高石真梨子/倉敷市地域おこし協力隊

倉敷市地域おこし協力隊の高石真梨子です。(2023.12月〜) 聴覚障がいのあるわた…

高石真梨子/倉敷市地域おこし協力隊

倉敷市地域おこし協力隊の高石真梨子です。(2023.12月〜) 聴覚障がいのあるわたしの移住記録。感じたことたちを四季よりも細やかな季節の区切り【二十四節気七十二候】と共に綴っています。 倉敷の地でめぐりゆく季節を過ごしたら、どんなわたしになるのだろう。ぜひ見守ってください。

最近の記事

  • 固定された記事

はじめまして。倉敷市地域おこし協力隊の高石真梨子です。|2024.小寒・芹乃栄

「芹乃栄」(せりすなわちさかう) お雑煮が、餅が、大好きだ。 「好きな食べ物は?」と尋ねられるたびに、大きな声で「餅!」と答えたい。小さい頃はそう答えていたけれど、大人になるにつれて世の人たちは餅は正月以外には食べないと知ってしまった。あと、「好きな食べ物は?」はそのあと「〇〇食べに行こう!」の前振りであるらしい。だから「餅!」と答えると相手が困った顔になってしまうことも学んだ。するともう、大きな声では答えられない。 「餅!」と答えた後の沈黙を回避するため、最近は無難に「

    • 1泊2日倉敷から広島への旅 #協力隊の休日|2024.穀雨・葭始生

      ■ 葭始生(あしはじめてしょうず)友人から「広島カープのチケットが余っているから観に行かない?」と誘ってもらったので、お休みをいただいて広島県へ。 岡山県は、高速道路の整備率が全国1位。中四国や関西圏へは、圧倒的に車での移動が多いらしい。 関東や関西に住んでいたころは電車を、東北に住んでいたころは高速バスを使っていたので、こうやってどこにでも「さあドライブに行こう!」と誘ってもらえる日々が新鮮。 まぁわたしは車の運転免許を持っていないので、なんだかもどかしい気持ちで助手

      • 高石真梨子のお耳のトリセツ vol.3 どうやって音楽を楽しんでいるの?|2024.清明・虹始見

        ■ 虹始見(にじはじめてあらわる) 冬の終わりのグズグズしたお天気はいったいどこに行ったのかしら……と思わず空に尋ねたくなるくらい暖かい、というよりもちょっぴり汗ばむ日が続く今日この頃。 せっかく買った春物のコートが思いのほか活躍しなさそうで、実は少しいじけている4月の真梨子です。どうしても着たいからと夜のお出かけに着ていったら、パシャリと切り取ってもらえました。 今か今かと開花を心待ちにしていた桜も、気付いたら散ってしまい、木々が少しずつ濃い緑に移りゆく日々。桜を撮り始

        • 聴覚障がいのあるわたしの頭の中 ~倉敷とことこでライターとして20本目の記事が公開された日によせて|2024.清明・鴻雁北

          桜の花が下を向いて咲くのはね きっと 人間に愛でてもらいたいからなんだよ。 と言いながらにかっと笑う人の横は、桜の花が咲き乱れていた。 ■ 鴻雁北(こうがんかえる)例年3月下旬から4月上旬にかけて見頃を迎えるという倉敷市の桜も、今年はちょっぴりのんびりさん。おかげで、先週の津山から戻ってきた後もまだ、お花見をし続けている。 「倉敷で一番好きな景色は?」 と尋ねられたらまず真っ先に思い浮かぶ瀬戸内海を見渡す児島地区も、桜が咲いていた。 ・瀬戸内海というよりも、その海を

        • 固定された記事

        はじめまして。倉敷市地域おこし協力隊の高石真梨子です。|2024.小寒・芹乃栄

          聴覚障がいのある地域おこし協力隊を、夕方のニュースで特集してもらいました。|2024.清明・玄鳥至

          季節の移り変わりを、自分のペースでのんびりと、着実に感じられる日々がこんなにも愛おしいだなんて。ね。 ■ OHK岡山放送「手話が語る福祉」で特集をしてもらいました。・でもわたし、テレビを持っていなくてですね。 この週末はたくさんの人たちから 「金曜日のニュース、みたよ!」 と声を掛けてもらった。 ちょうど夕方の18時半頃。わたしの実家も、どの地域に住んでいても必ずこの時間はフジテレビ系列の夕方のニュースがテレビに映っていた。だから、わたしがあの画面にまさか出演するこ

