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妖精さんのサプライズ

17年程前にHPを開設し、公に日記を書き始めました。その後バックナンバーが増え、過去の日記を削除する際、心に残る記事のみ、新たに「エッセイの部屋」というコンテンツを設け、カテゴリーに分けて掲載することにしていました。
こちら↓はHPを開設して間もなく、17年程前の日記に記しました記事を、エッセイの部屋に移したものです。

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☆ 妖精 ☆

ヨーロッパの童話を読んでいると、妖精がよく登場しますね。童話が大好きだった子供の頃の私は、妖精がいると信じていましたし、実際、12年前フランスのアルデンヌの森に住む心友宅を訪れた時、私は確かにその森で妖精を見たのです。きっとこんな事をこの年になって真顔で話せば、

「とうとうマリアもおかしくなってしまったか」

と、内心嘆かれる方も多くいると思いますし、あまり口にしたことがなかったのですが、先日西洋占星術やタロットを使う男性の占い師さんと仕事でご一緒する機会があり、彼の方から「妖精は存在するんですよ」と、真顔で話してくれたことにとても驚き、嬉しくなって、その後彼と妖精談義に花を咲かせたのでした。彼の話しによりますと、妖精は森の中を住処としているとのこと。私がアルデンヌの森で確かに妖精を見たということを話しましたら、「私は信じますよ」と穏やかに微笑んで下さいました。・・・・嬉しい・・・・一人でもこんな話を信じて下さる方がいて。一度だけある友達にそれとなく話したことがあったのですが、大笑いされて、馬鹿にされておしまいでした。それ以来、誰にも話さずにいた事なのです。

妖精は存在するという、その占い師さんが言うには妖精は緑が大好きだそう。緑のあるところには妖精がやってくる。だから彼は自分の敷地内に、妖精が住めるよう人が立ち入らない区域を作ってあげているそうなのです。 家の中に緑を置くだけでも、妖精は喜んでやって来るのですって。
「妖精は花や緑が大好きなんですよ。美しくて素敵なこと、楽しいことが大好き。部屋を花や緑で飾って、美しい音楽に愛の詰まった楽しい会話で日々過ごしていると妖精が仲間に入れてよ、とやってくるんですよ。そして、思わぬプラスの力を貸してくれる事もあるのですよ。」

彼の話しを聴いているうちにだんだん楽しくなってきました。

お部屋をお花や緑でいっぱいにして、綺麗な音楽をかけながら、家族と美味しいケーキをいただき、何気ない会話に笑ったり・・・。 楽しく温かく愛を込めて過ごしていると、妖精たちが喜んで、そのうち無邪気な妖精の悪戯で、思わぬサプライズがあるかもしれません。

毎晩子供達が眠る前、ベッドの横でいつも本を一冊読んであげる習慣がありますが、今夜は12年前、アルデンヌの森で出逢った素敵な妖精たちのお話を語ってあげようと思っています。

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フランスにあるアルデンヌの森は、インターナショナルスクール時代からの35年来の大親友Fが住んでいまして、今から丁度28年前、私の結婚が決まり、また、Fが高校生の頃からの夢であった修道女になる決意を固め、Fの住むフランスの隣国ベルギーの修道院に入る事になった為、修道院に入ってしまったら、今までのように頻繁にお手紙のやり取りができなくなるかもしれないし、もしかするともう一生会えなくなるかもしれない、ということで、それなら会えなくなる前に会いに行くわ!と、私はFからの手紙を貰い、すぐに一人、フランスへ向かったのでした。

憧れのフランス!お洒落なパリ!、一度は来てみたかった、と、イメージを膨らませた22歳の若い私を空港に迎えに来て下さったFとFのお兄さんとの再会に嬉しくてハグハグキスキス、Fのお兄さんが運転する車に乗り、初めてのフランスに大喜びでした。

Fの家はパリからは車で2時間ちょっとのところですので、ベルギーとの国境にある町という事は知っていましたが、私は都会をイメージしていたのです。

ところが車はどんどん、街から離れて行きます。いつの間にか辺りの景色は鬱蒼とした木々が増え、合間には広い大地に牛や羊、馬などの放牧され、到着した彼女の家は森の中の一軒家、という感じの、丸で故郷北海道のようなところでした。

イメージしていたフランスとは随分違いましたが、丸でお伽噺、童話、絵本に出て来るようなその可愛らしい煉瓦のお家や、すぐにでもひょっこり野うさぎやキツネさん等が現われそうな壮大で美しい森に、綺麗な鳥たちの囀りに、新たな感動を覚えました。澄みきった空気に、優しい風、全てが私を包み込み受け入れ、歓迎されているような温かさを感じたのでした。そこで10日程過ごしました。

