乳酸閾値に影響するパフォーマンス指標

記事のゴール

乳酸閾値に影響する主要なパフォーマンス指標を理解する

乳酸閾値とは

FTP、MLSS、LT2、色々な言い方がありますが、これ以上踏む乳酸値が指数関数的に増えるポイントです。個人差はありますが図でいうと以下の○で囲まれている部分になります。血中乳酸濃度的に4mol/Lの部分です。
乳酸閾値を上げることはヒルクライムレースやTTなどの一定の強度で走ることが多い種目においては非常に重要ですし、ロードレースにおいても同様にこの数値が高いほど厳しいレース展開にも耐えられるようになります。
乳酸閾値では乳酸が生成されつつ、乳酸が処理されます。つまり解糖系と有酸素系の代謝サイクルがせめぎあっている状態です。解糖系にアクセスするのは必然なので乳酸が生成されるパワー帯域ですのでこの乳酸をうまく処理していく=乳酸クリアランスがカギになります。

以下の図だと300Wが乳酸閾値としています。この場合はこのパワーでより良く乳酸を出さないようにする。そして乳酸を出しつつそれを除去する能力が重要になります。前者の乳酸を出にくくするというのは300Wで乳酸値がそもそも上がらないというイメージで、後者の除去するというのは300Wで乳酸が生成されるものその除去ができていて余裕があるイメージです。

乳酸閾値のポイント

乳酸について

乳酸は悪者ではない

  • 乳酸は直接の疲労物資ではない(超重要)

  • 乳酸が出る過程で発生する水素イオンが疲労物質と分かってきている

  • 乳酸はエネルギー源でもあるのでアップの際には乳酸をためておいた方がいい場合もある(高強度系ワークアウトとかでたまに高めのアップがあるのはこのため)

乳酸の除去

2パターンありますので簡単に覚えましょう

  • 解糖系により発生した乳酸の元であるピルビン酸を利用する

    • 有酸素系の代謝で利用

  • 発生した乳酸をミトコンドリア内で処理する

1点目がわかりずらいと思いますのが、乳酸閾値のパワーで踏んでいると解糖系の代謝も利用します。
解糖系ではピルビン酸が発生してその後乳酸になります。そのピルビン酸の段階では有酸素系の代謝で利用して除去できるので乳酸になる予定だったものを減らすことができます。

乳酸閾値に影響する主要なパフォーマンス指標

さて、ここからが本題ですが主要なパフォーマンス指標は以下4つです。
それぞれ簡単に説明します。

  1. 脂質酸化能力

  2. 有酸素能力(Vo2MAX)

  3. 乳酸輸送能力

  4. 乳酸生成最大速度(VLaMAX)

また説明する上で乳酸を除去する能力を全般的に乳酸クリアランスと呼ぶので、ここは前提知識として頭に入れておいてください。

脂質酸化能力

  • 身体中の脂質をエネルギーとして利用する能力

    • 脂質は運動中には枯渇することがない無限のエネルギー

    • LT1、低強度練で強化できる(短い時間だと効果は薄いので他の練習しましょう)

  • 乳酸の元となるピルビン酸も脂質代謝する過程で利用するため、乳酸の生成量そのものが減る(また別記事で説明しますが重要)

  • 詳しく知りたい人はTCA回路、クエン酸回路、β酸化で調べてみると良いかも

有酸素能力(Vo2MAX)

  • 運動中に体内(ミトコンドリア)に取込まれる酸素の最大量(最大酸素摂取量、Vo2MAX)

  • 酸素はピルビン酸、脂質をエネルギーに変えるために使われる

  • この能力は有酸素の代謝サイクル(TCA回路)を加速させるので、乳酸クリアランス能力も向上する

  • 実際にはVo2MAXを上げるだけでなくて、この能力を乳酸閾値でのパワーとして利用するために「乳酸閾値での酸素摂取量/最大酸素摂取量の割合=部分使用率」を上げることが非常に重要(また別記事で説明)

乳酸輸送能力

  • 運動中に乳酸が溜まるという現象は体全体から見ると局所的であり、体の他の部位で乳酸を除去できる。乳酸が溜まっている脚以外の他の部位(骨格筋内のミトコンドリア)で除去できるため、その部位へ乳酸を輸送する能力が乳酸輸送能力。

  • MCT1、MCT4という乳酸トランスポーターを利用して乳酸を輸送する。MCT1は乳酸を流入、MCT4は乳酸を排出する。MCT1は遅筋、MCT4は遅筋以外で多く存在する。MCT1はtype2aにも存在するが、MCT4は遅筋には殆ど存在しない。(あまり覚えなくても大丈夫)

乳酸生成最大速度(VLaMAX)

