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【小説】『ゆびさきに魔法』の続きが待ちきれない

子どもの頃、父が定期購読していた文藝春秋。多分祖母の代から続いていた習慣だと思う。活字大好き少女だった私は応接間のテーブルに置かれているそれを手に取って気になる記事だけ読んでいた。

結婚したり父が亡くなったりして子育てに忙しくなってからは縁の遠い雑誌になっていった。

2度めのアメリカ駐在について行く時、子どもの手が離れて暇になったことと、会社の福利厚生で月に一冊日本語の本を送料無料で取り寄せてもらえることがわかったので思い出深いこの月刊誌を選んで購読再開。幼少の頃からおじいさま方向けの雑誌と思っていたけど40代の私が読んでもやっぱり自分が最年少の読者ではないかと感じていた。

帰国する際、引越し荷物の中の三年分の雑誌はリタイアしてアメリカに永住されている方にまとめて差し上げると泣くほど喜ばれた。こちらもありがたい。

それからまたまた5年の月日は流れ世の中のデジタル化が進み日本の慌ただしい生活の中にあと分厚い月刊誌は私の手に取られる時間がなかった。何しろnoteを毎日書くとか働けるとかネット生活に追われるとかがらりと暮らしが変わったから。雑誌には寸分の罪もない。

その、毎日noteを書くうちに流れてきたのが文藝春秋デジタル版で、しばらくは課金するのを躊躇った。他の方の書いたnoteをもっと読みたいし、すでにdマガジンをサブスクしていて読み物の海に溺れんばかりになっているし、これ以上スマホ脳になったら不健康じゃない?

父の定期購読は有形のもので買ったことを忘れはしないけどデジタルだと買ったことを忘れて読まずに無駄にしそう。数ヶ月迷ってやっぱり有料記事の購入を決めた。月々1,000円くらいでも年間を考えるとそれなりだし、今もYouTubeプレミアムなどすでにサブスクで支払うものが他にもある。美容院のヘアカラーだってネイルだって言ってみればサブスク…

郷愁やら惰性やらでnoteで文藝春秋を購読し始めて興味のある記事を最後まで読めるようになってふんふんとは思っていた。あの雑誌の薄い紙の二段の縦書きとデジタル版の横書きだけでも違和感はあると思いつつ。人生3度めの文春との出会いの中抜群に面白いのが連載中の三浦しをんさんの小説だ。

先ほども書いたように数年来私は毎月ネイルサロンに通っていて先日もたまたまそのことをnoteに書いたところ。

このお仕事小説、何って取材がとにかく綿密で大変よく調べておられることに作家魂を感じる。三浦さんの作品はこれまで読んだことがなかったのだけどネイルというテーマが気になって読んでみた。するとこんなに引き込まれる小説は久しぶりでこれまでの20話を一気に読んだ。

ネイリストである主人公とその周りの人たちがスマホから飛び出して動き出しそうなほど映像が頭の中で像を結ぶ。課金した甲斐があったと思ったほどだ。21話も楽しみにしている。私ならタイトルはもう少し魅力的なのを考えただろうな、などと呟くのは100年早い。それにしても既存のこの雑誌の読者層にこの小説は受け入れられるのか。私の父なら見向きもしなかったことだろう、失礼ながら。

他の記事もどんどん読まなくっちゃ。今日も忙しい一日になりそうです。皆様も良い日曜日をお過ごしください♪

ベランダの花を入れてみました


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