薪割りや畑仕事を手伝ったり、ジャム作りを手伝ったり、森へのお散歩が一番の楽しみでした。特に早朝、緑の匂いに包まれキラキラとした朝露の中のお散歩は格別でした。ある日、Fとふたりで早朝に森のお散歩を楽しんでいた時の事。キラキラ光る白いものが、ふわっと私の前を通り過ぎたのです。私は驚き、

「今、何か白いものが私の前を通ったけど!?」

と、Fに話したら彼女は笑って

「そっか、マリアにも見えるのね。あれは妖精よ🧚‍♂️✨」

と、答えたのです。

「妖精。。。?」

と、吃驚して訊ね返しましたら

「奥の方へ行くとね、今の時間なら沢山いると思うわ。優しい素直な気持ちで、そして決して彼等の邪魔をしないよう、遠くからそっとお邪魔しましましょうね。」

とのFの言葉に、そっと森の奥へ入って行きました。

暫く入って行きますと、Fは立ち止まり、

「ほら、あの辺り。見えるかしら?」

と、小声でFは奥の方に目をやった。 私もFの視線の先を見ましたら、私の前をふわっと横切った、白いキラキラと光る不思議なものが、沢山集まり浮かんで見えるのです!私は一瞬、目を疑いましたが、「素直な気持ちで」、というFの言葉を思い出し、まっさらな気持ちで様子を見ていますと、楽しそうに妖精さんたちが踊っているように見えてきたのです。カメラなど今のように常に携帯していませんでしたので、美しい様子を撮影することもありませんでしたが、ただただ、感動のあまり妖精たちの姿に心を奪われてしまっていました。

この、28年前の出来事は、私にとってとても感動的で、すっかりアルデンヌの森が好きになってしまったのです。
(今だからこそ、妖精オラクルカードですとか、妖精や精霊が身近な感じで語られるようになりましたが、当時は私の妖精話には、気の毒そうに呆れる人が大多数でした)

時が過ぎるのは本当にとても早く、あっという間に日本へ帰る日が来ました。Fは

「ベルギーの修道院に入ればもうこんな風に会えなくなってしまうけど、マリアの事は一日も忘れることはないわ!遠くまで来てくれてありがとう!マリアの元気な姿が見られて安心した!凄く嬉しかった!」

と、泣いてハグ。私も

「私こそ結婚すればこんな風に簡単に会いに来られなくなると思うけど、生きていればいつかきっと、妖精さんが会わせてくれる、そんな気がする。だって妖精さんがね、またね、って言っていたように感じたんだもの。だから私、ベルギーまで行くから!会いに行く!修道院の人に何とかお願いして会わせて貰うわ、きっと、必ず!約束するわ!」

と、泣いてハグ。

そんな感じで28年前、お互い涙で別れ、それぞれの道を歩みました。

その後、お互い色々ありました。 私につきましては御存知の方も多いとは思いますので敢えてここに記す事でもないですが、まあ何ともドタバタ劇場な感じで詳細は新月の雫を)、また、FはFで、修道院では過酷な試練が待っていました。繊細なFの心は傷つき、悩み、手紙の内容もお互いの人生の苦しみの話が増え、これが大人になったという事なのでしょうか、と、お互い自問自答するような辛い内容となり、そのうち予想していた通り手紙は途切れがちとなり、暫くの間音信普通となってしまいましたが、それでもまた、すぐに交流は復活、20年程前アメリカのシカゴに移り住んでいた頃も随分、彼女からの手紙に支えられ、助けられました。
互いに励まし合い、勇気づけ合い、年月が過ぎた後、彼女は病気になってしまい、手紙がパッタリと来なくなってしまったのです。修道院に問い合わせてみましたところ、療養中としか教えてくださらず随分心配していました。それでも暫くして少しずつ手紙が書けるくらい回復し、昔ほど頻繁ではなくても手紙のやりとりが可能となり喜びました。
彼女とはずっと手紙のやりとりですが、手紙ならではの温かみというものが感じられるものですね。行間から彼女の思いが感じ取れ、元気なのか嬉しいのか悲しいのか、無理をしても文体ですぐにわかりますし、便箋に香る残り香も身近に感じます。

そして2010年に、そんな彼女が住んでいるベルギーへ引っ越す事が決まりました時は、私は勿論のこと、彼女もとても驚き、夢なのでは、と、何度も思い、そして「これはきっと妖精のサプライズ」と、喜び合いました。こんな奇跡ってあるのかしら、と、彼女に会える日が待ち遠しく、私の中ではベルギーへ引っ越す一番の楽しみとなっていました。ただ、厳しい修道院に居る彼女と、簡単に会う事は可能かしら、という不安はありました。私がベルギーに引っ越して間もなく、Fのお父様がご病気で亡くなり、Fはとても気を落とし、また、一人暮らしのお母様を気遣い、お母様も同じく、過酷な修道院での生活はもう終えて、家に戻って来なさい、これからはふたりでのんびり暮らしましょう、と、Fをフランスの家に呼び戻したのでした。Fは随分迷ったそうですが、これからは自分らしい第二の人生を精一杯生きよう、と、決意し、家へへ戻ったのです。

