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いれますか

「ボクに入れないでね」


気のせいでしょうか? ただ今、絶賛選挙戦のはず。
なのに、選挙カーの「がなり」を、とんと聴きません。

候補者にとって、このエリアは優先度が低いのでしょうか?

区議会議員選挙の時なんて、終日、誰かががなっていました。

以前、このブログに書いたのですが、「私を頼ってくださ~い」という
候補者がいたので「100万円貸してください」って、申し出ようか迷いました。言いませんでしたけど。

◯◯議員の肩書を持つ方たちは公人ですから、地元で困ったことがあれば、どんどん陳情に行っていいようですよ。

議員さんは事務所HPとか、連絡先をオープンにしている方が多いので困ったら頼りましょう。

ところで、プチ情報です。お役所って日曜も開庁しているんですね。
初めて知りました。本日、所用で行ったところ、平日さながらの賑わいでした。職員の方々も、なんだか普通にいて、普通に動いていました。

ということより、選挙で思い出したことがあります。

高校時代の話。

学期のはじめ、投票でクラス委員が3人選出されます。

およそ成績上位の生徒が選ばれるものと相場が決まっていました。

私は、スクールカーストの最下層でしたので、みなさんを支える縁の下の存在。クラス委員なんて役職は無縁も無縁。ひたすら有権者としての勤めを果たすだけでした。

で、高校三年生の1学期のことです。委員を決める日の昼休み。
教室で弁当を食べていたところ、一人のクラスメート(以下、Aくん)が
黒板の前に立ち、みんなに向かってこう言いました。

「今日のクラス委員選挙、ボクに入れないでね」

一瞬、何を言っているのか、理解できませんでした。

Aくんは、性格は穏やかめで、目立つタイプではありません。
成績も中くらい、スクールカーストでも富士山5合目か6合目くらいといった感じでしょうか?

誰もが「言わなくても、候補に入っていないよ」と思ったことでしょう。

そして、放課後のクラス委員選挙。Aくんは、3人のうちの一人に選ばれました。しかも、トップ当選です。

私は、「入れないでね」の言葉どおり、投じませんでした。
ですが、多くのクラスメートが彼に投票していたのです。

そのときは「みんな面白がって投票して、わるいやつらだなぁ」くらいに思い、むしろ、どうしてAくんがキテレツな行動に出たのか、意味不明でした。

当選したAくん。困った様子でもなく、どちらかというと薄ら笑みを浮かべていた記憶があります。

キテレツな行動の謎は、2学期の終わり頃に解けました。

高校三年の2学期といえば、受験勉強で追い込みの時期。
一方、自分は大学進学という発想すらなく、遊び呆けていました。

2学期終盤、驚きのニュースが駆け巡りました。
Aくんが、ある私立大学の推薦をとったというのです。

「ははぁ~ん、そういうことだったのか。だから、クラス委員か…」

傍から見て、Aくんの成績なら十分射程圏内だったと思うのですが、
課外活動も充実させて、念には念を入れたのでしょう。

にしても、クラス委員といえば、およそ成績上位者が選ばれる環境なので、「狙って」なれるものでないし…

あくまで推測ですが、Aくんのマーケティング戦略の勝利でしょう。

立候補すればいいのですが、それでは難しいと踏んだのでしょう。


あえての「逆張り」です。


「ボクに入れて」と、お願いしたところで「はいはい、入れますよ」といった、連中ではないから「入れないで」と言えば、少なくとも「いじわるな」票を一定数獲得できると考え、ばくちに出たのかもしれません。

推薦入学テストからの逆算しての逆張り。策略家です。


余談ですが、続く高校三年の2学期のクラス委員選挙は、想定外の結果でした。

受験勉強追い込み&課外活動の加点メリット無し、ということで、クラス委員なんて、誰もやりたがりません。

そのため、誰かが勝手にクラスメート3人のイラスト選挙ポスターを作り、立候補者に仕立て上げ、貼り出しました。

その3人とはスクールカースト最下層。ご想像の通り、一人は私。

おもちゃにされているとわかっていましたが、高校三年2学期のクラス委員なんて、毒にも薬にもならないし、引き受けました。何をやったか覚えていませんが… ひとつ覚えているのは、イラスト選挙ポスター。普通、人の顔って正面から描くものですが、なぜか自分のだけ横顔でした。あの謎は、いまだ解けていません。


ところで、肝心の都知事選。現職有利と囁かれる中、他の候補者には,Aくんの戦略を参考にしていただけたらと存じます。しないと思うけど。


「みなさまの清き一票! どうか私には入れないで下さい!」


沖縄出身のお笑い芸人さんが命名してくれたペンネーム/テレビ番組の企画構成5000本以上/日本脚本家連盟所属/あなたの経験・知見がパワーの源です