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気持ちを俳句で表現する渋い男の子とSNSで動画配信をするイマドキの女の子の青春を描いた『サイダーのように言葉が湧き上がる』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:90/148
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】

アニメ
レコード
コミュ障
俳句

【あらすじ】

コミュニケーションが苦手で、人から話しかけられないよう、いつもヘッドホンを着用している少年・チェリー。彼は口に出せない気持ちを趣味の俳句に乗せていた。

矯正中の大きな前歯を隠すため、いつもマスクをしている少女・スマイル。人気動画主の彼女は、“カワイイ”を見つけては動画を配信していた。

俳句以外では思ったことをなかなか口に出せないチェリーと、見た目のコンプレックスをどうしても克服できないスマイルが、ショッピングモールで出会い、やがてSNSを通じて少しずつ言葉を交わしていく。

ある日、2人はバイト先で出会った老人・フジヤマが失くしてしまった思い出のレコードを探しまわる理由にふれる。2人はそれを自分たちで見つけようと決意。フジヤマの願いを叶えるため一緒にレコードを探すうちに、チェリーとスマイルの距離は急速に縮まっていく。

しかし、ある出来事をきっかけに、2人の想いはすれ違ってしまい……。

【感想】

色使いが素敵な映画でしたね。柔らかいタッチながらも、濃いめのパステルカラーを存分に取り入れた画がいかにも夏らしい。現代アートっぽい力強さも感じられて、個人的には好きな画でした。

<面白いキャラクター設定>

本作は何といっても主人公のキャラクター設定が印象的です。ヒロインのスマイルはいわゆる今どきの若い子って感じで、こっちは普通なんですけど、チェリーがね、コミュ障がゆえに俳句で気持ちを表現するっていう、見た目に似合わず古風さを持ち合わせているギャップがよくて。しかも、2人とも声の演技が自然で、キャラにピッタリ合ってたのもよかったです。アニメで専業声優さんじゃないと、ちょっと不安になる部分もあったりしますが、僕としてはこの作品に関しては、そこはそんなに心配しなくて大丈夫なんじゃないかと感じました。

でもね、最初に「市川染五郎」って聞いたとき、てっきり「だいぶ年下の役やるんだな。。。」って思っちゃったんですよ。僕が思ってる市川染五郎は、今や十代目松本幸四郎になってたことを思い出しまして(笑)世代的に、市川染五郎と聞くとどうもそっちが頭に浮かんでしまうんですが、実際はその息子さんでした(笑)

<ストーリーは感動的ではあるんですが……>

そんな高校生2人のラブストーリーでもあるんですが、僕はフジヤマのおじいちゃんのエピソードの方が好きでした。思い出のレコードを探しまわる理由とその展開に目頭が熱くなり、感動的な話だったなーとは思います。

ただ、チェリーとスマイルの恋路についてはちょっと違和感ありましたね。お互いに惹かれ合う部分がわからなかったんですよ。これ、チェリーにとって自分のことを認めてくれた、受け入れてくれた人ってスマイルが初めての人だと思うんですよね。コミュ障なので、人とそこまで交流したことのない男の子が、いきなりちょっとチャーミングな女の子から存在を肯定されたことで意識してしまうっていう、ただそれだけかなって。で、俳句でちょろっと心境を吐露したことで、スマイルも意識し始めるっていう。おじさんには遠い昔の話なので、今だと何かと意味を求めてしまうんですけど、若い頃の恋愛ってこういう意味のなさそうなところから始まるもんでしたっけね~(笑)

また、最後のオチが「そんなことする?!」っていう違和感がありまして。。。(笑)別に普通にすればいいじゃんっていうツッコミしかなかったです。もちろん、印象には残りやすいですけど、「アニメ史に残る最もエモーショナルなラストシーン」っていう紹介をされていたから期待しすぎたというか、期待した方向性が違ったというか(笑)

総じていい映画ではあるかと思いましたけどね。

<その他>

これは本作に限ったことではないですけど、やっぱり僕は日本のアニメは好きいです。アニメはキャラクターデザインの好き嫌いで第一印象が決まっちゃうところはあるものの、コミカルに振り切っているから観ていて楽しいですよね。

時間経過のシーンとかも、よくセリフがなくて、BGMのみでポンポン進んでいく手法が多いですけど、コミカルさがあるので、短い尺でも内容が伝わってくるんですよね。オーバーな表情や身振り手振りで、キャラクターの心境がすぐにわかります。そうやってテンポよく進んで行くのが気持ちいいんですよ。そこが実写には出せないアニメのよさだと思います。

あと、、、これは別に悪いっていうわけではないんですが、実写だと演じているキャストの組み合わせが変わるだけで、ほぼ同じ人が出ていることがあるから、変わり映えしないのが「なんだかなあ」と思うときが正直あります。

一方、アニメだったら、声優は同じでもキャラの見た目は変わるため、バリエーションが豊富でいいってのもありますし、アニメだからこそ許せる設定やセリフってのもありますよね。

だから、やっぱり邦画はアニメの方が個人的にはハマりやすいです。海外の映画だったら、実写でも振り切った設定やキャラをクオリティの高い映像技術で包んでくるから好きなんですけど(笑)


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