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📖『地䞋図曞通の海』📖

どこかのSNSで本の玹介を偶然芋かけ、図曞通の蔵曞怜玢をしたらすぐに貞出可胜な状態だったため、仕事で必芁な本ず䞀緒にちゃっかり借りおきたらば、ずんでもなく面癜くお、どうしおみんなこれを借りないのかず思った本がある。

『地䞋図曞通の海』東京創元瀟
“The Starless Sea”

゚リン・モヌゲンスタヌンErin Morgenstern) 著
垂田泉 蚳

原著タむトルは「星のない海」ずいう意味で、本文䞭にもこのキヌワヌドは重芁なものずしお䜕床も出おくる。日本語蚳は今幎2023幎の3月に出たばかりのファンタゞヌ䜜品だ。

小さな物語が入れ子構造のように線たれ、䞻人公ザカリヌがいる䞖界ず次第に深く亀錯しおいく。
読曞奜きの倧孊院修士2幎生のザカリヌが、偶然倧孊図曞通で手にした『甘い悲しみ』ずいうタむトルの本から物語は始たる。そこにはザカリヌの幌い頃の゚ピ゜ヌドが物語ずしお曞き蟌たれおいた。読者である私も、この本の䞻人公であるザカリヌも、この偶然に出䌚っおしたった䞍思議な本『甘い悲しみ』から「星のない海」「地䞋図曞通の海」ぞず䞀気に匕きずり蟌たれお行く。

党おを読み終えた埌、もう䞀床最初から読み返したくなる本だった。あらゆる堎面に现かい぀ながりが仕蟌たれおいお、䞀瞬たりずも目が離せない。

䜕か物事がドラマチックに始たる時もあるけれど、倧䜓の「運呜」はさりげなく、䜕ずもないかのようにしお目の前に登堎する。そしお実はそれは確実に私の目の前に来るように緻密に蚈算されおいお、䜕の抵抗もなく手に枡るようになっおいる。党おが、誰か、それこそ「運呜」に仕組たれおいるのかもしれないずいうこずを、本の䞭で思い出した。

ザカリヌが『甘い悲しみ』を手にするこずは最初から決たっおいたのかもしれない。
けれどそのシヌンを描写するのはたったの数行。圌のさりげない動䜜のみだ。ザカリヌは背衚玙に䜕も曞かれおいない本を探しおみようず思い、目の前にあったワむンレッドの本を手にする。それだけ。別に本が光っお芋えただずか、本が話しかけおきただずか、そんな話ではない。圌はその本を手にしおもよかったし、他の本を手にしおもよかったけれど、『甘い悲しみ』をごく自然に手にしお、読み始めるこずになる。

最埌の最埌たで物語は、ある䞀぀のシナリオを蟿っおいるかのようでもあり、無限に存圚するシナリオの䞭から登堎人物それぞれが郜床遞択し続けた䞀぀のパタヌンを提瀺されたに過ぎないようでもある。
ロヌルプレむングゲヌムのデヌタの䞭には無数のシナリオのルヌトがあり、けれどあるプレむダヌが䞀床に目にするこずができる話の流れは1パタヌンのみなのだ。

私自身はどうなのだろう。どのシナリオを歩いおいるのだろう。
きっず思い出せないようなさりげない瞬間に実はシナリオ䞊の重芁な遞択をしおいたり、開けるか開けないか散々迷った挙句に開けお進むこずにした扉が䜕個もあったのだろう。
どの扉を開けおどのルヌトを蟿っおも、遅かれ早かれ着くこずになる堎所ずいうのも、あるように思えおくる。

ファンタゞヌの物語に抵抗がなく、長い長いお話を読みたい気分の時には、ぜひお勧めしたい1冊だ。
図曞通、たくさんの本、䞍思議な物語、非珟実的な䞖界芳、日垞ず亀錯するあなたのすぐ隣にある隠れた䞖界。これらのキヌワヌドにピンずきた人ならきっず奜きになる本だず思う。


この蚘事が気に入ったらサポヌトをしおみたせんか