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子供を産んだら聴力が10倍になった

新生児は不意に声を出す。

ふぇ
キュッ
くふぅー

特に意味はないのだけど、寝てても起きてても出ちゃうらしい。

この「特に意味はない」に気付くのに1週間かかった。
この1週間、ちょっと声が出るたびに、起き上がって赤ちゃんの状態を確認していたのである。

お腹減ったのか?
おむつ替えか?
ゲップ出るか?
吐き戻しか?

全部試してみて、どれも違って、やっと意味ないやつか、と気付くのだ。

産まれた翌日には母子同室だったのだが、その日から子供のちょっとした泣き声が聞こえるたびに起き上がっていた。

母子同室になってすぐに、静かに大量にミルクを吐き出したところを目撃してしまったのが、聴力の目覚めのきっかけになったと思う。
吐き戻したもので窒息するとかいう、うっすらした情報が脳裏を過り、どんな変化も見逃してはいけないと思ってしまった。

眠りは浅くなり、変な夢ばかり見て大変だったけれど、普段なら絶対目覚めないボリュームの声に反応する自分に、これが母親の本能か、と感心した。

退院して実家に戻ると、複数の大人が見ている安心感からか、深い眠りにつくことができるようになった。
それでも泣き出してすぐに目覚めるのだけど。

子供を育てるモードに突入したのは、お腹や胸だけの変化ではないのだなと知った、産後1週間だった。

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