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【俳句】草の花 暮の秋 秋寒 木犀 秋高し

幽霊に人肌ありや草の花

老境と思ふともなく暮の秋

秋寒やホーム入所を母言へり

木犀や妻と落ち合ふ日暮どき

秋高し一段とばしの配達人

先日、実家を訪れた時のこと。
母が、ホームへの入所を言い出した。
母はまだ認知的には問題なく、ペースメーカーを入れており、昨年背骨の手術もしたが、今のところ自分で行動はできる。
毎週、掃除と入浴は訪問介護をお願いしているが、それ以外は自分でやっている。
それが、突然にそんなことを言い出した。
父が予定よりもかなり早く(?)亡くなったので、父の施設代に考えていた予算も余っている。
それと母の預金、年金をあわせれば、そんなに選ばなくても、入りたいところには入れそうだ。
本人は、生まれ育った京都市内の施設がいいらしい。
まだ、具体的に決める段階ではないが、いろいろ考えるところがあるのだろう。
ただ、父と2人で手に入れて、息子と娘を育て、送り出した家だ。
決して、出たいわけではないはずだ。
もちろん、家に過ぎ去りし日の残照を思うのは、単なるセンチメンタルに過ぎない。
あらためて、家とは何かを考えさせられる。
そして、子供のためだけに過ぎたように思われる母の人生も。
夕方、実家を出ると、もう肌寒い空気に包まれていた。

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