「書くひと」なら知っておきたい「言い回し」〜その言葉、もう使われていませんよ〜
突然ですが問題です。
「人民の、人民による、人民のための〜」でおなじみのアメリカ第16代大統領の名前は?
「はい!答えはリンカーンです!」
「ブッブーーー!!正解はリンカンです」
…え?
第二問、蓄音機、白熱電球などを発明したアメリカの発明王といえば誰?
「さすがにこれはわかるやろ、エジソンです!」
「ブッッッブゥゥゥゥーーーー!!!!」
「エディソン」DESU!!
はい??
「何を言ってるんだ、この人は」と思った関東人(?)も、「訳わからんこと言うてんちゃうで!」とツッコんでる関西人も、ちょっと待って!
リンカンのほうがリンカーンより原音に近いため、また、エディソンは綴りがEdisonであることから、近年の歴史の教科書ではそう呼ばれることが多くなっています。
昭和から平成、令和へと時代が進むなか、日本語も変化を続けてきました。
今まで「当たり前」に使っていた言葉が、気がつくと「その言葉、もう使われていませんよ」と言われるかもしれません。
今回ご紹介したい書籍はコチラ。
「その言葉、もう使われていませんよ」日本語倶楽部 [編]
今回は本書のなかから、これだけは押さえておきたい「廃語・言い換え語」「旧語・新語」についてご紹介。
さらに間違って使われることの多い「日本語」と「言い回し」についても触れていきたいと思います!
この記事を最後まで読んでいただくことで、「え、そうなん」「今はそうやって言うんや」といった気付きのお手伝いができたなら幸いです。
ぜひ最後までご覧ください!
これだけは押さえておきたい「廃語」と「言い換え語」
「古いまま」ではマズい!職業にまつわる言葉
助教授 →[准教授]
看護婦 →[看護師]
保母、保父 →[保育士]
カメラマン →[フォトグラファー]
スチュワーデス →[CA(キャビンアテンダント)]
こうやって見ると特定の性別を意識したものからの「言い換え」が多いようです。
他にもOLは女性社員へ、お天気おねえさん(今や死語!昔ありましたねぇ…)はお天気キャスターへと言い換えられています。
政治・行政、経済、スポーツ…各界の「旧語」と「新語」
大人ならマストな政治・行政用語の言い換え
職安 →[ハローワーク]
センター試験 →[大学入学共通テスト]
老人 →[高齢者]
NHK教育テレビ →[Eテレ]
どれも言われてみれば「たしかに〜」と思いました。大学入学共通テストを「共通一次」と呼んでおられた方は私よりも少し先輩です!
今こそアップデートしたい医学用語
伝染病 →[感染症]
(予防接種の)副作用 →[副反応]
盲腸炎 →[虫垂炎]
成人病 →[生活習慣病]
日射病 →[熱中症]
感染症や副反応は今でこそ広く知れ渡りましたが少し前までは違ったんですね。成人病や日射病についても私自身、いつの間にかアップデートされていました。
でも、「虫垂炎」だけは未だに「盲腸」って言ってるかも…
最近の学生はこう教わる!新しい歴史用語と人名
昔の教科書とは呼び方が変わった日本史用語
仁徳天皇陵 →[大仙陵古墳]
聖徳太子 →[厩戸王]
大化の改新 →[乙巳の変]
鎖国 →[いわゆる鎖国]
踏み絵 →[絵踏み]
呼び方が変わった経緯については本書に譲りますが、私が現役で教わっていた時代から大きく変わっていました。実社会では触れることの少ない用語なのでちょっと新鮮。
でも正直、「聖徳太子でええやんっ!」と思ったのは私だけではないはず…
曖昧になりがちなカタカナ語を正しくアップデートする
誤って普及したため、変わったように感じるカタカナ語
アタッシュケース →[アタッシェケース]
リラクゼーション →[リラクセーション]
エキシビジョン →[エキジビション]
エンターテイメント →[エンタテインメント]
ナルシスト →[ナルシシスト]
なんだかキツネにつままれたような感じです…普段何気に使ってました。
今、この記事はiPhoneで入力してるんですが、どれも変換候補のトップに誤ったほうが表示されます。
これだけ普及していると、正しく書いた方が「誤字」と思われるかもしれませんね。
“本来の意味”を知れば使いづらくなりそうな日本語
にやける → ○なよなよしている ×薄笑いを浮かべている
さわり → ○話などの最も感動的、印象的な部分、見せ場 ×話などの最初の部分
姑息 → ○一時しのぎ ×ひきょうな
割愛する → ○惜しいと思うものを手放す ×不必要なものを切り捨てる
まさに「本来の意味を知れば」使いづらくなりそうな言葉の数々。
他にも「憮然」「煮詰まる」「なしくずし」など、間違った意味で覚えている日本語が多数ありました。
正しいはずが、近ごろ“誤用”になりつつある言い回し
「的を得る」と「的を射る」
「足元をすくわれる」と「足をすくわれる」
「いやがおうにも」と「いやがうえにも」
「目覚めが悪い」と「寝覚めが悪い」
「間が持たない」と「間が持てない」
どれも後者が正しい言い回しです。でも前者を使うことのほうが多くないですか?
本書でも圧倒的に誤った(前者)使い方をされることが多い言い回しとして紹介されています。
しかし、「的を得る」は最近では普通の慣用句として辞書に収録されています。なので世間一般によく使われる言葉は間違いでは無くなる場合もあるようです。
日本語ってムズカシイ…
まとめ
日本語が変化をし続ける理由はいくつかあります。
官公庁主導の用語変更
学者や研究者の提唱
業界のイメージアップ
差別の原因になる表現の言い換え
外来語の発音や表記の言い換え
時代の変化
こうした変化にあわせて、普段何気なく使っている日本語がいつの間にか「その言葉、もう使われていませんよ」と言われることの無いように、日頃からアップデートを心がけたいものです。
今回ご紹介したものは、本書で紹介されていた言葉の一部です。他にも今では使われなくなった用語や言い回しが多数掲載されていますので、気になった方はぜひ手に取ってみてくださいね!
有料記事について調べていて思いました。有料記事は書き手が作品に価値を見出している。他方、サポートは読み手が作品に価値を見出している。自分以外の人から認めてもらえる、そんな文章をこれからも。