  • 運動によって乳酸が生成されやすくなる能力。厳密にいうと、乳酸生成の最大速度。

  • この指標が高いと乳酸が生成されやすくなる。

  • デメリットではなく、Zwiftや短めの国内レースなどアタックする際にこの数値が高いほど一時的なパワーが上がる。解糖系能力の主要な指標。

  • 乳酸閾値とはトレードオフ


その他

耐乳酸能力

乳酸値が高い状態でも耐えられる能力。水素イオンが疲労物質と話しましたが、疲労物質は血液、筋肉で一時的に中和できるのため、この能力が高いほど疲労物質が溜まった状態でも耐えやすくなる。
乳酸の生成や除去には直接的な影響はないものの、この能力が高い方が乳酸閾値で走る強度に長い時間耐えられる可能性が高い

気合、根性、精神的なもの

ここはテクニカルな部分だけど普段、SSTとかFTP走やってる人間と、やっていない人間だと精神的な辛さがかなり違ってくるのでレース近くなったらそのレースに合わせた時間、強度を意識してトレーニングしましょう

まとめ

以上の情報をまとめると以下の通りです。乳酸閾値というのは4つの指標のバランスで決まります。つまり延ばせる方法は色々あるわけです。

  1. 脂質酸化能力 乳酸閾値UP

  2. 有酸素能力(Vo2MAX) 乳酸閾値UP

  3. 乳酸輸送能力 乳酸閾値UP

  4. 乳酸生成最大速度(VLaMAX) 乳酸閾値DOWN

時折FTP上げるにはという質問や投稿を見ますが、これはその人のトレーニング履歴や能力がわからないとわからないです。低強度メインでやっている人は逆にVO2MAXあげたり、乳酸輸送能力あげるのが効果的ですし、Vo2MAXを上げる高強度の練習ばかりしている人がさらにVo2MAXを上げるのは非常に効率が悪いです。

次の記事ではそれぞれLTのグラフを使って能力の変化によってどう変わるか解説していこうと思います。

読んでいただきありがとうございました!!
間違っている部分やわからない部分があれば加筆・修正もするのでコメントよろしくお願いします!

余談というかここ最近の話(本題とは関係なし)

3月ごろから猫ミームで脳内が侵食されて、人生が終わるかと思いましたがやっと中毒から抜けてきました。
最近外ライドをしましたが、花粉症も楽になってハッピーハッピーハッピ-!!

猫ミームTierS ハッピ-猫

トレーニングでいうと富士ヒルゴールド目指して頑張ってますが、なかなか58kg代から落ちなくてでもFTPは順調に戻ってきているのでめげずに頑張っています。まだ体脂肪率16%のデブ。FTPは250Wぐらいには戻ってきてるから現実的なゴールとしてはFTP270~280Wで体重55kg~56kgぐらいかな。
富士ヒルがゴールではないので筋肉量は落としたくなくて、今はワークアウト中にBCAA飲むのと、プロテインを飲んで筋肉量減るの防止してるのでたぶん落ちにくいのかなと。脂肪量だけは少しずつ減っているので前進はしてる感じですね。
後は相談に色々のってる人がいるのですが、良い方向に向かっているみたいで個人的には嬉しいです。人に教えるっていうのはある種の責任が伴うことと理解していて、最初は良い方向に本当に進めるかどうかがわからず不安でした。結局は色々アドバイスして本人が気づくことがかなり多かったので自分は情報を整理するのが役目でした。(SWOT分析とかした)。
プランを作る以外にもこういうかかわり方があってもいいかもしれない。
また、自分自身もトレーニングして復帰しようって思って真面目に取り組んでいるので、モチベーションが低いときには自分も頑張らなきゃなと思って相乗効果もあるので個人的にもよかったと思います。

プライベートのことでいうと(全部プライベートだろ!)
仕事もとても順調で最近は新しい事業創生とか他社との連携みたいな感じのも動き出してきて、刺激が多くていいですね。現業と兼務なので忙しさというか意志力の消費が凄まじい感じ。まあ忙しくなるのはまだ先だから乗れる頻度が少なくなるとしても工夫して継続はしていきたい所存。

以下、さらにどうでもいい話。
X上ではBLEACHネタばっかり擦っているが、よくストーリー覚えていないので読み直してて、やっと破面編読み終わった。相変わらず主人公と総隊長強すんぎ。蒲原喜助とかマユリ様とか技術局の周りのメンバーも有能すぎてこいつらいなかったらみたいな場面多すぎた。結局、十刃の中だとウルキオラが最強なのかな?2段階目の帰刃できるのってあいつだけだし、それを周りに隠しててNo4だったし。ウルキオラとの最終決戦の部分は何かオサレでエモかったけど何でそうなのか全く説明できなくて、漫画ってすげえなっておもいましたまる。


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