易経には

「二人心を同じくすれば、その利  するどきこと金を断つ。
同心の言は、その臭 かお り蘭のごとし。」　（繋辞上伝）

という一節があります。

解釈としましては

「志を高く持つ二人が心を同じくして事に当たる時には、硬い金属をも打ち砕く程の力が生まれ、不可能を可能にしてしまう程の奇跡が生まれる。
心を同じくする二人が交わす言葉は、丸で蘭の花の香りの如く美しく芳しい。」

というものです。

この言葉は「断金の交わり」、「金蘭の交わり」の語源です。

私は子供の頃から心を開いて話せる友達がいなく、誰とも親しく交わる事なく陰気で閉鎖的な偏屈人間でした。
グループ行動も苦手で、単独行動が心地良く、誰とも連みませんでした。
大人になってからもそれは同じで、特に仕事は誰かと一緒に何かを為す事など一切なく、一人自由気ままにやって来ました。

ですから若い頃はこの「金蘭の交わり」などは理想を語っているのだろう、そんな事あるわけがない、はいはい理想論絵空事と、思っておりました。

ですがこの年になり（アラカンでございます）、泉 麗香さんという素敵なお方とご縁をいただいたお陰で、私はこの「金蘭の交わり」という言葉を深く知る事となりました。

私は蘭のような美しく芳しい花ではなく、たとえば道端の名も知らぬ雑草に過ぎませんが、泉 麗香さんという、その名の通り麗しく香る蘭の花のような方が、何故か積極的にこんな私と交わってくださり、力を貸してくださったお陰で、とっても素敵な「星マリアのイーチンオラクルカード」という作品が完成致しました。私一人の力では到底成し遂げられなかった作品です。

そして現在、泉 麗香さんとのご縁がなければ作成しようなどと思いもしなかった作品を手掛けており自分でも未だ驚いています。
それはカードが無事完成した後、ホッとして麗香さんと話をしていた時
「たとえば〜〜〜みたいなものも作成できたら面白いかなぁなんて思っているのですけどね。無謀にも程がありますが（笑）」
と何気に発したひとことでした。
麗香さんはそのひとことを覚えていてくださり、私の何気に発したひとことのサンプルをすぐに作って見せてくださったのです。
その時の衝撃はこれまでお仕事をして来た中で受けた一番の衝撃でした。
その衝撃と感激から「これは是非とも作ってみたい！」と本気で思うようになったのです。

麗香さんとは何か、互いに通じ合うものがある。（ような気がする。）
語り合う言葉も嘘偽りのない真心からの言葉で誠実、透明で、美しい。
決して押し付ける事なく謙虚で温か、私の意見を尊重し、大切にしてくださり、さりげなく素晴らしいアイデアを提案してくださる。
それは「君子の交わりは淡きこと水のごとく」という言葉そのもので、甘くベタベタな関係には決してならず、適切な距離を保ち、何といいますかこれまで得たことのない心地良いご縁、私縁ではない友達関係、説明がとても難しいですが天火同人の卦のような、同志の関係に勝手に感じています。

麗香さんは私に寄り添うように仕事を進めてくださりながら、語る言葉は教養を感じさせる蘭のような芳しさを漂わせ、ユーモアや余裕がおありで遣り取りはとても楽しく心地良く、同時に緊張感をも与えてくださいます。
とても素敵で不思議なお方なのです。
麗香さんのような素晴らしいお方とはこれまでお会いした事がありません。

現在も麗香さんは気の遠くなるような作業にお付き合いくださっています。
完成は早くて3年後くらいになりそうですが、完成も勿論楽しみですけれど、今のこの、金蘭の交わりのような美しい夢のような過程が私にとって、とても楽しく大きな学びとなり人生の宝物となっています。

泉 麗香さんへのラブレターのようになってしまいましたが、麗香さんは人として、漫画家さんとして心より尊敬し、愛してやまない数少ない大切な盟友であり、運命の人のひとりなのです。