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【俳句】聖菓 クリスマス 聖夜〜碧 萃生

聖菓切る妻と二人の三日分

メリークリスマスと打てり職場より

しんしんと男三人聖夜かな


その年のクリスマスイブ。
僕は調布市仙川の六畳一間の下宿で、ひとりで迎えるつもりだった。
「きっと君は来ない」の「君」なんてそもそもいないけれども、山下達郎の「クリスマスイブ」を聴きながら、しんみりと過ごすつもりだった。
そして、それを青春の1ページにするつもりだった。
しかし、だ。
ドアをノックする奴がいる。
時計を見ると、午後の3時。
なんだか、ノックの仕方から、これはガサツな奴だとわかる。
誰やねん、いったい。
ドアを開けると、サークルの同学年の仲間が2人。
肩を組んで、少しふらついている。
何で、来るねん。
て言うか、もう酔ってる?
結局、その日は、彼らの持ってきたクリスマスケーキと、トリスの大瓶で、深夜まで過ごすことになった。
暗くなるのを待って、明かりを消し、ロウソクに火をつける。
野朗3人が、炬燵を囲んで、
「メリークリスマス!」
思い出すだに、気持ちが悪くなる。
しかし、何故かこんな日がいつまでも記憶に残り続ける。
そして、こんな奴がずっと親友であり続けたりする。

メリークリスマス!

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