 落ち着いた雰囲気の女性がワナワナと手を震わせる。

「そしてある時は……」

「まだ続くのか?」

 刑事が呆れた声を出す。

「またある時はこの屋敷のペットたまちゃん、別のある時は玄関の門柱、そしてそしてある時は花瓶、さらに別のある時には壁、そんなこんなである時にはトイレの便器にもなり、ある時は背後霊っぽく鏡に映ってみたりして、そのまたさらにある時は……」

 刑事が堪らず言葉を遮る。

「君、全員帰ってしまったぞ!」

「ではこの続きは明日に」

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