ネガティブ青春映画『殺さない彼と死なない彼女』

2019年公開映画194本中54位。

高校生の話だから、
まーた、量産型のキラキラ青春純愛映画かっ!
って思ってたんだけど、これまた全然違って。
高校生の頃に抱きがちなネガティブな感情が全面に出た、
ちょっと暗めの青春映画でした。

時系列が途中まで謎だったんだけど、
全部で3つのペアの話が並行していて、
そのどれもがジワるエピソードなんだよね(笑)

「死ね」、「殺すぞ」が口癖の小坂れい(間宮祥太朗)と、
「死にたい」が口癖でカジュアルにリスカしちゃう
鹿野なな(桜井日奈子)のラブストーリー。

告白が日課で毎日「好き」という撫子(箭内夢菜)と、
そんな彼女をドライにあしらう
恋ができない八千代(ゆうたろう)のラブストーリー。

彼氏が取っ替え引っ替えな承認欲求の強いきゃぴ子(堀田真由)と、
地味で目立たない地味子(恒松祐里)の友情ストーリー。

観ているとね、「そんなことあるわけないだろ!」
って一瞬言いたくなるんだけど、
よくよく考えてみると、「こういうやついたかも、、、?」
って思えたりもして、そのバランスが神がかってたよね。

個人的には、間宮祥太朗と桜井日奈子のエピソードが一番好きだなー。
桜井日奈子はネクラだし、間宮祥太朗は留年していて、
2人ともクラスではちょっと浮いた存在なんだ。
かつ、2人ともクールで暗めな性格。

なのに、セリフは「死にたい」「死ね」「殺すぞ」のオンパレード。
小学生かよって言いたくなるようなセリフの応酬がさ、
だんだんジワってきて、途中吹きそうになるからねwww

そんな汚い言葉が並ぶ中でも、
間宮祥太朗が「アイス食べるか?」って気遣ったり、
桜井日奈子が「肉まん食べたい」ってわがまま言ったりするのが、
すごく初々しくて微笑ましかった。
ただの仲良しカップルじゃねえかっていう(笑)

そういう心温まるシーンもありつつの、
「死ね」とか「殺すぞ」とかだから、
なんか笑えてきちゃうんだよな。

あんなイケメンになら言われてみたい気がしないでもない(笑)

あと、ゆうたろうのエピソードであった、彼の放つ
「キミはキミを好きにならない僕が好きなんじゃないの?」
っていうセリフが深かったなー。
もはや、恋に恋してるよってのを諭してるところがいい。
あんなかわいい子に言われてるんだったら、
とりあずOKしちゃえよとも思うけど(笑)

堀田真由は、他のドラマや映画を観ていても、
ああいうかわいくて承認欲求が強いキャラが多い気がする。
いや、実際かわいくて、最近推しの女優さんではあるんだけど、
どんどんそういうイメージがついてくるな(笑)

そして、この映画は上記の3つの面白いエピソードだけじゃなく、
実はある事件を軸に繋がっていて、
衝撃の展開になっていくっていう構成もよかった。
「ええ?!そうなるの?!」
っていう驚きとショックがいい緩急だったよ。

その展開を受けて、、、僕は泣けなかったけど、
他の若いお客様さんはけっこう泣いてたっぽいので、
人によっては感動作にもなるのかもしれない。

よくある旬の若手役者を入れ替えただけのキラキラ青春映画ではなく、
やや暗い雰囲気をもったネガティブ青春映画ってところが、
いい差別化に繋がっていたと思うので、これはぜひ観て欲しい。

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