          聴覚障がいのある地域おこし協力隊を、夕方のニュースで特集してもらいました。|2024.清明・玄鳥至

          補聴器講座×いちご狩り|2024.春分・雷乃発声

          ■ 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす) 人生であと何回、いちご狩りができるのだろうか。 なんてことを、ふと思う。 というのも、わたしは今年30歳になってやっと、いちご狩りデビューを果たした。いちご狩りのシーズンは1年に1回しか来ないわけで。元気で動きまわれる間……と思うともう50回も行けない。 そんなことを思いながら、今までの人生において一度もいちご狩りに行かなかったわたしは、だいぶ人生を損していたのではないか、と気付いてしまったというわけ。 とにもかくにも、人

          有料
          300

          補聴器講座×いちご狩り|2024.春分・雷乃発声

          手話オンリーで活動報告をしたり、地域おこし協力隊のコラボ記事に挑戦したり|2024.春分・桜始開

          ■ 桜始開(さくらはじめてひらく) 2024年3月現在、倉敷市では12名の地域おこし協力隊が活動をしている。 私と同じように倉敷市全域を活動拠点として情報発信をしている隊員もいれば、特産のひとつ倉敷薄荷の製造や販売に関わる隊員もいれば、町屋の改修や管理をする隊員もいる。 共通しているのはみんな「倉敷」という街を主語に活動をしていること。 3月21日には、倉敷美観地区にある倉敷物語館で隊員それぞれが自分の言葉で今年度の活動の報告をした。 ・まだ4か月、もう4か月

          手話オンリーで活動報告をしたり、地域おこし協力隊のコラボ記事に挑戦したり|2024.春分・桜始開

          聴覚障がいのある地域おこし協力隊が、ラジオに出演してきました|2024.春分・雀始巣

          ■ 聴覚障がいのある地域おこし協力隊が、ラジオに出演してきました昼の長さと夜の長さがちょうど半分になる春分の日の朝、わたしは岡山県立美術館のカフェでドキドキしながらフルーツスムージーを飲んでいた。 ・手話通訳×ラジオ出演 この日は、ラジオデビューの日。 倉敷とことこの取材でお世話になった手話通訳者でありフリーアナウンサーの遠藤寛子(えんどう ひろこ)さんがパーソナリティを務めるラジオ番組「天神ワイド 朝 」に出演させてもらえることになったのだ。 小学生の頃、まだ左耳の

          聴覚障がいのある地域おこし協力隊が、ラジオに出演してきました|2024.春分・雀始巣

          日常と観光の狭間で暮らす日々|2024.啓蟄・菜虫化蝶

          倉敷の洗礼を受けましたとかく倉敷は、用水路が多い。 今まで住んできた兵庫県なんかも酒米の田んぼが多かったからそれなりに用水路はあったけれども、倉敷の用水路はなんといっても大きくて深い。 調べてみると、これは倉敷市だけでなく岡山市も同様らしくて、毎年何人もの人が用水路に落ちて死亡していることから「魔の用水路」と呼ばれているらしい。 そんな魔の用水路は、やっぱりわたしの家の前にもありまして。特に夜道をあるくときなんかはヒヤッとするもんだから、いつも足元にスマホで明かりを灯し

          日常と観光の狭間で暮らす日々|2024.啓蟄・菜虫化蝶

          初めての地に移住してみて、お耳の「仲間」がいるという心強さに支えられて暮らしています。|2024.啓蟄・桃始笑

          ■ ここ最近のあとがきのような ・音のない世界の仲間がいるということ 2023年12月、倉敷市地域おこし協力隊となったわたしは、関東から単身で岡山県倉敷市に移住してきた。 「倉敷とことこで一緒に働こうよ」と言ってくれた友人や、瀬戸内を旅していたときに知り合った友人は何人かいたものの、倉敷市どころか岡山県にだって、わたしは縁もゆかりもない。 たった一人で倉敷に移住してくることに対して、もちろん不安はたくさんあったけれども、でも「きっと大丈夫だろうな」という根拠のない自信

          初めての地に移住してみて、お耳の「仲間」がいるという心強さに支えられて暮らしています。|2024.啓蟄・桃始笑

          高石真梨子のお耳のトリセツvol.2 情報保障ってなあに?|2024.啓蟄・蟄虫啓戸

          ■ 蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく) ・わたしは、いちごが好きです。 なにをいまさら…… と言われてしまうかもしれないけれども、わたしはいちごが好きなのだと最近やっと気づいた。いちご柄とかいちごそのもののフォルムのような見た目も確かにかわいい。でも、オトナになった今「いちご柄が好きです」と言うのはなんだか気恥ずかしいような気もする。 そもそも「オトナ」って何なのだよって感じなのだけれども、わたしのイメージしていたオトナはいちごよりもピスタチオを好むし、コアラのマーチよ

