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【俳句】白菜 木枯 山茶花 数へ日 十二月八日〜碧 萃生

白菜も四分一しぶいちふたり暮しかな

西口の木枯一時休憩所

山茶花や構へては立つカメラマン

数へ日やピザトーストの晩御飯

十二月八日未明に生まれし子

1941年12月8日未明、日本軍は、ハワイ真珠湾にあるアメリカ海軍基地を奇襲攻撃。
奇襲成功を告げる「トラ、トラ、トラ」の電文とともに、日本は3年9カ月に及ぶ太平洋戦争へと突入していった。

その12月8日は、僕の娘の誕生日だ。
夫が出産に立ち会うなどということはなかった時代。
職場に電話がかかってきて、
「産まれました」
まわりの仲間から祝福される。
ドラマでは、そんなシーンがよくあった。
だから、僕もその電話を待っていた。
妻は数週間前に体調を崩したこともあって、念のために入院していた。
その間、僕は実家に戻っていた。
その日も電話のないままに、勤務を終えて実家に帰る。
夕食の席に座ったところで父が、
「産まれたぞ」
「え、何で電話せえへんねん」
「いや、お前が喜びすぎて、帰りに事故でも起こしたらあかんからな」
その頃は、車通勤だった。
その娘も結婚して、我が家は妻と二人暮らし。
白菜も4分の1で間に合う。

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