マスコミってなんなんだろうね?

昨日、宮崎駿というアニメーターに取材した記事を読みました。「鬼滅の刃」のヒットが、彼のジブリ作品を収益で超えることについての記事です。

彼(宮崎)は「どうでもいいし見てもいない」と返答していたのですが、取材側は執拗に本音のライバル心を引き出そうとしています。まったくそんなものは見受けられないやりとりのように読めましたが、記事は「そんな彼の言葉からは怒気が感じられた」のような表現が散りばめられていました。

噛み合っていないな、という印象です。

どうやらマスコミは彼に「王者の椅子に君臨する者」としての返答を求めていたようです。新海誠や他の創作者たちが、彼の「王者の椅子」を奪い取ろうと、作品をもって猛追していて、それを切り払う現在ただいまのチャンピオンとして語ってほしかったようです。

じっさいそのような感情がまるっきり無いとも思いませんが、そこは主体にするものでもない気がします。彼らはそれぞれ、めいめいが創作者でしかない。第一に来るのは「作りたい、見せたい」でしょう?流行りの言葉の「承認欲求」とやらのためにやってるというわけではない。それに、鬼滅の刃と彼とは立ち位置からして違いすぎて、同列に据えて「あっちをどう思いますか?」とたずねるという事じたいが、ほとんど筋違いのものにしか見えませんでした。

プロ野球全盛の時にサッカーJリーグが勃興して、そちらが注目されてきたからプロ野球ファンがいらいらし始めてる時に「野球ファンとしてこの現状をどう思いますか?」と聞いているようなものです。自分の領土が減ったとか向こうが増えたとか、そんな目線でアニメ創作者たちが互いを気にするとは(少なくとも主体とは)思わないわけです。このモノサシを出してきて「どうですか?」と聞くというのは、つまり世間はアニメをそういう目で見ているという事なのでしょう。じっさい話題だからとその鬼滅の刃(劇場版)をいきなり観に行った方も多いそうです。あらすじ解説もなくいきなり「TVシリーズからの地続きとして」始まるストーリーに面食らったとか、あのイノシシは何なんだか判らなかったという声も見受けられました。当たり前です。だって地続きであって劇場版再編集じゃないのだから。「手っ取り早く流行りものを抑えておこう」で観たら、なんだか掴めないところが残って当然なんです。

なんというか、「作り手」も「一般の人(話題だから食いついた)」も「マスコミ」も、みんなが噛み合ってないなあと、そこのところでモヤモヤしてしまいました。

かつて味もランクも解らないのに、ボジョレーヌーボーに群がった時期があったのを連想してしまいます。「なんだか解らないけど、抑えておかなくっちゃあ!」こうなればマスコミ的には成功なのでしょう。あとはその話題を取り上げていれば、自分の番組だか雑誌は見てもらえるんだから。

なんなんでしょうねえ、マスコミというのは。「狼少年」の逆みたいです。こういうの、なんて呼べば良いんでしょうね??


というわけで、今日もつらつらと(笑)

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