          高石真梨子のお耳のトリセツvol.2 情報保障ってなあに?|2024.啓蟄・蟄虫啓戸

          「帰ってきたい」と恋焦がれた倉敷で暮らし、働き始めて|2024.雨水・草木萠動

          二人並んで水平線を眺めながら、彼女がポロリと「また帰ってきます」と呟いた。 「いつかまた見たいです」とか「また来ます」とかじゃなくて「帰ってきます」と言ってもらったことが、何よりもうれしかった。だってわたしも、初めてこの景色を見たときに「また帰ってきたい」と切に願って、本当にこの街に移住してきてしまったのだから。 ■ 【倉敷移住体験ツアー 倉敷の「食×文化」をつなぐ人に出会う旅】あとがきのような ・くらしき、マジックアワーのきれいな街 写真を撮る者ならば、ひらけた空を

          「帰ってきたい」と恋焦がれた倉敷で暮らし、働き始めて|2024.雨水・草木萠動

          倉敷という街で一緒に暮らしを重ねたいと思う出会いたちが、とてもあたたかくて愛おしいものばかりであることは確かで|2024.雨水・霞始靆

          ■ 霞始靆(かすみはじめてたなびく)岡山は「晴れの国」と聞いていたのに、こと雨水に入ってからは連日のようにお空がグズグズとしている。 ・聴覚障がいのあるわたしは、三半規管がヨワヨワです 聴覚障がいがあることも相まって、わたしはとかく気圧の変動に弱い。あまりにもお天気に体調が左右されるものだから大学病院で検査をしてもらったところ、耳の奥にある三半規管という体の平衡感覚をつかさどる部分がうまく働いていないらしい。 そんなこともあって、子どもの頃は体育の平均台はドクターストッ

          倉敷という街で一緒に暮らしを重ねたいと思う出会いたちが、とてもあたたかくて愛おしいものばかりであることは確かで|2024.雨水・霞始靆

          不安でいっぱいなわたしが、手話を日本語で紡いだ記事のあとがきを|2024.雨水・土脉潤起

          ■ 土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)朝起きて、うんと背伸びをするけれども、なんだかすっきりしない。 リビングへ移動して、我が家で一番大きなカーテンを開けるとパラパラと雨が降っていた。 昨日は雲一つない青空で、ダウンコートを羽織ってお出かけしたことをちょっぴり後悔するような気持ちの良い日曜日だったのに。晴れの国おかやまと言えども、降る雪が雨へと変わり雪解けが始まる雨水には抗えないようで。 今日も明日も明後日も、天気予報は雨マーク。 外を眺めるわたしの顔がほんのり窓

          不安でいっぱいなわたしが、手話を日本語で紡いだ記事のあとがきを|2024.雨水・土脉潤起

          言葉を綴るための体験と、紡いだ言葉が泳ぐ姿を愛でる経験を|2024.立春・魚上氷

          倉敷市地域おこし協力隊になって、倉敷とことこで文章を書き始めて、2カ月と半分が過ぎようとしている。 元々地元の人たちから親しまれているウェブメディアに所属させていただけているおかげで「ウチのイベント、取材においでよ」とお声がけしていただけることが多く、みなさんからとても温かく受け入れていただいている。すごくすごくうれしい。 特にわたしは障がいのある当事者であり、元特別支援学校の教員なので を発信したいと思いながら活動をしていて。 ■ 「クリスマス小物づくりワークショッ

          言葉を綴るための体験と、紡いだ言葉が泳ぐ姿を愛でる経験を|2024.立春・魚上氷

          高石真梨子のお耳のトリセツvol.1 ~どうやってみんなの話を聴きとっているの?|2024.立春・黄鶯睍睆

          ■ 黄鶯睍睆(うぐいすなく) ・倉敷のおいしい「うぐいす餅」情報を募集しています。 1月のはじめにnoteで「餅が好きだ」と公言して以来、いろんな人たちから美味しい餅情報をいただける日々。この世界には、わたしが思っていた以上に餅好きな人間が多く生息しているということを知って、今少し大きな気持ちでいる。 お餅のモチモチとした食感が好きなので、もれなく平たい麺とか求肥とかも好きで。そうそう。今の時期は、うぐいす餅なんてものがあるじゃないですか。あの、ほんのり甘いきな粉のまぶ

          高石真梨子のお耳のトリセツvol.1 ~どうやってみんなの話を聴きとっているの?|2024.立春・黄鶯睍睆