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不登校になった娘と私①


娘が不登校になった

1.ある事がきっかけで不登校に

小学校5年生の時、娘が学習発表会にむけて音楽室で一生懸命にマリンバの練習をしていた。そこに支援学級の先生がきて、「頑張っているね。」と声をかけてくれたが、先生はコロナの真っただ中にマスクをしていなかった。それで娘が「先生、マスクをつけて。」と言ったことが気に障ったのか、娘を叱責し体を押し娘は大泣きした。周囲の子が慌てて担任の先生を呼びに行き保健室に連れて行ってくれた。そこに再度その先生が来て追い打ちをかけるようにひどい言葉をあびせて立ち去った。

この出来事が原因で娘は不登校になった。

普通に毎日楽しく学校に通い、お友達とも仲良くしていた。
もし同じ事が息子に起きていたことなら「あの先生、まじ腹立つわ!」と憤慨する息子に「まぁそんな先生もいるよ。気にしなや~。」で終わっていたかもしれない。

しかし、娘にとっては恐怖だったのだ。

親以外の一番近くにいる「先生」という大人がそういうことをした、ということが恐怖で学校に行けなくなった。
学校に行こうとすると手が震えて、涙があふれて行けなかった。
だいぶあとにPTSDの診断がつくことになる。

2.やり場のない怒りと不安

学校から連絡があり担任の先生から事情を聞き、娘からも話を聞き
「それはつらかったね。今は学校に行きたくなかったら少し休んだら?」
と言った。
それから1週間ほど学校を休み、再登校しようとしたが行けなかった。

まさか自分の子が不登校になるとは思っていなかった。

「そろそろ学校いかないと。」と娘に言うが、おなかが痛い、頭が痛いと体調不良を訴えた。学校に送って行っても校門の前で足が止まる。

どうしてうちの娘が不登校にならなければならないのか・・・

先生に対する怒りが湧き上がってくる。
学校に行けない日が続き、私たちも焦り出す。校長先生に現状を訴えた。そもそも支援学級の先生がそのような先生だということにも疑問がある。やり場のない怒りをどのように自分たちが消化したらいいのかもわからない。悔しくて涙が出た。学校との話し合いも無意味だった。支援学級の先生が謝罪したいと頭を下げられたがそんなことをされても、以前の娘は戻らない。
娘を学校に送って行くが行けずに家に戻る日々・・・。仕事に向かう車で涙がとまらなかった。

3.どうしたらいいのかわからない

どんどん廃人のようになっていく娘。朝は起きない。お風呂に入る気力もない。夜が怖い。音に敏感になり眠れない。
私も夫も心配しながらも理解ができなかった。
夫は「心が弱いからだ。」「そんなことで学校に行けなくなっていたら世の中生きていけない。」と言い、私は不登校について夫よりは勉強していてもなかなか受け入れることができなかった。
学校に無理やり連れて行こうとしたこともあったし、娘も泣きわめいて家の物をぐちゃぐちゃにして二人で大泣きして仕事に向かったこともあった。
どんどん娘は身体的な症状が悪化し、表情も暗くなっていった。
兄妹も娘のことをなかなか受け入れることができない。
妹は「私も休みたい。」「どうしてお姉ちゃんは休んでいいのに私はだめなの?」と言い出し、兄は「ただ怠けているだけ。みんな行きたくないときはある。しんどいのは一緒だ。」「行けない時間が長くなればどんどん行けなくなる。」ともっともらしい事を言った。家族全体に暗雲がたちこめているような感じで、みんなが娘のことを思って言っているいるような発言が娘を傷つけていた。

4.トンネル

振り返れば、いつまで続くのかわからないまっくらなトンネルを手さぐりで歩いているような感覚だった。不安で不安でたまらなくて途方にくれる。
娘の将来までも、あの出来事で失ってしまったような喪失感。
勝手にお先真っ暗だと思っていた。

娘も気持ちも考えずに・・・。

5.カウンセラーとの出会い

病院勤務時代に仲良くしていた言語聴覚士の友達が、発達障害の子などのサポートをしたいとフリーランスとして活動していた。相談したところ娘のカウンセリングをしてくれると言う。娘も私の友達ということで、緊張することなく、久しぶりに人と話して楽しかったと言った。
親にも言えないことってある。
他人だから話せることがあることを知った。
数回カウンセリングを行い、友達は「病院受診をしたほうがいいかもしれない。」と言った。
まさか病院受診した方がいい状態まで悪化しているとは全く思っておらずかなり衝撃を受けた。娘は聴覚過敏になっており、夜中の物音が家に人が入ってきている音ではないかと不安になり夜中に何度も戸締りを確認していたことを私は知らなかった。
私は仕事で疲れて爆睡していたからだ。
不眠症が疑われたため睡眠剤など薬の力を借りたほうが回復が早いかもしれないとのことだった。そこまで娘がつらい状態であったことに私は気づくことができなかった。

不登校になった娘と私②に続く




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