地図でよく見ますと、Fが現在住む家は28年前訪れた家からそう遠くなく、ベルギーとの国境にあり、私の住むブリュッセルから何と車で1時間半程のところにあることがわかり、落ち着いたら絶対に会いに行くね!と、お互い再会を待ち侘びていたのでした。 Fは厳しい修道院での仕事の疲れが溜まり、暫くは自宅で療養し、少しずつ前向きな彼女らしさを取り戻しました。今はすっかり元気になり、英語教師をしています。

ベルギーに住んでいました頃は、ブリュッセルやアムステルダム、ロンドン、デュッセルドルフ等でインターナショナルスクール時代の同窓会が開かれ、沢山の旧友達と再会しましたが、Fは特別な大心友ですので、ふたりきりで会いたい、という事となり、28年前の約束通り、Fに会いに出かけたのでした。

28年前は、日本から飛行機に乗り何時間もかけて会いに出かけましたが、今では車で一時間半程の場所にお互いが住んでいる、という奇跡に、夢なのでは、と思う程、お互い信じられない気持ちでいっぱいでした。Fには是非、夫も紹介したかったので、夫も連れてFとの待ち合わせ場所へ向かいました。(フランスまで900mの看板にキャーキャー盛り上がる私)

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最寄駅、シャルルヴィル=メジエールの標識に、もうすぐそこだわ!と、車の中で大はしゃぎ♪

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こちらが待ち合わせ場所の、シャルルヴィル=メジエール駅。天才詩人、アルチュール・ランボーの故郷でもあります。

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夫にはこれまで何百回もFの話をしていますので、どれ程の感動の再会なのかということもわかっていた様子、感動の再会シーンをカメラにおさめてくれていました。Fと待望の28年ぶりの再会☆ 感動でお互い涙涙涙でした。

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公園のベンチで時を忘れお喋りする中、私の髪に天道虫さんがとまっているのをFが発見!これはやっぱり妖精さんの悪戯、サプライズよ!妖精さんも私達の再会に喜んでくれているんだわ、と、ふたりで大喜び♪

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その後シャルルヴィル=メジエールの中心へ向かいました。(↓町を作ったシャルルさんの像)

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ここが町の中心です。

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天候は晴れたり曇ったりでしたが、心配していました雨に降られること無く、楽しい時は過ぎました。天気予報では雨のち曇り、朝は肌寒く、10度だった気温も日中は奇跡的に晴れ、20度まで上がりました。私は如何してもまた、あの、昔訪れた森へ行きたく、昔Fが住んでいた家の辺りへ行く事にしました。

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雨上がりで地面が滑っていましたのであまり森の奥へは入れませんでしたが、それでも確かに、白く零れんばかりのキラキラ輝く妖精達が、私を歓迎してくれているように見えたのでした☆ ああ、やっぱり緑が気持ち良い、と、Fと深呼吸✨

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その後、Fの家のあるシャルルヴィルへ戻り、時計を見るともう夜の8時。(ですがフランス、ベルギーの夏は夜10時頃にならなければ暗くなりません。何だか昼間のようですね。)

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Fは「最後にお花をプレゼントさせてちょうだいね!きっと、ブリュッセルまで妖精さんがお花に乗って安全に家まで送ってくれると思うわ✨」と、お花屋さんに立ち寄りました。マリアにはやっぱり昔から赤とピンクが似合う、と、Fがチョイス🌸

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素敵なお花のプレゼントに超ご機嫌な私♪

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とうとう別れの時間となりました。近くに住んでいるのだし、また会いに来るね、今はいつでも会える距離なんだものね!と、あらためて再会の喜びを分かち合いました。

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名残り惜しみながらシャルルヴィルを後にブリュッセルまで車を走らせました。帰路はとてもスムーズで渋滞もなく、安全に帰宅することができました。きっと、妖精さんの御蔭です☆

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Fとは今も、敢えて直筆手紙の遣り取りが続いています。(^^)
偶にWhatsAppでお話しするのも楽しみです🎶

『星マリアのイーチンオラクルカード』の仏訳は、Fが手伝ってくださいました🇫🇷✨

有難く頂戴致しましたサポートは、動物保護施設への募金及び易経研究の為に使わせて頂きます💓