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のこしますか


「あれ、飼ってもすぐ死んじゃうよ」

夜店の金魚すくいで、狙った金魚がとれなかった時、自分を慰めたくなるよね。ただの負け惜しみだけど。

でも、金魚って意外と長生き。平均10~15年。ギネス記録は43年だ。
歳のとり方は、犬と同じくらいで、金魚の1歳は人間の16歳、5歳では40歳らしい。(均等ではないね)

43年生きたギネス金魚は、和金という種類で、人間なら350歳。
今から350年前っていったら、徳川綱吉の「生類憐みの令」が発布されるちょっと前だ。

金魚に限らず、的当て、ボーリング、パチンコ、などなど、つい負け惜しみを言ってしまうシチュエーションは、どこにもである。

キツネがブドウ畑を歩いている、木の高いところに美味しそうなブドウがなっている。「うまそうだ」。キツネは、ジャンプして採ろうとしたが届かない。少し下がって勢いをつけてジャンプしてみたが届かない。何度やってもブドウをとれない。疲れ果てたキツネはこういった「どうせあのブドウは酸っぱいに違いない」 イソップ童話

いつかは覚えていないけど、小さい頃、絵本で読んだ寓話だ。

書いたのは、イソップ。

「アリとキリギリス」
「田舎のネズミと町のネズミ」
「ウサギとカメ」
「王様の耳はロバの耳」
「ガチョウと黄金の卵」
「北風と太陽」
「金の斧と銀の斧」

など、いっぱいある。

読んだことのある人は、タイトルを見ただけで、おおよそどんな話か思い出せると思う。

イソップは、世界史上、最も記憶に根付いた物語をいくつも残した人物だ。

イソップの物語が、数千年に渡って語り継がれているのはなぜだろう?

キツネとブドウの話。英語圏では、話そのものを知らない人でも、「酸っぱいブドウ(Sour grapes)」という表現は、よく知られている。ヨーロッパでは、ハンガリーに「sabanyu a szolo(酸っぱいブドウ)」という意味の言葉がある。スウェーデンでは、「あのナナカマドの実は酸っぱいと、キツネはいった」という。アジアでは、中国で「手が届かないブドウは酸っぱい」という言葉が「酸葡萄」と、そのまんまだ。

地域が異なっても、世界中に根付いているのは、人間誰もが持っている弱点を伝えているから。

しかし、人間にまつわる真実を突与えていても、文化がことなる世界の日常に染み渡るとは限らない。

たとえば、朝礼で先生が児童に「失敗しても負け惜しみをいわないこと」と言ったところで、放課後まで覚えている子が何人いるだろうか。

イソップの話が、記憶に焼き付くのは、「ぶどう」「キツネ」「ありつけない」といった具体的な情景が、ありありと浮かんでくるから。私たちの五感に訴えかける要素があるから臨場感が湧き上がる。

話が具体的あればあるほど、わかりやすく記憶に残りやすく、抽象的だと残りにくい。それは、抽象的な表現だと人によって全く異なる解釈をすることがあるから。

管理職の人だったら、部下たちの行動を調和させるため、より明確に具体的に指示ことで、のちのちの「そうじゃないんだよ」を避けることができる。

イソップは、寓話を使っていろんな教訓を残したけど、一番伝わっているメッセージは、「大事なのは”具体的”であること」なんだろうな。

とこで、古代ギリシャの歴史家によると、イソップは紀元前6世紀頃の奴隷だったそうだ。寓話で名声を得て、解放されたらしい。

今、イソップがトークライブやったらチケット前売り即完だろうな。

沖縄出身のお笑い芸人さんが命名してくれたペンネーム/テレビ番組の企画構成5000本以上/日本脚本家連盟所属/あなたの経験・知見がパワーの源です