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何部作かの第1作目感が強かった『僕は、線を描く』

【個人的な満足度】

2022年日本公開映画で面白かった順位:121/157
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

  製作年:2022年
  製作国:日本
   配給:東宝
 上映時間:106分
 ジャンル:
元ネタなど:小説『線は、僕を描く』(2019)
      漫画『線は、僕を描く』(2019-2020 

【あらすじ】

大学生の青山霜介(横浜流星)はアルバイト先の絵画展設営現場で運命の出会いを果たす。白と黒だけで表現された【水墨画】が霜介の前に色鮮やかに拡がる。深い悲しみに包まれていた霜介の世界が、変わる。

巨匠・篠田湖山(三浦友和)に声をかけられ、【水墨画】を学び始める霜介。【水墨画】は筆先から生み出す「線」のみで描かれる芸術。描くのは「命」。

霜介は初めての【水墨画】に戸惑いながらもその世界に魅了されていく――。

【感想】

原作小説および漫画は未読です。なので、話の内容をよく知らないまま、“『ちはやふる』のスタッフ製作”って聞いて、勝手に水墨画バトルみたいなのを想像してました(笑)
でも、実際はもっと自己の内面と向き合う優しいお話でしたね(笑)

<水墨画の基本がわかる>


学生時代、日本史や美術の授業でしか見たことないですよ、水墨画なんて。
そんなほとんど知らない世界を2時間で覗ける映画はやっぱり素敵だなと思いました。筆に3つの濃さの墨を入れるとか、4つの花を描くことで基礎が備わり、それを四君子と言うとか、普通に生きてたら知らないままですからね。

<物語としては壮大な物語の“序盤”という印象>

原作を知らないので何とも言えないのですが、少なくともこの映画を観る限り、大きな話の中の「導入」なのかなと感じました。霜介がひょんなことから水墨画と出会い……いや、これもひょんすぎるというか、だいぶ適当に弟子に選ばれたなって気もするんですが……自分の身に起こった不幸と向き合いながら、それを克服(浄化)させるために、水墨画にのめり込んでいくという成長ストーリー。

王道で綺麗な流れではあるんですけど、霜介が本腰を入れるのが終盤なので、物語の進みとしてはだいぶゆっくりで、ドラマチックかつドラスティックな展開はなかったですね。何部作かの1作目ならその導入としてアリだなとは思うものの、映画がこれで終わってしまうと、もうちょっと先を知りたかったかなあとは思いました。

<映画の空気が水墨画とマッチ>

ただ、そのゆっくりとした進行が、水墨画の世界観とは合っていたように感じます。墨の濃淡だけで色の違いを出す水墨画は、個人的に淡く儚い印象を受けるんですけど、この映画に流れる優しい空気にとても合っていました。

<そんなわけで>

日本らしい「和」の雰囲気が奥ゆかしい映画です。壁にかけられた巨大な白紙に筆を縦横無尽に乗せていくダイナミックなパフォーマンスも大きなスクリーンで観てこそだと思うので、映画館で観た方がより楽しめるかもしれません。横浜流星の和装もバチクソかっこいいので、ファンの方ならその目に焼き付けておきたいところですね。


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