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女性の自立と尊厳を確立する?『5月の花嫁学校』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:72/97
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】

ヒューマンドラマ
コメディ
フェミニズム

【あらすじ】

1967年、フランスのアルザス地方。小さな村にあるヴァン・デル・ベック家政学校に、18人の少女たちが入学した。校長はピンクのスーツを粋に着こなすポーレット(ジュリエット・ビノシュ)。経営者は夫のロベール(フランソワ・ベルレアン)だ。

ある日、莫大な隠れ借金を遺してロベールが急死した。ポーレットは破産寸前の学校を救うために、取引先の銀行に駆け込むも、そこで待ち構えていたのは、第2次世界大戦で彼女と死に別れたはずの恋人、アンドレ(エドゥアール・ベール)だった。30年振りの再会に興奮を隠せない彼は、ポーレットを破産危機から救出し、心の奥に閉まっていた情熱に火をつけたのだった。

折しもパリを始めフランス全土では、社会変革を求める五月革命が勃発していた。抗議運動が広がっていくのを目の当たりにしたポーレットたちは、これまでの自分たちの考えに疑問を抱き始め、ある行動に出ることを決意する。

【感想】

抑圧された女性たちが、その存在意義を自ら再認識し、自由を手にしようとするフェミニズムな映画でした。でも、、、ものすごーく惜しい感じがしたんですよね。テーマも設定も面白いのに、流れがあんまりよくないって印象で。。。

<前時代的な女性像>

舞台は1960年代ですからね。当時のフランスにおける女性像がどういうものだったかは史実としての理解はないのですが、まあ日本を考えるに、だいぶ抑え込まれた感じなのではないでしょうか。今でも存在しているのかはわかりませんが、“花嫁学校”というぐらいなので、とにかく女性の社会的役割はかなり限定されています。限定というか、もう結婚して主婦になる以外の選択肢はないですね。夫に付き添い、夫を立て、気品よく家事全般をこなす良妻賢母が理想とされていますから。今こんなこと言ったら炎上しますけど。花嫁学校に入った生徒たちは、料理から裁縫、紅茶の淹れ方まで事細かく指導を受けます。

<生徒たちの生活が若さ全開で微笑ましい>

全部で18人の生徒がいますが、ゆーてもまだ10代のうら若き少女たち。本当に立派な花嫁になりたくて入る子はあまりおらず(少なくとも映画ではそこまでわからず)、外出時にはタバコも吸うし、ヤッたヤらないの話に花も咲かせるし、もはや男子とあまり変わりません(笑)同性だけで集まると、男女共にやってること変わらないんだなっていうのが面白いですね。もう合宿とか寮とか、そんなノリですから。

<一番面白いのは校長先生>

生徒たちのキャイキャイした学校生活を眺めるのも面白いんですが、この映画で一番印象深いのは何と言っても校長先生ですよ。夫が急死し、未亡人となった彼女。死んだと思っていたかつての恋人との再会で、身も心も火がついちゃうんですよね。「ダメよ~ダメダメ」とは言いつつも、これこそまさに「嫌よ嫌よも好きのうち」状態で、ずっとイチャついてますから。

もういい歳なんですけど、花嫁学校の生徒たち以上に"元気"ですから。盛りのついた獣のように求め合う姿は、良妻賢母を掲げる校長とは思えぬ乱れっぷりで笑っちゃいます(笑)

<終盤で急な方向転換>

そんなハッピーな生活も束の間、とある生徒に起きた悲劇を境に、校長の考えが一変するんです。「結婚なんかで縛られてたまるか!女ももっと自由であるべきだ!」と。ラスト10分、それまでの流れとはまったく違う形で、パリに向かいながら、女性の存在意義について、ミュージカル調で熱く激しく主張し出すんですよ。

言ってることはわかるんですけどね。これまでの流れで、そう思うに至るわかりやすい伏線があればまだしも、急にだったのでちょっとびっくりしました。

最後まで観ると、花嫁学校という舞台はあってないようなものにも思えるし、女性の自由と尊厳を訴える主張も唐突すぎるので、だいぶ印象変わります。

テーマも設定もよかっただけに、いきなりぶつ切りされたような展開は好みが分かれそうかなって感じました。あと、ジルベルト(ヨランド・モロー)のその後も宙ぶらりんなのも気になる。。。まあ、コメディと捉えれば楽しめるかも、、、?

それにしても、このジュリエット・ビノシュは黒木瞳に見えますね(笑)


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