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泣かせにきてるけど、やっぱり泣いてしまう『ハチとパルマの物語』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:30/99
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】

ヒューマンドラマ
忠犬ハチ公
少年と犬

【あらすじ】

旧ソ連の空港でのできごと。飼い主と共にプラハに行く予定だったジャーマンシェパードのパルマは、搭乗のための書類不備で乗機を拒否される。飼い主は仕方なく、こっそりパルマを滑走路に放つ。

パルマは空港に住み着き、毎日滑走路で飛行機を見上げ、2年間も飼い主の帰りを待ち続けた。その姿はやがて空港のシンボルとなり、人々の心を打つ。

時を同じくして、9歳のコーリャ少年が空港に現れる。彼は母親を亡くし、パイロットである父親に引き取られるのだが、一度は自分を捨てた父親に、心を閉こうとしない。コーリャとパルマは孤独な者同士、すぐに仲良くなった。

ある日、空港に日本人に連れられた秋田犬が現れる。飛行機への搭乗を待つ秋田犬に、パルマは仲間を見つけたかのように走り寄るが、その傍らには優しい主人がいる。

2人を見送るパルマの眼に寂しさが宿っていることにコーリャは気付く。彼はパルマに自分の姿を投影し、「飼い主のもとへ戻してあげたい」と行動を起こす。

そしていよいよパルマと飼い主の再会の日。パルマは嬉しそうだが、なぜかコーリャのもとを離れようとしない…。

【感想】

犬モノです。いやー、ズルいですよね、犬は。そのカード出したら勝ち決定だろって。でも、ズルいとわかってても、泣いちゃうんですよね、結局(笑)

<ストーリーは王道>

タイトルから予想がつくと思いますが、犬が主人の帰りを待ってるっていうやつです。ほぼ『ハチ公物語』(1987)ですね。そのロシア版。実話ベースだそうですけど、もはや犬の数だけそういう話あるんだろうなって(笑)なんか、こういうエピソードやその映画によって、犬のイメージがだいぶ固定されてる気はしますね。忠実で人間と信頼関係が築けるっていう。

<犬だけじゃないもうひとつのドラマ>

犬が生み出すドタバタ劇に笑い、その置かれた境遇に涙するっていうバランスはオーソドックスで多くの人に受け入れられやすいかなと思います。でも、今作の特徴的なところは、犬と少年だけでなく、少年と父親の関係性にも焦点が当たっているところです。唯一の拠り所であった母親を亡くし、自分を一度は捨てた父親と暮らさなければならないというのは、子供にとっては耐え難い状況ですよね。犬はその救いともなりますし、また犬との生活を通じて、父と子の関係性も変化していく過程は見ごたえがあると思いました。まあ、犬のエピソードと父のエピソードで、感情移入がちょっと分散されちゃう気もしましたけど。

<なんだかんだで涙腺崩壊>

人によっては「これみよがしに泣かせにきてるストーリーに反吐が出るぜ!」って思うでしょうし、僕もそう思っていましたけど、、、実際感動作ではあるんですよね。やっぱり犬と少年の絆っていう設定は強いですよ。うん、これもう設定勝ち。涙もろい人はハンカチ必須です。

それにしても、なんで犬の話ってみんな弱いんだろう。日本だったら、先に挙げた『ハチ公物語』(1987)もそうですけど、その前には『南極物語』(1983)も公開されていて、どちらも感動作として有名ですよね。アメリカでは『僕のワンダフル・ライフ』(2017)や『僕のワンダフル・ジャーニー』(2019)なんかが、僕は大号泣でしたけど、犬モノってとにかく感動作が多いイメージです。

こういうのって、犬が言葉を話せないことをいいことに、人間が持つ勝手なイメージを押し付けてるように捉えられなくないけど、実際犬はどう思っているのかは気になるところです。

ちなみにですが、この映画、タイトルにある"ハチ"はほとんど関係ありません(笑)


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