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映画を観ているよりも絵画を観ているような感覚になる『ジュゼップ 戦場の画家』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:135/173
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】

ヒューマンドラマ
アニメーション
スペイン内戦
画家

【あらすじ】

1939年2月、スペイン内戦の戦火を逃れた大勢の難民が隣国フランスに押し寄せた。

しかし、フランス政府によって強制的に収容所に閉じ込められた彼らは、劣悪な環境のもとで寒さ、飢え、病魔に苦しむはめに。

難民の1人である画家のジュゼップ・バルトリは、それが人間らしさを保つ唯一の手段であるかのように、建物の壁や地面に黙々と絵を描き続けていった。

若きフランス人憲兵セルジュは、そんなジュゼップに鉛筆と紙を与え、2人は固い友情で結ばれていく。

やがてジュゼップが消息不明の婚約者マリアとの再会を夢見ていることを知ったセルジュは、彼の切なる願いを叶えるためにマリアの捜索を行うのだが……。

【感想】

実在した画家の半生を描いた映画です。史実を淡々と描く映画なので、絵画史の勉強に近いかなー。

<日本ではほぼ無名かもしれない主人公>

ジュゼップ・バルトリ。この名前を知っている人はどれぐらいいるでしょうか。同世代の画家なら、作中にも登場するフリーダ・カーロの方がまだ知られているかもしれません。同じ時期に作品を発表した人ならば、ピカソだっています。それに比べたら、日本ではほぼ無名に近いでしょうね。僕も名前すら聞いたことがなかったです。

そんな彼の何がすごいかと言ったら、常に絵を描き続けたことです。「そりゃ画家なんだからそうだろう」とは思いますよ。でも、彼がいたところは強制収容所。劣悪な環境での生活。憲兵からの暴力。餓死、凍死、病死と常に隣り合わせ。そんな命の危機にさらされている中で、彼は暇さえあれば描き続けていました。執念さえ感じるほどに。

<ジュゼップの絵の魅力>

本作では、実際にジュゼップが強制収容所で描いた絵がたくさん登場します。鉛筆1本で描いたからでしょうか。海外の画家が描いたという感じはあまりしなくて。むしろ、日本の漫画に近いような印象でした。僕は絵に詳しくないので参考にならないかもしれませんが。。。

<アニメーションの持つ魅力>

また、こういうジャンルの映画ではめずらしく、アニメーションという手法を取っているんですよね。それも日本のアニメのようにヌルヌル動くような感じではないんですよ。一見すると、下書きに色をつけたような薄めのタッチ。そして、コマ送りをしているかのような動き。まるで紙芝居のような雰囲気でした。だからこそ、強制収容所の辛さはマイルドになり、そこに出てくるジュゼップの残した作品の数々も、うまく作品の雰囲気にマッチしているように感じられました。なので、もはや映画を観ているというより、絵画鑑賞をしている感覚に近かったですね。

<その他>

戦場を生き抜いた画家の人生。そして、彼の生き様とも言える作品の数々。絵に興味がある人なら観てもいいかもしれません。


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